- 自閉症の人々の平均寿命はどのくらいか?
- 自閉症の人々の死亡原因のうち、事故によるものは何%か?
- 自閉症の子どもたちが溺れる事故が多い理由は何か?
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、社会的な人とのやりとり、コミュニケーションに問題をかかえ、常同行動などを特徴とします。
米国では、68人の子どもに一人がそうであると推計されています。
そして、ASDと診断を受けた人の寿命はかなり短くなっています。
平均寿命は36歳。
米国民の平均寿命は72歳です。ASDと診断を受けた人は平均寿命が半分なのです。
ASDの人の寿命が短いことは、以前より指摘がされていましたが、その死亡についての研究はされていませんでした。
ニューヨークのコロンビア大学メイルマン公衆衛生学校の研究者グループは、この研究を行いました。
博士であるゴフア・リー疫学部教授が率いるチームは、米国人口動態統計のデータを利用し、3200万人の死亡診断書を分析しました。
その中から、1999年から2014年に死亡したASDと診断された人1,367名を確認しました。
男性は1,043名、女性は324名でした。
そして、ASDと診断を受けた人々の年間死亡者数は、1999年から2014年の15年間でほぼ7倍に増加したことがわかりました。
コロンビア大学の疫学と予防センターの創設責任者であるリー博士は語ります。
「年間死亡者数の顕著な増加にもかかわらず、発達障害の人たちの死亡は、きちんと報告されていない可能性があります。特に暴行、殺人、自殺などによる死亡についてです。」
死亡診断書による分析では死亡原因の28%は事故によるもので、最も多かったのは窒息でした。
これに続いて、酸欠、溺死です。
これら3つで、ASDの子どもの事故死亡原因の80%を占めていました。
そして、これらの事故の40%以上は家庭や住宅施設で起きています。
アメリカン・ジャーナル・オブ・パブリック・ヘルス誌にこの研究論文が掲載され、不安を巻き起こしています。
リー博士は溺死がASDの人の死亡原因で多くなっている理由について語ります。
「コミュニケーションをすることや、社会的なスキルに困難を抱えるために、自閉症の子どもは水辺の静けさで安心しようとする傾向があります。
そして、そうした行動が悲劇につながることが多いのです。」
子どもたちは、2歳や3歳でASDと診断されることが多いです。
この時が大事だとリー博士は話します。
「小児科医や親たちは、すぐに子どもが水泳を学べるようにするべきです。
行動療法、言語療法、作業療法を行う前からです。
泳げるようになることは、自閉症の子どもが死なないために必要なことなのです。」
この研究では大量のデータを利用していましたが、その結果にはいくつかの問題があります。
この論文の主筆である、コロンビア大学疫学学部のジョセフ・グアンはこう言います。
「私たちの研究では死亡診断書のデータを利用しました。
驚くほど大量のデータがあったにもかかわらず、自閉症の人の死因分析に使えるデータは少ないものでした。
その理由は、死亡証明書に記載された検死官の情報の正確さにばらつきがあるためです。」
研究の分析対象としたデータが十分ではないものの、この研究結果は、自閉症の子の親たちに影響を与えるものです。
水泳を学ばせるような簡単なことで、本当に命が助かる子どもたちはいるのです。
(出典:米Medical News Today)(画像:pixabay)
うちの子どもも、小さな頃からずっと水が大好きです。お風呂やプールで、泳ぐことはできないので、くらげのようにただ浮いたり、もぐったり。
それを見てきたので、たしかに気をつけなければならないと思います。
河のそばに住む家族はこんなベッドを用意しました。
発達障害の娘の安全を守ってくれるベッド
(チャーリー)