- コンプレッションウェアは、発達障害の子どもの行動にどんな影響を与えるのだろうか?
- コンプレッションウェアを着用することで、療育効果が期待できるのだろうか?
- コンプレッションウェアを着ることで、常同行動や自己刺激が変化するのだろうか?
米国サウスカロライナ州にある公立クレムゾン大学の心理学の講師と学生たちとで、コンプレッション ウェアが、発達障害の子の行動によい影響を与えるのではないかと研究をしています。
ジェニファー・ビソンと学生たちのチームによって、コンプレッション ウェアの療育における効果について調査が進められています。
コンプレッション ウェアを着て、子どもたちは療育を受けます。
コンプレッション ウェアは、スポーツ選手がよく着ている、伸び縮みする素材で出来た、体に適度な圧力がかかる服です。
研究者たちは、このコンプレッション ウェアが、発達障害の子が見せる、手をひらひらさせたり、指をこすったりする常同行動、自己刺激、こだわりを変えたり、少なくする効果があるのではないかと考えています。
研究チームは、研究に参加した子どもたちに10回の療育授業を行い、ビデオに録画しました。
そのビデオから、コンプレッション ウェアを着ている時、着ていない時で見せる自己刺激、常同行動、こだわりについてを分析しました。
その結果、コンプレッション ウェアに効果があることが明らかになりました。
コンプレッション ウェアを着ている時のほうが、子どもは落ち着いているのです。
その後の調査でも、ますますその結果が出ていると言います。
クレムゾン大学でのこの研究は2014年の秋から始められました。
発達障害の子どもたちの日常生活に制限を与えている、常同行動を少なくするための研究を行うことが目的です。
ビソンは、コンプレッション ウェアは、子どもの注意する方向を変え、常同行動を減らすという仮説をたてました。
この仮説は、コロラド州立大学の動物学の教授で、自身も発達障害であることから有名なテンプル・グランドンの研究から、ビゾンが導いたものです。
グランドンの研究では、圧力が加わる感覚は、発達障害の子によい効果があるというものでした。
そこでビゾンは、体に適度な圧力が加わるコンプレッションウェアにも効果があるはずと考えたのです。
「子どもたちは、様々な理由で常同行動を行っています。
時には、嫌なことを経験していることを示すために行ったり、嫌なことを減らすためにそうしています。
コンプレッション ウェアが、常同行動を減らしたのは、データから明らかです。」
ビゾンはそう言います。そして次のようにも言います。
研究チームと参加している家族はまだ研究を行っている最中です。
きちんとしたプロセスを経て、正式な研究結果を発表します。
これまでに、撮影されたビデオを用いて調査が行われました。
研究に参加した子どもの一人ひとりに、2時間以上の録画映像があります。
その録画映像を5分毎に分割して、感覚刺激行動についての分析が行われました。
これに参加している研究員のケルシー・ベネットは、強い動機を持って行っています。
ケルシーの母親は特別支援の先生です。そしてケルシーの兄は自閉症と診断されています。
そのために発達障害についてよく知っており、情熱を持っていて、研究を続けていきたいと考えています。
どうして兄は違った行動をするのか、もっと理解したいのですが、あせらず着実に研究を進めていくことに注意をしています。
「たくさんのデータを得て、分析を行い、前に進んで行きたいと考えています。
しかし、私たちは正確に、倫理的にも問題がないように行っていかなければなりません。
小さな一歩でも、大きな成果になることを忘れないようにして。」
コンプレッション ウェアは、すでに発達障害の子の助けになると宣伝が行われているものの、きちんとした研究がされていませんでした。
ビゾンの研究はこれを埋めることが期待できるといいます。
「現在は、コンプレッション ウェアは良いと宣伝をされていますが、
本当によいものであるのか、そうでないのかを示すためには、時間をかけて、証拠に基づいた研究結果が必要なのです。」
(出典・画像:米クレムゾン大学)
コンプレッション ウェア、ピチッとしたスポーツ選手がよく来ているあのかっこいい服です。
私も、夏に走る時には着ています。
着ると、適度な圧力を感じます。きもちいいです。
たしかに、子どもにもよさそうです。試しに着せてみるのもよいと思います。
(チャーリー)