- チームメイトはどんな人たちなのか?
- 障害を持つ子どもたちがチームでどのようにサポートし合っているのか?
- インクルーシブ教育を成功させるためにはどんな取り組みが必要なのか?
ベン・スタインのチームメイトはどんな人たち?
「みんな違っています。そして、みんな同じです。」
スタインはそう答えます。
良いチームを作るには、まさにそのとおりです。
ジャレンとベンの双子と、オースティン・ワグナーの3人の発達障害の子どもたち、そして、ほとんど目が見えないジェームス・マコーミック。
米イリノイ州のホノンガー・ハイスクールのスイミングクラブの4人は他の子どもと同じようにじゃれ合ったりしています。
マコーミックが、ターンの新しい方法を発見したりした時も、そんなふうでした。
練習の間は、プールの底をゆっくり動いていくのオレンジ色の装置を目印にします。
この装置は競技会では利用を認められていません。
そのため、目が見えないマコーミックが競技会で泳ぐ場合には、チームメイトが長い棒で、肩をたたくことが認められています。
「新しいおもちゃを手に入れたようです。
私たちのチームのメンバーは、相手に何か伝える時には、肩をたたいたりするのですが、
反対にたたかれるようにしたのです。」
コーチのクリスティーナ・カスパがそう言います。
マコーミックもこう言います。
「僕たちの間のジョークで、目の見えない子どもを叩いていじめてるっていうんだ。」
これは、マコーミックが、ちょうど求めていた支援方法でした。
マコーミックは学校のクラスでも、たとえば、特別なモニターセットなど必要な支援の除けば、支援を求めたり、自分から障害について語ることはしません。
「私たちは、それぞれみんな面白い。それが、私たちが面白い理由。」
特別支援の先生である、コーチのカスパが言います。
この4人の子どもたちが、水泳で競うのは特別なことではなく、いつものことです。
「私たちは、障害を特別なこととは思っていません。
ただの仲間で、一緒にいるのが好きなんです。」
水泳部のキャプテンの、ネイト・フィオリニが言います。
ジャレンは、中機能自閉症で4年生になってからは普通学級にいます。
100メートルの背泳ぎでの新記録を3回も出しています。
水泳が大好きです。
発達障害のオースティンも今年から普通学級に行くことになりました。
「チームに入って、チームの一員になったことで、まわりとのやりとりができるようになったようです。」
オースティンの母親が言います。
「ストレスを感じないでやりとりができるグループだったんです。」
双子の母親もそう言います。
ベン・スタインは、他の2人の発達障害の子に比べて重度です。
特別支援クラスにいます。
しかし、発達障害の3人の中では最も楽しそうです。
「たくさん楽しいことがあります。」
チームメイトと一緒になるといつも楽しそうです。
チームのみんなも、彼と一緒だと楽しそうです。
「僕を気にしてくれて、愛してくれているんだ。」
「スイミングは、僕の中で大きなものです。
生きていくなかで、うまくやっていく方法がみつけられそうです。
そうなるのが私の夢です。
僕は、ジャレンほどたくさんのことはできません。
けれど、僕の人生にもたくさんのことがあります。
僕も、来年になったら、ジャレンと同じくらいになりたいです。」
双子の姉のケイシーは、家族はいつも双子に普通の経験をさせてやりたいと言っていると言います。
スイミングがそうなっています。
「私たち家族は、スイミングに期待をしていませんでした。」
しかし、チームのみんながここまでになって、私たちを変えました。
マコーミックは、まわりからみると悲観的になる状況です。
どんどん、視力がなくなっているのです。
後3年から5年で全盲になると診断されています。
しかし、チームの誰よりもよく笑い、素敵な笑顔です。
「そのことを考えると、幸せなものではありません。
しかし、これまでの15年間で慣れてきたので、そうなる準備は整っています。
もともと、8歳で目が全く見えなくなると思っていました。
しかし、そうなりませんでした。
合併症などもあり、私の状態が正確には把握できないためです。」
マコーミックは見えなくなっても、もう泳ぐことができます。
見えなくなっても、他のチームのメンバーと変わるところはありません。
「僕は普通なんです。
自分で、自分が良いなと思うことは、言わないことです。
できない。とは言わないんです。
そういうことで、注目されたくないんです。
僕は普通の水泳選手なんです。」
発達障害のチームメイトもそうです。
「みんなは本当に楽しんでいます。そして、泳ぐと僕よりも速いです。
みんなも言いません。できない。と言いません。
したいこと、楽しいことをしています。」
スポーツは教育の一部です。チームとなることを教えてくれます。
プールに入れば、これほど優れたチームは他にありません。
コーチのクスカが言います。
「ここには、さまざまな障害の子どもたちがいます。
しかし、一緒に水の中に入れば、水の中では、自分のことも話せなければ、子どもたちが他に何ができるかもわかりません。そうして、一緒のチームのメンバになります。
障害のある子たちも、他の子と同じようにジョークを言います。
他の子と変わらずに、何でもがんばっています。」
(出典・画像:米rrstar)
みんな違って、みんな同じ。
インクルーシブ教育が成功するとすれば、みんながそう思っている場合だと思います。
インクルーシブ教育を成功させるためには、
障害のある子が、普通学級に行く。のとは逆に、
障害のない子が特別支援学校や支援学級に行き、(ただの見学ではなく)適当な期間、障害のある子と一緒に学ぶ機会を設ける。
ほうがよいのではいかと思います。
実際それを行うほど、インクルーシブ教育にメリットを感じる、障害の「ない」子や家族がどれほどいるかは疑問はありますが。
しかし、障害のある子だけでなく、
みんな違う。を実際に体験し、それが当たり前のことだとわかれば、それに助けられる障害のない子も多いはずです。
君には空気を壊す勇気をもって欲しい
(チャーリー)