- 母親が娘の特性を理解した瞬間とはどんな状況だったのか?
- 発達障害の子どもたちが適切な医療を受けることができない理由は何か?
- ラビアは何歳のときに音楽療法を始めたのか?
洗濯機の回るドラムを見ながら、体を揺らす子どもがいました。
彼女はリズムを外すことはありません。
母親は娘がそうすることを知って、メトロノームを与えました。
そして、娘が一つの音も外さないこともわかりました。
娘のことを理解した瞬間となりました。
その子どもは、今は音楽の天才となっています。
彼女の名前はラビア・アイテック。
「私の母は、私の親友なんです。」
母親のカナン・ドラネイ・アイテックを見ながら、ラビアは言います。
この母親と娘は発達障害の苦労をかかえながら、これまでに至ります。
母親のカナンは決して希望を失いませんでした。
発達障害の子を育てるのには多くの困難がありました。
特に、この頃のトルコでは発達障害について一般には理解がされていませんでした。
娘のラビアを心理学者のところに連れていって、それは家庭内で起きているトラウマによるものだと、誤った診断をされても、母親はあきらめずに、娘への治療を探し続けました。
本を読み、研究を続けて、母親は娘が発達障害と診断をされる数年前には発達障害について理解をしていました。
娘が見せる多くの兆候が、本にかかれていたことと一致していたからです。
しかし、経済的な問題から、適切な医療を受けることはあきらめていました。
母親は努力を続け、娘のラビアが8歳になったときに、音楽療法を始めました。
幼かったラビアは、演奏してみたい楽器をたずねられると、
「ギターをしてみたい。」と言ったので、イスタンブールのペンディック地区にある音楽を学べるところに通い、ギターの演奏を学びました。
最初は、ラビアはギターに触れることさえできませんでした。
しかし、バンドの一員として演奏を行う前のリハーサルで、みんなが驚くことがありました。
ラビアはリハーサルの直前に25もの曲を演奏したのです。
ラビアは先生の音楽の授業を聞くだけで、練習をしなくても演奏ができるのです。
「みんな驚いていました。」とラビアが言います。
ラビアの母親はコンサートの日にとても興奮をしたと語ります。
「コンサートの間に、娘が美しい声をもっていることもわかったのです。
娘に音楽の才能があることに疑いがなくなりました。」
母親は、娘にピアノ、バイオリン、ボーカルのレッスンなども週に4日を受けさせることにしました。
夜もバイオリンやギターを学びました。
「音楽が大好きです。
ギターの音が大好きです。他の楽器も好きですけれど。
ピアノやバイオリンも得意です。
チェロ、カヌン、パグラマや他の楽器も演奏できます。
もらった才能だと思っています。ソプラノの歌手もしています。」
ラビアは誇りをもって言います。
彼女は今、20もの異なる楽器を演奏できる音楽の天才なのです。
「私たちの話は一つの希望だと思います。」
母親はそう言います。
ここまでくるのに、発達障害によっておこるたくさんの経験をしてきました。
母親はボランティアで、発達障害の子どもたちへの支援活動を行っています。
「私は、自分の娘との経験から、障害のある人たちに役に立ちたいのです。」
ラビアはイスタンブール州立音楽音楽院とミーマー・シナン・ファイン・アーツ・ユニバーシティの音楽学科への入学を認められた初めての発達障害をもつ人です。
しかし高校時代は、クラスメイトから深く傷つけられることもありました。
「私が発達障害だからといって、近寄らないクラスメイトもいました。」
「けれど、パニックになったり、悩むこともありましたが、よい成績で卒業することができました。」
イスタンブール国立音楽院で5年間の教育を受けた後、同大学のトルコ音楽科のゲスト学生として教育を続けています。
ラビアはこれまで数多くのコンサートで演奏しており、音楽教師になることを夢見ています。
2015年には、プライベートアヤ特別教育学校で彼女が兄弟姉妹のように愛している障害を持つ学生に音楽を教えることもできました。
彼女は未来の大きな夢を持っています。
ソロアルバムをリリースし、白いピアノをピンクのドレスで演奏するコンサートを行いたいと考えています。
「私は、発達障害の人の成功例となりました。
そして、発達障害の人は音楽の世界でも成功ができることがわかったと思います。」
ラビアは言います。
そして、音楽学校を開くことも夢だと言います。
「様々なコンサートで公演をしたいと思います。
私だけでなく、発達障害をもつ人のためにもそうするのです。
私は、発達障害の人たちの声になります。そうなることに誇りを持っています。
発達障害だからといって、希望をなくすことは全くないのです。」
(出典・画像:トルコDAILY SABAH)
才能があっても、それを見つける、手伝う人がいなければ開花することは難しいのは言うまでもありません。
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本人、家族だけでなく人類全体にとって、それはいいことです。
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(チャーリー)