- 発達障害やADHD、自閉症を持つ子どもたちが他の子どもたちと交流するための方法には何がありますか?
- レトロゲームを通じて発達障害の子どもが楽しめる活動はありますか?
- 自分の子どもが発達障害を持っている親として、他の親と交流するためのイベントはありますか?
見た目と出来ることが飛躍的に進化して、映画のようなグラフィック、深いストーリー、たくさんの複雑な操作ができるのが今のビデオゲームです。
しかし、古くからのゲームプレイヤーの中には、ゲーム業界は進むべき道を見失ってしまったと言う人もいます。
ゲームはすごくなったものの、パックマンが持っていた面白さがありません。
ゲーム業界が見失ったものを、トリスタン・ウィットワースは見つけました。
ウィットワースは、ゲームオンビデオゲームという会社を今年の5月に設立しました。
2014年にレトロ雑貨のお店を開いてからです。
古いゲームが好きな人たちに、人気になりました。
古いゲームやグッズを買ったり、売ったり、交換するための聖地になりました。
店内フロアの多くの部分は、大人が子どもの頃を取り戻せるスペースになっています。
スターウォーズの宇宙船のオリジナル模型があったり、若い人にとっても家庭用ゲームの歴史が見えるものとなっています。
ウィットワースはホフストラ大学の心理学の学士号を取得しています。
ビジネスを始める前にはストーニーブルック大学で大学院レベルの理学療法を学んでいました。
ウィットワースは2000年に兄弟を自殺でなくしました。
ウィットワースは兄弟の思い出が残る、赤いボタンのついたコントローラーの古い単純なゲーム機への愛着を失うことはありませんでした。
「古いゲームが好きなんです。
それは私の兄弟、家族と、そして一緒に過ごした時間を思い出させてくれるのです。」
この気持ちはストーニーブルック大学で学んでいる間にもますます強まりました。
「たくさんの人生の選択肢がある中で、私からその考えが離れませんでした。
学校へ行け。集中しろ、道から外れるな。」
しかし、ずっとウィットワースの心の中には、家族と一緒に遊んだ90年代のゲームがありました。
なくなった兄弟が持っていたゲームへの情熱を深く知った時に、それまでは考えていなかった道へ進む決断をしました。
「最終的には、これが私のやるべきことなんだと、認めるしかありませんでした。」
まず在庫を確保する必要がありました。
ゲームオンは本物のレトロな製品しか扱いません。
「あなたのゲームを買います」とウィットワースが出した広告を見て、たくさんの人が売りに来ました。
自分の持っていた1万ドル(約100万円)程度をかけて、古い製品の買い取りをし品揃えをして、最初の店をオープンしました。
ゲームオンが揃える品は、ROMカートリッジの家庭用ゲーム機を主なものとして、Atari 2600から、1990年代半ばの16ビットゲーム機時代のゲームソフト、ソニック・ザ・ヘッジホッグなどです。
お店のスタッフは古いゲームの修理に長けています。
「スタッフの多くは、趣味のようにやっています。
汚くなったゲーム機も大好きです。
何かわからないことがあると、Youtubeに動画投稿をします。好きな人たちとみんなで一緒に学んでいくんです。」
ゲームオンでは、ゲームを遊べる場で楽しんでいる家族を見ることができます。
その場所では、楽しんでもらうことが第一で、売れることは二の次です。
「ここを楽しい場所にしたかったんです。
ここは、ゲームを買いに来て、出ていくだけを求める場所ではありません。
ここに来て、ただ遊んでください。」
ある家族には、ウィットワースが心のこもった方法でもてなしました。
13歳の発達障害の息子と母親が来ました。
息子はすぐに古いゲーム機のところに行きました。
母親は間もなく、涙を流しました。
「彼女の息子さんは幸せでなかったんです。」
その母親とウィットワースが、発達障害の子どもたちのための「レトロゲーム・ナイト」の話を始めました。
発達障害の子どもたちはゲームオンが大好きです。
「たくさんの発達障害の子どもたちが来ますよ。」
ウィットワースは「選ばれたお客様」として、お店に招待しています。
参加した家族たちはすぐに、他の家族を招待してもよいかたずねます。
小さなお店ではそれは無理でした。
ウィットワースは何度かそのような質問を受けて、
教会の場を使って月に1回、ゲームナイトを行うことを始めました。
11月のイベントには、30人ほどが参加しました。
さまざまな発達障害の若者たちがそこにはいました。
ゲームキューブやメガドライブの画面が映ります。
ウィットワースはそれぞれの人たちのところへ歩きたずねます。座ると、ウノを一緒に始めました。
発達障害に関わる家族たちが抱える悩み。他の人とやりとりがないことは難しい問題です。
「家族たちがお店に来てゲームをしていても、他の人たちとやりとりをすることはありません。
しかし、このゲームナイトだと、一緒になって遊んで、他の子どもたちとも同じで大好きなもので楽しめるのです。
そこで、本当に他の人とのやりとりを学んでいくのです。」
そして、子どもたちだけでなく親にも、メリットがあると言います。
「自分の子どもを奇妙な存在として思い、他の子どものようにスポーツが好きになったりしたらと願う親がいます。
しかしここに来れば、そういう親も他の親に出会い、そして子どもと一緒になってみんなで同じことを楽しめるのです。」
このゲームナイトは、ウィットワースのビジネスの売上に貢献しなくてよいとウィットワースは言います。
「それでいいんです。」
このイベントでは従業員のモチベーションも高くなって、彼自身も参加者たちがゲームをするのを見るたびに興奮ができると言います。
ゲームオンに大人の客が来て、昔のゲームの話ができる時にも同じく、興奮するといいます。
「ビジネスをしていくことは、ストレスがたまるものです。
しかし、文句は言わないでしょう。
ゲームを集めて、遊んで、ここに来たお客さんの反応を見る。
お母さんがここに来てゲーム機を買って、それで家で子どもたちと一緒に遊ぶ。
こんなに素晴らしいことはありません。」
ウィットワースはそう語りました。
(出典・画像:米innovateli)
新しいビジネスを立ち上げるにあたっては、立ち上げようとする人の意志や情熱など、その人の内から湧き出た数字にできない目に見えないものが一番に必要で重要だと思います。
これがなければ、どんなに綺麗な事業計画や潤沢な資金があっても無理です。
不確定な未来へ人生を賭けて漕ぎ続けることはできません。
そういう人であれば、提供されるサービスも本物です。まがいものではありません。
発達障害の方、家族が抱える問題、「他の人との交流」に対してゲームナイトを行う。
兄弟のご不幸の経験、お店にみえるそういった家族のお客様に対する真摯な態度、こういう人だから実現できたのでしょう。
感動しました。尊敬します。
そして、ものすごくマニアックなところも。私はずっとセガ派でした。
知的・発達障害者のスペシャルオリンピックス競技にeスポーツ
(チャーリー)