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発達障害・自閉症の子どもの逃走を防ぐ

time 2016/11/21

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。

発達障害・自閉症の子どもの逃走を防ぐ
  • 発達障害や自閉症の子どもが家からいなくならないために、どのような対策が有効ですか?
  • 自閉症の子どもがどこかへ行ってしまうのを防ぐために、どのようなテクノロジーを利用できますか?
  • 自閉症の子どもに対する介助犬の役割はどのようなものですか?

10歳のディアロ・アレックス・ジュニアはテーブルをペンで叩いたり、プラスチックのカップをスプーンで叩いたりして、音を立てるのが大好きです。
数か月前から、安全のために母親が設置した、閉まっているドアをがたがたさせる音が特に気に入っています。
自閉症の多くの子どもと同じように、ディアロはまわりにある音や光景を探すのが好きです。
そのために、どこかへ行ってしまうこともあります。
自閉症の子の親たちは「逃走者」と呼んだりします。
動きたいと思う止まらない気持ちが、いやな気持ちにさせる場所から、興味をもてる何かがある場所へ子どもたちを突き動かします。
ディアロのシングルマザーのカサンドラは、その悩ませる問題があるため、夜眠ることができません。
ディアロが大きくなるに連れて、ますます深刻なものになってきました。
ディアロが公園やプールへ行こうとして、近くの住民や時には警官につかまることが起こり始めました。
これは今も起き続けています。
母親はディアロに名前を書いたブレスレットを身につけさせて、ドアに鍵をかけ、常にディアロを監視するようにしました。
そのようなことをしても、母親はディアロが心配です。
ディアロは数語しか話すことができません。きちんと話すことはできません。
「息子は、安全への認識が全くないのです。
けれど、家から出ていく知能はあるのです。
それは本当に怖いことです。だれも理解してくれません。
ずっと、その恐怖と一緒に生きてるんですよ。」

自閉症の子どもは増えていて、アメリカでは68人の子どものうち1人は自閉症です。
親たちや専門家は、自閉症の子どもたちが家から出ていかないように、セキュリティシステムや安全を教える新しい方法を考えています。
親たちは、いち早くそれを実現するために、iPhoneでいる場所がわかるようにしたり、警察も使っているブレスレットを使ったりしています。
自閉症の子どもたちのおよそ半分が、4歳を過ぎてから一回以上、家からいなくなってしまったことがある。
という発達障害者支援団体のオーティズム・スピークスの調査結果があります。
そして、1/4は、親が心配になるくらいの長い間、見つけることができませんでした。
多くの子供たちに、おぼれたり、交通事故に会うリスクがあったとその調査結果は伝えています。
自閉症の子どもは典型的な発達をした子どもたちに比べて、3倍も家からいなくなってしまうのです。
別の問題もあります。
自閉症の子どもの多くは、危険に対する認識ができません。
オーティズム・スピークスの行動分析の専門家、デイブ・ゲインズが語ります。
あるものごとについて、自閉症の子どもの偏った興味が、さまよわせる原因となります。
そして、自閉症の子どもだから起きる、予期せぬリスクもあります。
「典型的な子どもは、まわりのことを自然に学びます。
発達障害の子どもは、そのように発達をしていません。
私たちが普通に知っていることを知りません。
知らない人への恐れ、火は熱い、家から出ることは安全でなくなる。そういうことを知りません。」
心配をして、近隣の人や警察などに苦労して説明を行っている親たちも少なくありません。
子どもへの監督が充分に出来ていないとして、ディアロの母親は児童保護を行っている地元当局から懲罰を受けたことがあると語りました。
しかし、母親がどんなに注意をしていても、ディアロがいなくなってしまう瞬間があります。
最近は、隣に住む人が、二階の寝室の窓の外でディアロを見つけました。
その窓は今はボルトで閉めています。
ディアロがもっと幼かった頃は紐を使っていたといいます。しかし大きくなると使えなくなって、できるだけ手や肘をつかむようにしています。
水が大好きなディアロが湖の中に入っていってしまうことを恐れて、大好きだった湖でのキャンプ旅行ももう止めました。
母親は、ディアロを水泳教室にも通わせましたが、全く身につきませんでした。
「息子は忍者みたいです。
注意していられない瞬間があります。朝、子どもたちを車に乗り込ませていたり、荷物を車に入れていたりする時です。
息子がぱっと走り出したら、止めることができません。」
オーティズム・スピークスでは、子どもがどこかに行ってしまわないようにするための物のリストを公開しています。
本やスマホアプリ、ひもなどです。
親たちや専門家は、子どもが逃走してしまわないためのヒントを得ることができます。
どこかへ行ってしまおうとする子どもを止めるために、親がまずしなければならないこと。
それは、子どもが何をしたいと思っているのかを見極めること。
オーティズム・スピークスのゲインズはそう言います。
注意をひくためにどこかに行こうとする子どもであれば、注意をひくための他の方法を教える必要があります。
何かが欲しくて逃走する子ども、例えば赤い板が欲しくてどこかに行こうとする子どもであれば、赤い板を家に置けば家にいたくなります。
「自閉症の子どもは強くこだわり、ずっと変わりません。
もし、衝動的にどこかへ行きたがる子どもであれば、じっとしていることが出来ないのです。
じっとすること、待つことを教えていく必要があります。
そうなって欲しいと思っても、その通りにはならないでしょう。しかし、よくなるはずです。」
デジタル化が進んだ現在では、発達障害の子どもをもつ家庭に、24時間、1週間ずっと見守ってくれる技術があります。
エンジェルセンスという追跡アプリをリサ・ブラウンは利用しています。
リサの双子の子どもたち、ダニエルとアンソニーはふたりとも発達障害です。
その子どもたちがどこかへ行ってしまうことがない方法を探して、このアプリを見つけました。
今は9歳ですが、双子は4歳を過ぎるとどこかへ行こうとすることが強くなったといいます。
エンジェルセンスは、子どもにGPSデバイスをつけて利用します。
そのデバイスはスマホアプリと定期的に通信をし位置を伝えるます。
10秒毎に地図上に子どもの位置を表示させたり、子どものまわりの音を聞くことができます。
今月、リサはダニエルとアンソニーが休憩時間を過ぎても、長い時間、学校の建物の外にいるのをアプリからの通知で知りました。すぐに学校へ電話すると、その日は休憩時間が遅れていて、先生に引率されて出かけていたことがわかりました。
「私はアプリでどこにいるのか、何をしているのかを見ています。
一年以上、ずっと利用しています。とてもこれはいいです。安心できます。」
いくつかの地方の警察では、発達障害の子どもや徘徊する痴呆老人のためにライフセイバー・プロジェクトと呼ぶ追跡装置を利用した取り組みを行っています。
手首や足首につける装置を身につけてもらい、いなくなってしまった場合には警察が迅速に見つけることができるようにするものです。
発達障害の子どもがまだ小さいときには、ひもなどが安全に役に立ちます。
しかし、大きくなってくると、介助犬のような別の方法がよいと専門家は言います。
発達障害者向けの介助犬の提供を行う組織のエリス・レイラーが言います。
発達障害の子どもがどこかに行ってしまうようなことを、介助犬は防ぐことができます。
もしも、子どもが不安になって落ち着く必要があるときには、介助犬は落ち着ける場所へ連れて行きます。
介助犬は子どものそばに横たわったり、乗ったりして子どもを落ち着かせてくれます。
「介助犬と発達障害の子どもはすぐに仲良くなります。
特に話せない子どもとは。
犬も話せません。なので、ふたりだけがわかる言葉ができてくるのです。
この絆は、私たちにはわかりません。魔法のようです。」
(出典・画像:米THE SACRAMENTO BEE

体も大きくなって動きが悪くなってきたのもあるかと思いますが、最近はたーっと走り出してしまうことはほとんどなくなりました。むしろ走らせるほうが苦労するくらいです。
走り出してしまうことがあった頃は本当に心配でした。
ご苦労が続く家族も多いと思います。
プロジェクト・ライフセイバーはこちらの記事で。
米国ネブラスカ州のライフセーバー・プロジェクト
介助犬についてはこちら。
発達障害児の悪夢を追い払った犬

(チャーリー)


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