
- 言葉を発することができない子どもとどのようにコミュニケーションを取るべきですか?
- 自閉症の子供を持つ親はどのようにサポートを求めるべきですか?
- テレパシーや超感覚の主張に対してどのように考え、対応すればよいでしょうか?
ディズニー映画『リメンバー・ミー』には、死後の世界で旅立った魂たちが入国審査所を通過しようとする、印象的なシーンがある。
上映から26分9秒後に訪れるこのシーンを、メアリーは画面を見ずとも鮮明に思い描くことができる。
彼女はこの映画をすでに1,000回以上も観ている。
メアリーの息子たち、ライダー(6歳)とマーフィー(4歳)は、『リメンバー・ミー』が大好きだ。
映画を見ている間、二人はプレッツェルを手に取り、集中して、エンドロールが完全に終わるまで見続ける。
「うちの子たちはエンドロールが本当に好きで」とメアリーは笑う。
しかし、ライダーもマーフィーも、生まれてから一度も言葉を発したことがない。
二人は幼少時に「非言語的自閉症スペクトラム障害レベル3(最重度)」と診断された。
これは、日常生活のあらゆる面で強い支援を必要とする重い症状である。
彼らは『リメンバー・ミー』への愛情も、プレッツェルを好むことも、両親に対する気持ちも、言葉で伝えることができない。
子どもたちと意思疎通ができないことの辛さを、メアリー自身もうまく言葉にすることは難しい。
「毎日の生活の中で直面することを説明するのは…」と言葉を詰まらせるメアリー。「とてもつらいことです」
メアリーの人生は、この6年間、二人の息子の支援に完全に捧げられてきた。
数年前、彼女の母親がシドニーの病院で亡くなったとき、悲しむ間もなく、数時間後にはニューサウスウェールズ州の自宅に戻った。
家中から祖母の写真を取り除いたのは、ライダーとマーフィーに「なぜ写真では祖母を見ることができるのに、もうFaceTimeで話せないのか」を説明することができなかったためだ。
メアリーは外出をためらうようになった。
外に出ると、息子たちは刺激過多でパニックを起こし、自傷行為から守ろうとする彼女の身体には痣が絶えない。
慢性的な疲労と睡眠不足は、介護者の燃え尽き症候群を引き起こすほどである。
実際、ある研究では、自閉症児を育てる親のストレスは戦地の兵士やホロコーストの生存者と同等レベルに達するという報告もある。
こうした現実はメアリー一家だけでなく、世界中の多くの家庭で共有されている。
そんな中、2024年末に登場したポッドキャストの番組『テレパシー・テープス』は、大きな注目を浴びた。
この番組では、「言葉をほとんどまたは全く話せない自閉症児が、従来の理解を超えた特別な能力――例えばテレパシーや超感覚を持っている」という主張がなされる。
最初、『テレパシー・テープス』はメアリーにとって希望を感じさせるものに思えた。
自分が聞いたことのない息子たちの声を聞ける可能性があるかもしれないからだ。
しかし、実際にポッドキャストを聞いたメアリーの反応は衝撃だった。
「こんな番組があることは本当に悲しく、恐ろしいことです」と彼女は言う。
『テレパシー・テープス』は、アメリカの映画監督で自称「科学オタク」のカイ・ディケンズと、超能力研究の提唱者で精神科医のダイアン・ヘナシー・パウエルが制作したものである。
彼女らはメキシコから来た12歳の少女ミアを含む数名の自閉症者に会い、テレパシー能力の実験を行う。
たとえば、母親にだけ見せた数字や本の内容を、ミアが完璧に言い当てるシーンが紹介される。
しかし、専門家によると、この実験には「文字盤コミュニケーション(S2C)」や「迅速促進法(RPM)」という手法が使われており、これらは「ファシリテーテッド・コミュニケーション」という既に科学的に否定された手法の延長である。
実験では介助者が文字盤を持ち、自閉症の人の体に触れており、メッセージが実際には介助者によって作られている可能性が高いという。
オーストラリア、アメリカ、イギリスをはじめとする各国の保健機関や心理学協会は、ファシリテーテッド・コミュニケーションを非科学的であるとして公式に否定している。
それにもかかわらず、この手法は「効果がある」と主張する一部の親たちに支持され続けている。
専門家たちは、『テレパシー・テープス』のような疑似科学的な情報が、実証済みで安全な支援方法から親たちの注意を逸らしてしまうことを懸念している。
グリフィス大学のデビッド・トレンバス教授や、オーストラリアのキッズ研究所のアンドリュー・ホワイトハウス教授も、「重要なのは自閉症の子とその家族をありのままに認め、支援することだ」と訴える。
一方で、番組の制作者であるディケンズは「自閉症の子の声や自律性を尊重し、既存の概念を揺さぶることが目的だ」と述べている。
自閉症の子を育てる親たちに共通しているのは、どのような方法であれ子どもを理解し、自立を助けたいという深い願いだ。
そのため、『テレパシー・テープス』を信じる人々と、科学的な支援を重視する人々の間には深い溝が存在するが、彼らが子どもたちの幸せを願っていることには変わりない。
メアリーを含め、多くの親たちが日々直面している現実は複雑で厳しい。
しかし、だからこそ、自閉症の子とその家族を支えるための正確で安全な情報が必要とされている。
(出典:英The Guardian)(画像:たーとるうぃず)
うちの子も話すことができません。
小さな頃、一度だけ「おかえり」と言ってくれたことがありますが、言葉がなくなりました。
ずいぶんと大きくなった今でも、また、何でもいいのでいつか、何か話してほしいと思います。
ですが、つけいるインチキは勘弁です。
(チャーリー)