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自閉症の子がもっと運動できるように。ChatGTPが支援

time 2025/04/13

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

自閉症の子がもっと運動できるように。ChatGTPが支援
  • 自閉症や発達障害のある子どもが、自宅での運動プログラムをどのように楽しく取り組めるようになるか?
  • AIを利用した運動プログラムの具体的なステップは何か?
  • 家庭で運動することに対する不安をどのように軽減できるか?

アメリカのミシガン大学が取り組んだ最新の研究が、自閉症をはじめとする発達特性のある子どもたちとその家族の間で静かに注目を集めています。その理由は、ChatGPTを使って、自宅でできる運動プログラムを誰でも使いやすく改良することに成功したからです。

ミシガン大学のレベッカ・ハッソンをリーダーとする研究チームにより行われました。
ハッソンたちは、発達特性のある子どもたちが「運動したくてもできない」という現実的な壁に着目しました。
そして、その壁を取り除くためにAIを使うという大胆で画期的な方法を実践しました。

アメリカでも発達特性のある子どもたちは、健康のために必要とされている1日60分以上の運動がなかなかできていないという現状があります。

子どもが自閉症や発達障害の診断を受けたとき、親として「外に連れて行ってもなじめない」「スポーツ教室に行かせても続かない」「家での運動ってどうしたらいいの?」と感じることは少なくありません。

ミシガン大学の研究チームが改良に取り組んだ「インパクト・アット・ホーム」という運動プログラムは、もともとは学校の体育授業の代わりとして、家庭でも短時間で取り組める運動を提供するために作られたものでした。
新型コロナウイルスの流行で、学校に行けない子どもたちが増えたことをきっかけに生まれたプログラムでしたが、発達特性のある子どもたちには難しい部分が多かったのです。

たとえば、

  • 説明が長すぎる
  • 言葉が難しすぎる
  • 動きが複雑すぎる
  • 次に何をすればいいのかわかりにくい

こうした課題が、運動そのものへの苦手意識や不安を強めてしまっていたのです。

研究チームが行ったのは、これまでに収録されていた132本もの運動動画から、500種類以上の運動を一つ一つ抽出し、それぞれの動きを整理・分類することから始まりました。


そして次に行ったのが、その運動一つ一つに対して「発達特性のある子どもでも理解しやすい、短くて、わかりやすい説明文」を作ることでした。

ここで登場したのがChatGPTです。

研究チームはChatGPTに次のような指示を与えました。
「自閉症の子どもでもわかるように、ジャンピングジャック(開脚跳び)のやり方を短いステップで説明してください。」

するとChatGPTは、

  1. 足を広げる
  2. 手を上げる
  3. 足と手を戻す

といったような、誰でもすぐに理解できる説明を返してくれました。

これを受けて研究チームは、ChatGPTが生成した説明をさらに専門家の目でチェックし、不要な言葉を省き、統一感のある表現に整えていきました。そして、最終的にはすべての運動に、たった2〜3語で次の動きを伝えられる「キーワード(合言葉)」を作ったのです。

これにより、子どもたちは「スクワットなら、足ひろげ→すわる→たつ」のように、短い言葉だけで次に何をすればよいかが自然と理解できるようになりました。

この方法は、発達特性のある子どもにとって非常に大きなメリットがあります。
なぜなら、説明が長いと、それだけで頭の中がいっぱいになってしまい、次の動きに移ることが難しくなるからです。
短いキーワードだけで動きの流れが伝わることは、子どもの自信を大きく支えることになります。

さらにこの研究では、とくに難しい動き(バーピーなど)については、その動きをさらに細かく分解し、ステップ・バイ・ステップで学べる動画も新たに作成しました。
たとえば「ジャンプの練習」「腕の動きだけ」「足の動きだけ」といった動画を段階的に用意し、最後にそれらを組み合わせることで複雑な動きも自然にできるようになる仕組みです。

このすべての動画と説明は、無料でインターネットから利用できます。
しかも、テレビ放送(ミシガン州の教育チャンネル)でも視聴できるようにしており、家庭にパソコンやスマホがなくてもアクセスできるようにしています。

米ミシガン大学 https://inpactathome.umich.edu/

研究チームが大切にしたのは、「すべての子どもに運動の楽しさを届けたい」という思いでした。特に発達特性のある子どもにとって、「できた!」という体験は何よりの自己肯定感につながります。

そして、その実現を支えたのがChatGPTというAIだったのです。

もちろんAIだけに任せるのではなく、人間の専門家がしっかり確認し、直し、工夫を重ねました。だからこそ、安全でわかりやすく、誰でも使いやすいプログラムが完成したのです。

この取り組みは、これから日本でも大きなヒントになるかもしれません。

たとえば、家庭で運動する時間が少ない子ども。体育が苦手で自信がない子ども。外に出るのが苦手な子ども。そうした子どもたちと一緒に、ChatGPTを使って「自分だけの運動プログラム」を作ってみるのもいいでしょう。

研究チームは「AIは魔法の道具ではない。でも、人が工夫して使えば、とても強い味方になる」と語っています。

この研究は、発達特性のある子どもたちにとって、AIと人間が力を合わせることで生まれる「新しい可能性」を示しているのです。

(出典:米ミシガン大学 Frontiers)(画像:たーとるうぃず)

たすかに、「バービー」と言われても、初めて聞く子供には、なんのことだかさっぱりのはずです。
教える方も、

「これまでに収録されていた132本もの運動動画から、500種類以上の運動を一つ一つ抽出し、それぞれの動きを整理・分類」

をもとに行うことは、人手だけではなかなかできなかったでしょう。

AI、ChatGPTの素晴らしい使い方ですね。

自閉症の子の運動支援で社会性・コミュニケーション改善。研究

(チャーリー)


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