
- ASDと知的障害を持つ子供のために、どのような支援が最も効果的ですか?
- 併存する障害に対して、早期の介入はどのように役立ちますか?
- 家族や周囲がどのように理解し、サポートを提供すればよいのでしょうか?
自閉スペクトラム症(以下、ASD)と知的障害(以下、ID)の併存は、近年ますます注目されるようになっています。
これら二つの障害が一緒に存在すると、診断や治療が難しくなり、本人や家族が直面する困難も大きくなることが分かっています。
将来的な治療法や支援方法を改善することを目的に、ブラジルの複数の医療研究機関および大学が、ASDとIDが同時に存在するケースの実態を調査しました。
ASDは主に以下のような特徴があります:
- 社会的なコミュニケーションや対人関係に困難がある
- 特定の行動や興味に強くこだわる
- 日常の変化への対応が難しい
- 感覚の過敏または鈍麻
一方、知的障害は以下のような特徴があります:
- 認知機能の低下
- 日常生活の適応能力に著しい困難を抱える
- 自己管理能力や自己表現が困難
- 社会的ルールや環境への適応が難しい
実際に、ASDのある人の約3~5割が知的障害を併せ持っていると言われています。
これはかなり高い割合であり、そのため専門家たちは、この二つの障害がなぜ同時に現れるのか、どのようにサポートすべきかという研究を続けています。
最近の研究からは、ASDとIDには遺伝的な背景に共通点が多いことが分かってきました。
これらの遺伝子がうまく機能しないと、脳の中の神経細胞同士のつながり(シナプス)が正しく働かなくなります。
結果として、学習能力やコミュニケーション能力、社会性などに影響を及ぼしてしまうのです。
また、脳画像を使った研究では、ASDとIDのある人たちの脳が、前頭葉や側頭葉といった領域で通常とは異なる発達をしていることも確認されています。
これらの脳の領域は、計画性や注意力、記憶力などを担っています。
つまり、脳の発達のしかたそのものが、これらの障害を引き起こす一因になっているのです。
さらに、ASDとIDを持つ人の多くが、他の様々な症状も抱えていることが知られています。
とくに頻繁に見られる症状は以下の通りです:
- てんかん発作(約20~40%)
- 睡眠障害(最大80%)
- 消化器系の問題(便秘、胃痛、食べ物への過敏反応など)
- 不安症状や気分の落ち込み
- 感覚処理の困難(音や光、触覚などへの強い反応や鈍感さ)
これらの症状は本人が上手く伝えられないことも多く、時には強い不快感が行動の問題(イライラやかんしゃく、自傷行動)として現れることもあります。
支援や治療の代表的な方法として以下があります:
- ABA(応用行動分析):望ましい行動を促すために日常的な行動を細かく観察し、繰り返し指導する方法
- 代替コミュニケーション法(写真や絵カードを活用したコミュニケーション支援)
- 薬物治療(リスペリドンなどの薬剤を使用)
- 行動療法や認知療法(不安や気分障害への対応)
こうした支援の中でもとくに重要なのは、早期の介入です。
できるだけ早く診断し、子どもの頃から適切な支援を開始することで、社会性やコミュニケーション能力を大きく改善できる可能性があります。
最近期待されている治療法として以下のようなものがあります:
- AI(人工知能)を活用した個々に適した支援プログラムの作成
- バーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)を利用した社会的スキルの訓練
- 遺伝子検査などを利用した個別化医療
- 脳画像技術を利用した早期診断や治療効果の予測
障害を抱える本人だけでなく、その家族を支える環境整備も重要です。
以下のような長期的サポートが求められます:
- 職業訓練
- 生活サポートの継続
- 地域社会全体での理解促進
- 政策的な支援の充実
- 家族への心理的・社会的支援
- 教育現場での包括的な支援体制
ASDとIDを持つ人が安心して社会の中で生活できるよう、私たち一人ひとりが理解を深め、受け入れる姿勢を持つことが求められています。
専門家たちの研究が進み、私たちがこうした障害への理解を深めることが、障害を持つ人々とその家族の生活をより良い方向へと導くための第一歩になるでしょう。
(出典:Research Gate)(画像:たーとるうぃず)
うちの子は重度自閉症で知的障害もあり話すこともできません。
特別支援学校を卒業後、現在は生活介護施設に通っています。
たしかに小さなころは、本当に眠りませんでしたが、薬を飲むようになってからはよく眠っています。
そのほかは、親子ともにずっと笑顔で過ごすことができてきました。
日本の支援システムには心から感謝しています。本当に日本に生まれてよかった。
(チャーリー)