
- 自閉症の特性が年齢や性別によってどのように変化するのか、どのように理解すれば良いのか?
- 自閉症に伴う行動や感情の問題をどのように評価し、支援に生かすべきなのか?
- 男性と女性の自閉症の特性における違いをどのように考慮してサポートを提供すれば良いのか?
カナダ、イスラエルなど複数の研究機関が共同で行った最新の研究によると、自閉症の子どもたちが抱える特有の行動特性と、同時に発生する感情や行動の問題が、成長につれてどのように変化するかが、男女で異なることが明らかになりました。
この研究は、カナダのブリティッシュコロンビア大学やマギル大学、オタワ大学、さらにイスラエルのテルアビブ大学などの国際的な研究チームが共同で実施したもので、2歳から12歳までの自閉症児389名を対象に約10年間にわたって追跡調査したものです。
研究チームは、子どもたちの保護者に対して「社会的応答性尺度(Social Responsiveness Scale:SRS)」という質問票を用いて、自閉症に特有の行動(たとえば、人との交流が苦手だったり、同じ行動を繰り返したりする特徴)の程度を定期的に評価してもらいました。
また、「子どもの行動チェックリスト(Child Behavior Checklist:CBCL)」という別の質問票を使って、子どもたちが示す不安や落ち込み(うつ傾向)、注意が散漫になる(ADHD)、反抗的な態度(反抗挑戦性障害)といった感情や行動面の問題の程度も評価しました。
調査の結果、まず、自閉症の行動特性を評価する際に、保護者が感じる子どもの年齢や他の問題(たとえば、不安や注意欠如など)によって評価に偏りが生じる可能性があることが明らかになりました。
具体的には、「大人にしがみつきやすい」といった行動は、子どもが不安を抱えている場合に保護者が強く評価しやすく、また「活動から活動へと無目的に動き回る」という行動は、注意欠如・多動性障害(ADHD)の子どもに対して保護者がより強く評価する傾向が見られました。
このことは、これらの行動が必ずしも自閉症だけでなく、他の問題とも関連している可能性を示しており、自閉症特性を正確に評価する際には注意が必要であることを示唆しています。
さらに重要な発見は、自閉症特性と感情・行動の問題との関連が、年齢と性別によって大きく異なることでした。
とくに男の子の場合、7歳から9歳ごろに社会的な交流の難しさ(他者との交流が苦手で避けてしまう傾向)が強くなり、それと同時に不安や気分の落ち込み、ADHDなどの行動問題との結びつきが最も強まることが確認されました。
しかし、この関連性は男の子が10歳を過ぎると徐々に弱まっていく傾向がありました。
これに対して女の子の場合は、男の子とは異なる傾向が見られました。
女の子は、自閉症の特性と不安などの感情問題との関連性が幼児期から学童期、そして思春期にかけて徐々に強まっていきました。
とくに10歳以降になると、自閉症特性のうち、同じことを繰り返す行動やこだわりが強い特性(反復行動や変化への抵抗)と不安症状との関連が強まり、男の子よりも深刻な問題として現れる傾向があることが分かりました。
この男女の差が生じる背景として、研究者たちは、男の子は小学校に入学するなど環境の変化に直面したときにとくに社会的交流の困難さが浮き彫りになる一方、女の子は社会的に求められる役割や期待を察知して周囲に合わせるために自分の本来の行動を抑えたり、感情を隠したりする「マスキング」と呼ばれる行動を取ることが多く、その結果として強い不安を抱えやすくなると説明しています。
また、今回の研究は、同じ「自閉症特性」として一括りにされがちな症状を細かく分類して評価することで、症状同士の複雑な関係性をより明確に理解できることを示しました。
たとえば、社会的交流が苦手な特性は、ADHDや反抗的な行動ととくに関連が強い一方、同じ行動を繰り返す特性は不安症状とより強く関連することが判明しました。
研究チームは、このような症状の詳細な理解と年齢や性別に応じたサポートが必要であると強調しています。
とくに小学校に上がる年齢の男の子には社会性をサポートするような支援が重要であり、10歳以降の女の子には不安のケアを中心とした心理的支援が必要であることを指摘しています。
今回の研究は、自閉症の子ども一人ひとりに合った効果的な支援を提供するために重要な手がかりを与えるものであり、教育現場や家庭での適切なサポートの方法を見直すきっかけになると期待されています。
(出典:Autism Research)(画像:たーとるうぃず)
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こうした調査研究によって、とくに小さな頃に今後どうなっていくか、確かなめぼしがつくようになれば、親子共に穏やかに過ごせることが多くなるはずです。
(チャーリー)