
- 自閉スペクトラム症の人々に対して、どのように緊急時の対応を改善できますか?
- 不安を軽減するために、どのような道具やサポートが有効ですか?
- 他の地域の消防局の取り組みを参考にする際、何を学ぶことができますか?
米メイン州オックスフォード消防救助局では、自閉スペクトラム症の人々との関わりをできる限り不安やストレスの少ないものにしたいと考えています。
同局は装備を開始した「自閉症キット」を紹介しました。
消防署長のアシュリー・ワックス=アームストロングはこう言います。
「自閉スペクトラム症の方々は、とくに緊急対応の分野において、長い間見過ごされてきたと感じています。
私たちはTikTokやInstagram、バイラル動画などからアイデアを得ています。
全国の他の消防局でも自閉症キットを導入しているのを目にしています。
自閉症の方は、危機的状況になると、慣れない人々や大きな音にうまく対応できないことが多いのです。
私たちが現場に持っていくものには、点滅するライトやサイレンなど、まさにそうした刺激が含まれています」
この「自閉症キット」は、巾着型のバックパックに入っており、中にはフィジェットトイやさまざまな小物、そして騒音を遮断するヘッドセットが入っています。
「フィジェットトイには、それぞれ異なる特徴や質感があります」
磁石でくっつくリングや、カチカチ音が鳴るおもちゃ、握ると柔らかいストレスボール、凹凸のあるプラスチックのボール、そしてチェーンやコード類が含まれています。
これらのキットは、現場で迅速に支援を行う際、対象者の気を逸らして落ち着かせるために使用されます。
「子どもでも大人でも、気持ちを落ち着かせるための道具を持っておきたいと考えました。
対象者本人が危機にある場合でなくても、たとえば隣の家で火事が起きたときなどに、不安から反応を示すことがあります。
そんなときにも役立つのです」
このキットは、救急車2台、消防署長の車両、そして現場に最も早く駆けつけることの多い消防車に常備されています。
最初の使用例はオックスフォードの店舗で起きたもので、到着後数分以内に子どもとの接触が成功したとのことです。
最初に用意された8セットのキットは、合計で220ドル(約33000円)でした。
今後、必要に応じて補充するため、オックスフォード消防救助協会が追加のキットを寄付する予定です。
「価格は手頃で、再現しやすいものにしたかったのです。
遊ぶおもちゃをひとつに絞ってもらうのではなく、キット全体を渡します。
自閉症の人たちのために」
(出典・画像:米Advertiser Democrat)
パニックのために、子供が燃えている家の中に戻ってしまうという、本当に痛ましいこともあるそうです。
こうしたキットで防げるのなら、常備が進むことを願います。
(チャーリー)