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自閉症の子の運動支援で社会性・コミュニケーション改善。研究

time 2025/03/29

この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

自閉症の子の運動支援で社会性・コミュニケーション改善。研究
  • ASDの子どもたちの実行機能を向上させるためには、どのような運動が効果的ですか?
  • 社会的スキルを高めるために、どのように運動プログラムを取り入れればよいですか?
  • 性別によるASDに関する研究結果の違いを理解するためには、何が必要ですか?

近年、自閉スペクトラム症(以下、ASD)の子どもたちが抱える課題と、その支援方法に関する研究が世界中で進められています。
とくに注目されているのが、「実行機能」と呼ばれる脳の働きと社会性との関係、そして運動や体力がそれらにどう影響するかというテーマです。
今回、中国の上海体育学院をはじめとした複数の研究機関が参加した大規模な研究によって、新たな知見が得られました。

実行機能とは、自分の行動を計画したり、感情をコントロールしたりする能力で、日常生活や社会的なやりとりに不可欠なものです。
ASDを抱える子どもたちは、この実行機能に問題を抱えることが多いとされ、それがコミュニケーションや人間関係に困難をもたらしています。

この研究では、中国の広東省や上海など複数の都市から、小学1年生から6年生までの428人の子どもたちを対象に調査が行われました。
参加者のうち117人がASDの診断を受けており、311人は発達に問題のない子どもたちでした。
研究チームは、これらの子どもたちの実行機能や社会的スキル、さらに体力について細かく調査しました。

その結果、ASDの子どもたちは、発達に問題のない子どもたちと比較して、実行機能が低く、社会的なやり取りにおいても多くの困難を抱えていることが明らかになりました。
とくに、「感情をうまくコントロールすること」と「情報を一時的に記憶し活用する(作業記憶)」の分野で大きな課題を抱えていることがわかりました。

また、実行機能と社会的スキルは非常に強く関連していることもわかりました。
たとえば、感情のコントロールが難しい子どもは、他者の気持ちを理解したり、社会的なサインを読み取ったりすることが苦手であり、それが孤立や不安、対人関係の困難につながっていることが示されたのです。

興味深いことに、この研究ではさらに、身体的な体力との関係にも注目しました。
研究チームが行った調査の結果、ASDの子どもたちの社会的スキルや実行機能と、体力との間に明らかな関係があることが明らかになりました。
とくに、握力などの筋力や柔軟性が高い子どもほど、実行機能や社会的スキルが高い傾向にありました。
一方で、バランス能力(片足で立つ能力)と社会的スキルとの関連性は見られませんでした。

この結果から、研究者たちは、ASDの子どもたちに運動を取り入れることで、社会性や実行機能が向上する可能性があると指摘しています。
とくに、筋力を鍛える運動や、体を柔らかくするストレッチなどが効果的である可能性が示されています。
つまり、身体を動かすことで、脳の働きが改善される可能性があるのです。

ただし、研究者はこの結果について、「体力が高いから実行機能が良い」のか、「実行機能が良いから体力が高い」のか、または両方が相互に影響しているのか、まだ明確にできていないとしています。
今後の研究では、長期間にわたり、運動を実際に取り入れた際にASDの子どもたちの社会性や実行機能がどのように変化するかを検証する必要があります。

また、この研究に参加した子どもたちは全員男児であったため、女児の場合にも同じような結果が得られるかどうか、性別による違いを調べることも今後の重要な課題とされています。

今回の研究を主導した上海体育学院のチアン・ワンやシューチー・ジャを中心とした研究グループは、「この研究結果は、自閉スペクトラム症の子どもたちの支援方法として運動を積極的に取り入れることの重要性を示すものであり、運動プログラムの開発や教育現場への導入が期待される」と述べています。

今後、自閉スペクトラム症の子どもたちへの運動プログラムが整備され、家庭や教育現場で実践されることによって、子どもたちがより充実した日常生活や社会生活を送れるようになることが期待されています。

(出典:Nature)(画像:たーとるうぃず)

うちの子も、小さな頃から運動として「歩く」ことはたくさんしてきました。

特別支援学校にいた頃は「歩行部」に所属。

大人になった今でも、ニコニコしながら、たくさん「ウォーキング」をしています。

自閉症の娘の母が作ったランニングクラブ「グループで一体感」

(チャーリー)


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