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自閉症や知的障害の子の「絵カード」の成功につながるポイント

time 2025/03/22

この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

自閉症や知的障害の子の「絵カード」の成功につながるポイント
  • PECSトレーニングはどのような子どもに特に効果がありますか?
  • 家庭での練習が成功にどのように寄与するのでしょうか?
  • 経済状況やトレーニングの頻度は子どもの成長にどのように影響しますか?

コミュニケーションが苦手な子どもたちが、絵カードで自分の気持ちを伝えるトレーニング「PECS(ペクス)」で大きな成果をあげています。
タイの首都バンコクにあるシリラート病院で行われた研究で、このトレーニングがどんな子どもたちにとくに効果的なのか、興味深い結果が明らかになりました。

「PECS」とは、「絵カード交換式コミュニケーションシステム」のことで、自閉スペクトラム症(ASD)や知的障害、聴覚障害など、さまざまな理由で話すことや言葉で気持ちを伝えることが難しい子どもたちを支援する方法です。
子どもたちは、自分の要求や気持ちを、絵カードを使って周りに伝えられるよう練習します。

今回の研究では、2020年から2023年の間に、このPECSのトレーニングを受けた61人の子どもたちを対象に調査を行いました。
年齢は約5歳~8歳くらいで、男の子が35人、女の子が26人です。
この子どもたちは、自閉スペクトラム症や知的障害、発達の遅れ、さらには聴覚障害を抱えていました。

研究チームは、1年間のトレーニング後に子どもたちがどのくらい成長したかを調べました。
成功したかどうかの判断基準は2つあります。
一つめは、「絵カードを正しく使って、自分の欲しいものを伝えることができるレベル」(PECSの第3段階)に到達したか。
二つめは、家族や医師が「コミュニケーションが良くなった」と実感できるか、です。

結果として、約46%の子ども(61人中28人)が、この「成功」と判定されました。
では、成功した子どもたちには、どのような特徴や環境があったのでしょうか。

まず、成功の大きな要素の一つは、「症状が軽めの子ども」であることでした。
障害や困難の度合いがそれほど深刻でない子どもたちは、このトレーニングで目覚ましい成長を見せました。
これは、「比較的コミュニケーションの土台ができている子どもほど、さらに飛躍的に成長する可能性が高い」ということを意味しています。

次に重要だったのは、「トレーニングを受ける頻度」です。
病院で年間6回以上、つまり2か月に1回以上のペースで定期的に専門家から指導を受けた子どもたちは、成功する可能性が非常に高くなりました。
専門的な指導を定期的に受けることの大切さが、改めて示された形です。

また、「家庭の経済状況」も影響しました。
比較的裕福な家庭の子どもたちは、成功率が高かったのです。
これは、経済的に安定している家庭の方が、子どものトレーニングに時間やお金を十分にかけられることを意味しています。

そして、もう一つ忘れてはならないのが、「家庭での練習」です。
家でも週3回以上、親と一緒に絵カードを使ってコミュニケーションの練習をした子どもたちは、成功率がとても高くなりました。
家庭での取り組みは、トレーニング効果を大きく引き上げることがはっきりと分かったのです。

さらに研究では、興味深い傾向も明らかになりました。
たとえば、自閉スペクトラム症の子どもたちは、他の障害を持つ子どもたちに比べて成功率がやや低めでした。
一方で、聴覚障害を持つ子どもたちは、聴覚を補助する装置を使用していることもあり、成功率が高くなる傾向がありました。
また、女の子の方が男の子よりも成功率が高い傾向も見られました。

この研究の結果は、「どの子どもがPECSでより大きく成長できるのか」を予測するための貴重なヒントを提供しています。
とくに、リソースが限られた環境では、トレーニングをどの子どもに優先的に提供するかを考える上でも非常に重要な情報です。

研究を行ったチームは、「すべての子どもが同じようにPECSで成果をあげられるわけではありませんが、適切な条件が整えば、多くの子どもたちが目覚ましい成長を遂げる可能性があります。
重要なのは、子どもの状況に合わせた丁寧な指導と、家庭の協力、そして継続的なトレーニングの機会を確保することです」と話しています。

このように、子どもたちがコミュニケーションの壁を越えて、自分の思いを伝えられるようになるためには、周囲の理解や支援体制がとても重要であることが改めて示されました。

(出典:Research Gate)(画像:たーとるうぃず)

重度自閉症で知的障害のうちの子は、幼い頃からずっと「絵カード」を使っていますが、自分から絵カードを指差ししたり、もったりして伝えてくれることはありません。

それでも、うちの子に伝える分には役に立っているように思います。

自閉症の子に「声」を。iPadがかなえたコミュニケーション

(チャーリー)


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