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自閉症は不適切な行動の免罪符ではない。偏見を広げる言い訳

time 2025/03/21

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

自閉症は不適切な行動の免罪符ではない。偏見を広げる言い訳
  • 自閉症であることを理由に、不適切な行動を正当化しても良いのか?
  • 社会的に難しい行動をした際に、どのように責任を取るべきなのか?
  • 自閉症に対する理解が広がる中で、どうやって偏見を防ぐことができるのか?

米国の作家のニール・ゲイマン、ラッパーのカニエ・ウェスト、キャスターのグレッグ・ウォレス。
この3人には一体どんな共通点があるでしょうか?
まず挙げられるのは、彼らがいずれも社会的に問題とされる行動を取ったと指摘されていることです。
ゲイマン氏とウォレス氏は昨年、複数の女性に対して性的に不適切な行動を取ったとして非難されました。
一方のウェスト氏も、数え切れないほどの問題発言で頻繁に物議を醸しています。

そしてもうひとつの共通点は、彼らが自身の行動の原因として「自閉症」を挙げていることです。

ウォレス氏は、女性の同僚に対する性的に不適切な言動は、自分が未診断の自閉症であったためだと主張しました。
またゲイマン氏も、ある被害女性によれば「自閉症のために相手のボディランゲージや社会的な合図が理解できなかった」と弁明したと言います。
ウェスト氏も、自身の反ユダヤ的な発言や不安定な行動について、自閉症が原因であるかのように示唆しています。

ゲイマン氏、ウォレス氏、ウェスト氏が実際に自閉症である可能性はもちろんあります。
自閉症とは主にコミュニケーションや感覚の面で特性があり、私自身もその当事者ですが、自閉症の人は一般的な人とは異なる視点や感覚で世界を認識しています。
ただし、自閉症には典型的な例というものがなく、人によってその特性は大きく異なります。
話すことが難しかったり、目を合わせるのが苦手だったり、じっとしていられないほど落ち着かない人もいます。
また、友人関係や恋愛関係、ちょっとした世間話が苦手な人もいます。その程度も千差万別ですが、多くの場合、自閉症があっても普通に社会生活を送ることが可能です。

ただし、自閉症の人は社会的に何が許されて、何が許されないかを直感的に理解できないことがあります。
冗談のタイミングや会話の進め方を間違えたり、意図せずに相手を傷つけてしまったりすることもめずらしくありません。

私たちが暮らす社会は、自閉症でない人々(ニューロティピカル)が中心に設計されています。
そのため、自閉症の人がただ自然にふるまっただけでも、周囲には「反社会的」な行動に映ることがあります。
私自身も意図せずにそうした行動を取ってしまい、何度も謝罪した経験があります。
本人に悪気はなくても、周囲に迷惑をかけてしまった以上、謝罪が求められるのは仕方ありません。
人間は皆それぞれ何かしらの課題を抱えて生きているものですが、それが行動の「理由」になったとしても、「言い訳」にはなりません。

問題なのは、最近一部の人々が、自閉症をあたかも「不適切な行動の言い訳」として利用していることです。

自閉症だからといって善悪の判断ができない、という考え方は非常に危険です。
その論理を認めてしまえば、あらゆる責任が曖昧になってしまいます。
また、このような誤解は世界中の大多数の真面目に暮らしている自閉症の人々に大きな悪影響を及ぼしています。

さらに問題なのは、自閉症が「理解」や「受容」という良い言葉で包まれながら、実際には悪用されていることです。

このような状況が広がると、自閉症の人は周囲から偏見を持たれることを恐れて、自分の診断を隠すようになります。
また、診断を受けることすらためらう人も多くいます。
残念ながら多くの文化や職場、法律が自閉症の人々に対する差別的な態度を持っている現状があるからです。

ゲイマン氏、ウォレス氏、ウェスト氏のような社会的成功者は、自閉症であったとしても社会の基本的な常識を理解できる能力があるはずです。
さらに、裕福である彼らは、自分の衝動やコミュニケーションの難しさをコントロールするための専門的な支援を受けることもできるでしょう。

一方、映画監督のティム・バートン、ミュージシャンのデヴィッド・バーン、フェイスブックの創設者マーク・ザッカーバーグもまた自閉症であることが知られています。
彼らは人類に偉大な貢献をしていますが、その成功を単に自閉症のためだと結論付けることも間違いです。

自閉症というのは単なるコミュニケーションと感覚の特性であり、それ自体が善悪の行動や特別な才能を保証するわけではありません。
自閉症の人々を特別視するのではなく、一人の人間として、公正に接することが必要なのです。

(出典:米spiked)(画像:たーとるうぃず)

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(チャーリー)


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