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自閉症の子の親のストレス緩和に効果あり。オンライン心理支援

time 2025/03/20

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自閉症の子の親のストレス緩和に効果あり。オンライン心理支援
  • 自閉症の子どもを持つ親が心理的なサポートを受けることで、どのように精神的健康が改善されるのか?
  • オンライン支援プログラムは、具体的にどのような知識やスキルを提供するのか?
  • 自閉症診断後の保護者が直面するストレスや不安を軽減するための支援は、どこで受けられるのか?

イギリスの研究グループは、新しく自閉症と診断された子どもの保護者を対象にしたオンライン支援プログラム「エンパワー・オーティズム(Empower-Autism)」が、保護者自身のメンタルヘルスを大きく改善することを明らかにしました。
この研究は、オンラインで提供される心理教育と心理療法が、自閉症児を育てる家族の心理的負担をどの程度軽減できるかを調べるために行われました。

自閉症スペクトラム障害(ASD)は、社会的なコミュニケーションや行動パターンに特徴的な差がみられる神経発達症の一種です。
子どもが自閉症と診断されると、その家族や養育者には精神的・心理的な負担がかかります。
とくに診断後間もない時期は、子どもの特性への理解不足や育児の難しさ、将来への不安などから、保護者が深刻なストレスや精神的な問題を抱えることがあります。

こうした背景を受け、英マンチェスター大学を中心とする研究チームは、「エンパワー・オーティズム」というオンラインで受講できる新しいプログラムを開発しました。

このプログラムは、自閉症に関する知識を学ぶ心理教育と、「アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)」という心理療法を組み合わせたもので、全部で5回のオンライングループセッション(1回あたり約3時間)からなっています。
ACTは、困難な感情やストレスとうまく向き合い、柔軟な考え方を促す心理療法として知られています。

「エンパワー・オーティズム」プログラムの各セッションでは、自閉症とは何か、自閉症のある子どもの行動の特徴や対応法についての具体的な知識が提供されます。
また、ACTを活用して、保護者が抱える悩みやストレスに対する心理的柔軟性を向上させるための練習が行われます。
セッション間にはオンライン上で追加の資料や練習課題が提供され、参加者が学んだスキルを実生活で活用できるよう支援されています。

今回の研究では、イギリス北西部の自閉症診断センターから、過去12か月以内に自閉症と診断された2歳から15歳までの子どもの保護者379名が参加しました。
参加者はランダムに「エンパワー・オーティズム」を受けるグループ(255名)と、通常の地域のサポートだけを受けるグループ(124名)に分けられました。
このランダム化は偏りを防ぎ、公平な結果を得るために重要な方法です。
そして、両方のグループの保護者が1年間にわたり定期的に追跡され、オンラインアンケートや電話インタビューなどで、精神的健康状態や日常生活におけるストレス度合い、自閉症に関する理解度、家族の幸福感などが測定されました。

1年後に行われた調査では、「エンパワー・オーティズム」に参加した保護者たちが、精神的な健康状態や幸福感の面で明確な改善を示しました。

具体的には、メンタルヘルスを測定する標準的な質問票(GHQ-30)で、プログラムを受けた保護者は受けていない保護者に比べて精神的健康度が有意に良好でした。
また、子どもの自閉症に対する理解や、診断されたことを受け入れる気持ち(心理的適応)、さらには家族全体の幸福感も改善されました。

一方で、子ども自身の行動や適応能力にはとくに変化がみられなかったため、このプログラムは主に保護者の心理的な健康や生活の質を向上させる効果が強いことが明らかになりました。
プログラムによる副作用や悪影響は報告されず、安全に利用できることも示されました。
研究を主導したマンチェスター大学のキャシー・リードビター博士はこう話します。

「自閉症と診断された子どもを持つ家族への支援は非常に重要ですが、現状では十分に行われていません。
今回の研究で、オンライン形式でも保護者への心理的サポートが大きな効果を持つことが分かりました。
これは今後の自閉症支援サービスの重要な一歩になるでしょう」

自閉症児を育てる保護者が経験する心理的な負担は大きく、その影響は家族全体に及びます。
今回の研究で示された「エンパワー・オーティズム」プログラムは、保護者の精神的な健康や日々の生活の質を改善し、自閉症児の養育に伴う心理的困難に効果的に対応できることを示しています。
オンラインで行われるこのようなプログラムは、場所や時間の制限なく、幅広い家庭に提供可能なため、今後の自閉症支援のあり方に大きな影響を与える可能性があります。
研究チームは、このプログラムをより多くの地域で導入することを推奨しています。

(出典:The Lancet Psychiatry)(画像:たーとるうぃず)

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子も親も安心できるように。自閉症家族向け支援プログラム

(チャーリー)


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