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オムツ替えは得意?自閉症特性の父親の育児参加。日本研究

time 2025/03/17

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

オムツ替えは得意?自閉症特性の父親の育児参加。日本研究
  • 自閉症特性を持つ父親は、子供の育児にどのように関与する傾向があるのか?
  • 自閉症傾向が育児に与える影響をどのように理解し、サポートすればよいのか?
  • 自閉症特性を持つ父親の得意分野と苦手分野はどのように分けられるのか?

父親の「自閉症傾向」が育児にどのような影響を与えるのか――。
これまであまり注目されてこなかったテーマについて、日本の大規模な研究調査から興味深い結果が報告されました。
島根大学や鳥取大学の研究者らが行った最新の研究によると、自閉症特性を持つ父親は、子どもの食事の支援や着替えの手伝いをする機会が少ない傾向にある一方、オムツ替えのような特定の育児行動はむしろ積極的に行う可能性があることが分かりました。

この研究は、日本全国から約10万人の子どもを対象に行われている「環境と子どもの研究(Japan Environment and Children’s Study、通称JECS)」のデータを分析したものです。
とくに注目したのは、父親が子育てにどのように関わっているのかという点です。
一般的に、父親の育児参加は子どもの健やかな発育にとって非常に重要であると考えられていますが、これまでの研究では、母親の育児に比べて父親の育児行動については情報が少なく、さらに自閉症特性を持つ父親の育児についてはほとんど知られていませんでした。

今回、研究チームは、子どもが2歳の時点での父親の育児参加状況を、母親または主な保護者が評価したデータを利用しました。
また、父親自身の自閉症特性については、「自閉症スペクトラム指数(AQ-J-10)」という自己記入式のアンケートを使って測定しました。
この質問紙は、自閉症的な特性を広く測定できるものであり、特定の診断を受けていない人にも使用できるよう作成されています。
具体的には、コミュニケーションや社会的スキル、想像力、注意の切り替えの難しさなどを尋ねる設問で構成されており、点数が一定以上の場合、自閉症特性が強いと判断されます。

調査の結果、全体の約6.7%の父親が自閉症特性を持つと分類されました。

その上で、父親がどの程度育児に参加しているかを調べたところ、いくつかの特徴的な傾向が見えてきました。

まず、自閉症特性を持つ父親は、そうでない父親に比べて、子どもの食事の準備や食べる手助けをすることが少ないことが明らかになりました。
また、子どもの着替えの手伝いにおいても、自閉症特性を持つ父親の方があまり関与していない傾向が強くなっていました。

これについて研究者は、自閉症特性を持つ父親が、子どもの行動や感情を直感的に理解することに難しさを感じる可能性を指摘しています。
たとえば、2歳頃の子どもは自我が芽生えるため、着替えを嫌がったり、自分の好きな服を主張したりすることがあります。
こうした子どもの急な行動や感情的な反応に対し、自閉症特性のある父親はうまく対応できない可能性があると考えられています。
さらに、食事の手伝いについても、子どもが自分で食べ始める頃になると、どこまでサポートすべきかを判断することが難しくなり、関与が減ってしまう可能性があります。

その一方で、自閉症特性を持つ父親の育児参加において、予想外の結果もありました。

たとえば、子どもと遊ぶ行動に関しては、自閉症特性があるかないかでほとんど差が見られなかったのです。
この結果は少々意外でしたが、研究チームは、遊びが比較的自由で、自分の好きなように関われるため、自閉症特性を持つ父親でもストレスなく参加しやすいのではないかと考察しています。
ただし、この「遊び」が具体的にどのような内容で行われているかは調べていないため、今後のさらなる研究が必要です。

また、興味深いことに、「おむつ交換」に関しては、自閉症特性の中でもとくに「社会的スキルが低い」「注意の切り替えが苦手」といった特徴を持つ父親が、むしろ積極的に関わる傾向がありました。
研究チームはその理由として、おむつ交換が繰り返しの動作で構成されるため、対話を必要とせず、一定のルーチンとして行いやすいからではないかと考察しています。
こうした繰り返し作業は、自閉症特性のある人々が得意とする傾向があるため、うまく適応できたのかもしれません。

一方で、「コミュニケーションの難しさ」を持つ父親は、育児全般においてあまり積極的に参加しない傾向が明らかになりました。
これは、自閉症特性に特有の対人関係や意思疎通の難しさが、育児場面でのコミュニケーションを難しくしている可能性があります。
とくに、子どもが幼児期(1〜3歳)になると、コミュニケーションを伴う育児行動が増えるため、そうした行動への参加が困難になる可能性があります。

この研究の重要な点は、自閉症特性を持つ父親が、単純に「育児が苦手」というわけではなく、「得意な育児」と「苦手な育児」が明確に分かれていることを明らかにした点です。
このことから、自閉症特性を持つ父親が得意な分野を活かし、苦手な分野については周囲が支えるような環境づくりが大切だと研究者は述べています。
とくに、家族や社会がこうした特性を理解し、具体的にどのようにサポートできるかを検討することで、より父親が育児に積極的に参加しやすくなり、その結果、母親の育児負担の軽減にもつながる可能性があります。

最後に、研究チームは、この研究にはいくつかの限界もあると述べています。
たとえば、実際の育児行動の内容までは調べられていないことや、アンケート形式での自己評価のため、自閉症特性の有無が正確に捉えきれていない可能性があります。
今後は、より具体的な行動観察やインタビュー調査などを通じて、さらに詳細な情報を得る必要があるでしょう。

この研究によって、自閉症特性を持つ父親たちの育児参加の実態が明らかになったことは、今後の子育て支援の在り方に重要なヒントを与えることになりそうです。
多様な特性を持つ父親が子育てに参加しやすい環境を整えることが、家族全体の幸福度を高め、母親の負担軽減や子どもの健全な成長にもつながる可能性があることを示しています。

(出典:Nature)(画像:たーとるうぃず)

こうして理解されると、育児にますます参加できるようになるはずです。

ママとパパで、楽しくがんばっていただきたいものです。

自分が発達障害である父が、同じ親のために子育て経験を伝える

(チャーリー)


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