
- 自閉症スペクトラムを持つ子どもを育てる際、どのように家族の孤立感やストレスを軽減することができるのか?
- どのような情報やサポートが自閉症の子どもとその家族にとって最も必要とされているのか?
- 同じ体験を持つ家族との交流を通じて、どのように支え合うことができるのか?
自閉症スペクトラム(ASD)を持つ子どもを育てる親や家族は、そのケアに多くの時間やエネルギーを費やします。
そのため、親や介護者が孤立感やストレスを感じることはめずらしくありません。
また、多くの家族が、家族を中心に支援してくれるサービスや、役立つ情報を見つけることが難しいと感じています。
米クリーブランドクリニック小児自閉症センターで外来サービスのスーパーバイザーを務めるキアラ・グレーバーは、こう語ります。
「子どもが自閉症の診断を受けた直後に、私たちのもとを訪れるご家族も多いんです。
その時期は、親御にとって本当に大変なものです」
同センターは、自閉症の子どものケアに必要な専門的な技術やサービスを提供していますが、それだけでは十分ではなく、多くの家族は「仲間とのつながり」や「情報交換の場」を強く求めていることに気づきました。
「私たちが提供する治療の枠を超えて、経験豊富なご家族が新しく診断を受けたご家族をサポートしたり、励ましたりする機会を作りたいと考えました」
同じ悩みや体験を持つ人と交流することで安心感を得ることができ、患者である子どもを支えるためにも、その家族を支えることが大切なのだと強調します。
現在、この考えを実現するため、クリーブランドクリニックの支援金を得て、新たなプログラムが始動しました。
このプログラムの目的は、親や介護者のストレスを軽減し、支援の輪を広げ、家族の心身の健康を向上させることです。
このプログラムでは、自閉症の子どもを持つ家族が定期的に集まれる場所を提供し、専門のスタッフから個別のサポートを受けられるようにします。
社会的な交流の場でありながら、教育的な側面も備え、子どもたちを預かるサービスも提供します。
「子どもたちがスタッフと一緒に過ごしている間に、親御同士でゆっくり食事やおしゃべりを楽しんでもらえるようにしました。
また、普段なかなか聞けない質問や悩みを気軽に話せるような環境をつくりたいと思っています」
安心して正直な会話ができるグループ環境は、難しい話題でも打ち明けやすく、共感し合える関係づくりに役立つでしょう。
グレーバーはこれまでも別の形で家族支援のプログラムを運営してきましたが、自閉症の子どもを対象にした家族支援プログラムを担当するのは初めてだそうです。
今回のプログラムはこれまでの経験をもとに構成されており、同じ立場の人同士が互いに学び合うことの効果が研究でも認められています。
また、このプログラムでは、子どもたちも同伴できる仕組みになっています。
「ほとんどの家庭では、子どもを置いてくることは難しいでしょう。
だからこそ、お子もぜひ連れてきてほしいと考えています」
さらに、このプログラムでは参加者の数や親からのアンケート結果を継続的に集め、プログラムが親たちにとって本当に意味があり、役立っているかどうかを評価します。
また、家族が本当に求めている情報を提供できるように、参加者からの意見や要望を積極的に取り入れていきます。
臨床的なことだけでなく、家族の日常や悩みを反映した内容を重視する方針です。
初年度の試行期間が成功すれば、定期的に提供されるサービスとして定着させることも検討しています。
「私たちにとって一番の目標は、ご家族が孤独を感じたときにすぐに連絡できる相手がいる、同じ経験をした仲間がいると感じられるようにすることです」
(出典:米Cleveland Clinic)(画像:たーとるうぃず)
家族もサポートする。
ありがたいですね。
(チャーリー)