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自閉症の人は4倍以上「依存症」になりやすい。考えられる理由

time 2025/02/27

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

自閉症の人は4倍以上「依存症」になりやすい。考えられる理由
  • 自閉症スペクトラム障害(ASD)を持つ人は、なぜ依存症にかかりやすいのか?
  • ASDと注意欠陥・多動性障害(ADHD)の関連性は依存症のリスクにどのように影響するのか?
  • 依存症を神経多様性の一形態として理解することは、ASDとの関連にどんな新しい視点をもたらすのか?

依存症は単独の問題ではなく、精神医学的には他の精神的な問題と深く関連していることが知られています。
たとえば、双極性障害と診断された人は、一般の人々よりもアルコール依存症やその他の依存症を発症しやすい傾向があります。
このような関連性は非常に強く、「デュアル・ダイアグノシス(Dual Diagnosis)」という専門用語も存在します。
これは、精神疾患と依存症の両方を持つ人を指す言葉です。

しかし、もう一つの「デュアル・ダイアグノシス」があり、それはまだ十分に理解されていません。
それは、神経多様性(Neurodiversity)、とくに自閉症スペクトラム障害(ASD)と依存症の関係です。
近年、ASDを持つと自認する人が増えてきていますが、ASDが依存症のリスクを高めるのか、またその治療はどのようにすべきなのか、明確な答えは出ていません。

現在の研究によると、ASDと依存症には強い関連があると考えられています。
従来の臨床研究でもその関連性は指摘されていましたが、2017年に発表された大規模な調査では、ASDを持つ人が物質使用障害(SUD)を抱える確率が、ASDでない人の4倍以上であることが示されました。
これは、ASDが依存症にかかりやすいという強い証拠といえます。

では、なぜASDを持つ人は依存症になりやすいのでしょうか?

一つの理由として、ASDと他の神経多様性との関係が挙げられます。
とくにASDは注意欠陥・多動性障害(ADHD)と強く関連しており、ADHDは依存症との関連も深いことで知られています。
このため、ASDと依存症の関係の一部は、ADHDを通じて説明できる可能性があります。

しかし、2017年の研究では、ASDとADHDの両方を持つ人は、ASD単独の人と比較して依存症のリスクがわずかに高いだけであることが示されています。
つまり、ASDそのものが依存症の大きなリスク要因である可能性が高いのです。

また、診断のバイアスも関係しているかもしれません。
ADHDは依存症と関連があると認識されているため、依存症を持つ人がADHDと診断されやすい傾向があります。このため、ASDとADHDの関連が実際よりも強く見える可能性もあります。

では、ADHDの影響を除いても、なぜASDを持つ人は依存症になりやすいのでしょうか?

一つの仮説として、ASDを持つ人は一般の人と同じリスク要因を持ちながら、それがより強く作用する可能性が考えられます。
たとえば、社会不安を軽減するためにアルコールを使用することは、アルコール依存症の大きなリスク要因とされています。
ASDの人は社会不安を感じやすいため、これがアルコール依存症の発症リスクを高める要因になっている可能性があります。

また、ASDの特性そのものも影響を与えている可能性があります。
ASDの人は反復行動をとる傾向があり、この反復性が依存症の行動パターンと関連しているかもしれません。
さらに、ASDの特有の認知スタイル(たとえば、特定の興味に強く集中する傾向)が、依存症の発症に関与している可能性もあります。

ここで、依存症そのものについても考えてみましょう。

依存症はしばしば「弱さ」や「欠陥」として捉えられがちですが、実際には特定の心理的特性が関与しています。
この心理的特性そのものが良いとか悪いというわけではなく、単に「異なる」ものなのかもしれません。

依存症を持つ人は、特定の環境において差別や搾取を受けやすいために、否定的な結果を招きやすいだけであり、依存症という心理状態自体が本質的に問題であるとは限りません。
この考え方に基づけば、依存症は「神経多様性の一形態」として理解できるかもしれません。

この視点に立つと、ASDと依存症の関連性も新たな意味を持ちます。
ADHDとASDが関連しているように、もし依存症も神経多様性の一形態であるならば、ASDと依存症の関連性は「異なる脳の働き方の一つ」として捉えることができるのです。

現在の研究から、ASDと依存症には強い関連があることがわかっています。
その理由として、社会不安や反復行動の傾向が影響している可能性が考えられます。
また、依存症そのものを神経多様性の一形態と考えることで、ASDとの関連をより深く理解できるかもしれません。

ASDや依存症を「障害」として単に捉えるのではなく、人間の多様な脳の働き方の一つとして理解することで、新たな視点や支援の方法が生まれる可能性があります。

(出典:米Psychology Today)(画像:たーとるうぃず)

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(チャーリー)


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