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自閉症の視点から見る職場の現実と企業が言う多様性への疑問

time 2025/01/16

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

自閉症の視点から見る職場の現実と企業が言う多様性への疑問
  • 自分を隠さずに職場で働くためには、どうすれば良いのでしょうか?
  • 自閉症に対する理解や受容を企業内でどのように促進すればいいのでしょうか?
  • 意見が無視される状況を改善するためには、どういったアプローチがアリか?

自閉症の人々に多く見られるように、私もまた職場では「自分自身」を全面的に出すことはほとんどありません。

企業はよく「多様性と包括性を重視しており、皆がありのままの自分でいられる職場を目指している」と謳いますが、私の経験では、それが自閉症の人々にも本当に当てはまることはほとんどありません。

たとえば、こんな仮想の例を挙げてみます。
とはいえ、これは何度も繰り返された実体験に基づいています。

私が関わる業務について話し合うための会議が招集されました。
その業務の進め方について既に大量の計画や文書が存在しており、それらを実際に活用するよりも「計画を作ること」に時間が費やされている状況です。

そこで私は、事前に「本当にこの会議が必要なのか」と疑問を呈しました。
とくに、議題も目的も明確でないからです。
しかし、私の意見はあっさり却下され、結局、目的のはっきりしないまま会議への出席が義務付けられました。

会議当日、私はその後に自分の集中力や仕事が途切れてしまうことが分かっているため、開始1時間前からまともに仕事に集中できず、不安が募ります。

会議が始まると、参加者たちは既に全員が読んだはずの文書をただ読み上げるだけの時間が続きます。

私は「黙っている」ことを貫くつもりでいます。
というのも、一旦発言を始めれば、自分の意見が歓迎されず、問題を引き起こすと分かっているからです。

しかし、私は直接質問され、意見を求められます。
仕方なく正直に答え、会議の必要性に再び疑問を呈し、議論されている内容に対して率直な意見を述べます。
これらの意見は、他の出席者たちの見解とは大きく異なっており、彼らが提起した点についても確認を求めました。

しかし、私の意見は速やかに却下され、質問は完全に無視されます。

そして会議は他の全員が「すべて素晴らしい」と賛同する形で進行し、私が述べたことは完全に無視されました。
このような会議は、決定権を持つ人々の自己満足や形式的な手続きを満たすための茶番のように感じられます。

会議が終わると、またしても無視されたことに深く落ち込み、その日の残り時間は仕事に集中できません。

これは仮想の例ですが、ほぼ毎週のように、あるいはその一部でも同じような経験を繰り返しています。

無意味に思える会議への参加を強制され、そこで意見を求められます。
私は自分の意見を率直に述べますが、それは「間違った意見」として完全に無視されます。
その結果、深く傷つき、精神的なバランスを崩します。
そして、皮肉なことに、後から私の言ったことが正しかったと判明することが頻繁にあります。

このようなことを繰り返し強要されるのは、顔を殴られても反抗せず、痛みにすら反応しないことを求められるようなものです。
他の自閉症の人々も、このような拒絶や虐待のサイクルを、形を変えて日常的に経験しているのではないかと思います。

「異なる声」を歓迎する環境は、多くの場面でとくに職場では存在しません。

どんなに「包括性」を謳った美しい言葉があっても、それは本音ではありません。
私は、自分自身を職場に持ち込むことで精神的な健康を損なう危険があるため、あえてそうしないのです。

しかし、こうした「集団思考」を強いる風潮は、誰の役にも立ちません。

今こそ新しいアイデアや視点が必要な時代です。
歴史上の偉大な発見やブレークスルーを振り返ってみれば、企業の画一的なルールや同調圧力から生まれたものはほとんどないことが分かるはずです。

もちろん、私の自閉症的な思考が別の角度から物事を捉え、大きな問題を解決することがあると、突然「その違い」が歓迎されることもあります。
しかし、自分の自閉症的特性を他人の都合でオンオフできるものではありません。
都合の良い部分だけを選んで、困難な部分を切り捨てる、そんな都合の良い存在ではありません。

職場では、自分を守るために自閉症的な特性を隠すことがあります。
しかし、これは他人のためではなく、自分を拒絶や虐待から守るためです。
とはいえ、この「隠す」行為は、私の精神的な健康に大きな負担を与えます。

何よりも、企業にはこの「偽り」をやめてほしいのです。

本当の意味で「自分自身を職場に持ち込む」ことを求めているわけではなく、多様性や包括性を真に受け入れたいわけでもない。
ただそう見せかけて、従来通りのやり方を続けたいだけなのです。

この状況を続けるわけにはいきません。
変化は必ず訪れるでしょう。
しかし、それまでの間に多くの私たちが味わう痛みは、決して軽いものではありません。

(出典:米substack.com)(画像:たーとるうぃず)

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(チャーリー)


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