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自閉症の子は歩行に特徴がある。AI診断の新たな可能性。研究

time 2025/01/10

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自閉症の子は歩行に特徴がある。AI診断の新たな可能性。研究
  • 自閉スペクトラム症(ASD)の早期診断にはどのような新しい手法があるのか?
  • 歩行解析がASDの診断にどのように役立つのか?
  • 早期発見がASDの子どもたちに与える影響はどのようなものか?

インドの研究チームが、歩行解析と人工知能(AI)を活用して自閉スペクトラム症(ASD)の早期診断を目指す新しい手法を発表しました。
この研究は、ASDの子どもたちが示す特異な歩行パターンを数値的に捉えることで、従来よりも迅速かつ正確に診断を行うことを目指しています。
研究を主導したのはインドUPES大学のウメール・ジョン・ガナイ博士で、インド工科大学の博士らが協力しました。

ASDは、社会的なコミュニケーションや行動、感覚処理に困難を抱える発達障害で、100人に1人が影響を受けると言われています。
ASDの診断には、医師や心理士が行う観察、インタビュー、質問票などが使われますが、これらは時間がかかり、診断には専門的な知識と経験が必要です。
また、これらの方法では、診断が遅れやすく、社会的なスキルや言語能力の発達が見られる3歳以降に診断されることが一般的です。
このため、早期発見の重要性が指摘されていますが、従来の方法では限界がありました。

研究チームは、ASDの子どもたちが示す運動機能の特性に注目しました。
これまでの研究では、ASDの子どもたちは通常発達の子どもたちに比べ、運動能力や姿勢制御に問題があることが示されています。
とくに歩行は、感覚運動系の発達を反映する重要な指標と考えられており、ASDの子どもたちの歩行パターンには特徴的な差異があることが知られています。
たとえば、短い歩幅、不規則なリズム、ぎこちない動きなどが挙げられます。

今回の研究では、32人のASDの子ども(平均年齢5.97歳)と29人の通常発達の子ども(平均年齢4.86歳)が参加しました。
子どもたちには直線的な歩行を行ってもらい、その様子をビデオカメラで撮影しました。
歩行データは、Googleが開発した「メディアパイプ」というオープンソースの姿勢推定モデルで解析されました。
この技術は、体の18箇所の関節位置を2次元座標として出力し、関節の角度や動きの特徴を数値化することができます。
具体的には、右肘と右肩の角度、歩幅、歩行速度など、12種類の歩行関連パラメータを解析しました。

この中で、ASDの子どもたちは通常発達の子どもたちに比べ、歩幅が狭い、右肘の角度が小さい、右肩の角度が大きいといった特徴が見られました。

得られた歩行データを用い、4種類のAIアルゴリズムでASDと通常発達の子どもを分類しました。
その結果、ロジスティック回帰モデルが最も高い精度を示し、82%の正確性でASDの子どもを識別できました。

この結果は、従来の診断法では見逃されがちな軽度のASDを検出する可能性を示しており、医療現場における診断の補助ツールとして有望視されています。

さらに、右肩の角度とASD症状の一部(感覚処理の困難度)との間に強い相関関係が見られました。
これは、ASDの子どもたちが歩行中に感覚情報を統合する能力に課題を抱えている可能性を示唆しています。
感覚情報をうまく処理できないと、運動制御が不安定になり、ぎこちない歩行パターンが生じると考えられます。
このような感覚運動統合の障害は、ASDの中核的な特徴の一つであり、さらなる研究が必要とされています。

ASDの早期診断は、介入や治療をより早く開始できるという点で非常に重要です。

幼少期の脳は非常に柔軟であり、この時期に適切な支援を受けることで、ASDの子どもたちが社会的スキルや日常生活のスキルを向上させる可能性が高まります。
従来の診断法では、診断が遅れることで適切な支援が受けられないケースが多々ありますが、今回の研究はその課題を克服する一助となるかもしれません。

この手法は、高価な機材や専門的な訓練を必要としないため、医療資源の限られた地域や発展途上国でも導入が期待されています。
研究を主導したガナイ博士は、「歩行解析を活用したASDの診断は、特別な環境や高度な技術を必要としないため、幅広い応用が可能です」と述べています。

しかし、今回の研究はまだ初期段階であり、さらなる課題も残されています。
たとえば、参加者の人数が限られていることや、年齢や性別による違いが十分に考慮されていない点などが挙げられます。
今後は、より大規模なサンプルを用いた研究や、他の動作解析技術との比較が必要とされています。
また、歩行以外の動作や、日常生活における活動パターンの解析も今後の研究テーマとなるでしょう。

この研究は、ASDの子どもたちの生活の質を向上させるための重要な一歩となる可能性を秘めています。
歩行パターンとAI技術を組み合わせることで、診断の客観性と正確性を高め、より多くの子どもたちが適切な支援を受けられる未来が期待されます。

(出典:Nature)(画像:たーとるうぃず)

うちの子も歩き始めるのは少し遅く、そしてちょっと変でした。

指摘されたこともありました。

今でも、走ると左右の足の使い方が同じではありません。

早期発見に、たしかに役立つように思えます。

自閉症の人の多くに、ロボットのような歩行など運動機能の問題も

(チャーリー)


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