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自閉症の人の認知症発症率、65歳以上で30%を超える。研究

time 2025/01/06

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自閉症の人の認知症発症率、65歳以上で30%を超える。研究
  • 自閉症スペクトラム障害(ASD)を持つ人々にとって、認知症のリスクはどの程度のものですか?
  • ASDを持つ人が65歳以上になると、どのように認知症のリスクが変化するのでしょうか?
  • 認知症の発症リスクを低減するために、どのようなサポートや介護が必要ですか?

米国で、自閉症スペクトラム障害(ASD)を持つ成人が認知症を発症するリスクについて、これまでにない大規模な研究が行われました。

この研究は、米ドレクセル大学に所属するリンジー・シェア博士を中心とする研究チームによって実施され、医学専門誌「ジャマ・ネットワーク・オープン」に発表されました。
この調査は、これまで十分に明らかにされていなかったASDと認知症の関連性について新たな知見を提供し、医療や介護の現場に大きな影響を与えると期待されています。

今回の研究では、アメリカの公的医療保険であるメディケイドとメディケアに登録された30歳以上のASDの人11万4,000人以上を対象に、2014年から2016年までの3年間にわたるデータを分析しました。
この規模の調査は過去に例がなく、これまでの小規模な研究の限界を克服するための重要なステップとなりました。

データは、ASDのみの診断を受けた人と、ASDに加えて知的障害(ID)を持つ人に分けて分析され、それぞれのグループで認知症の発症リスクが評価されました。

その結果、ASDのみのグループでは8.03%、ASD+IDのグループでは8.88%が認知症を発症していることが明らかになりました。

さらに、65歳以上の人に限ると、認知症の発症率は30%を超え、年齢が上がるにつれてリスクが急激に増加することが示されました。
このことは、ASDを持つ人々が加齢とともにとくに認知症を発症しやすいことを示しています。

研究では、認知症の発症リスクに影響を与える可能性があるさまざまな要因も調査されました。
具体的には、年齢、性別、人種、居住地(都市、郊外、農村)、および心血管疾患やうつ病などの既存の健康状態が分析対象となりました。

結果として、年齢が上がるにつれて認知症リスクが増加することが最も強く示されました。
とくに65歳以上では、ASDのみの人の35.12%、ASD+IDの人の31.22%が認知症と診断されていました。

また、女性よりも男性の方がやや高いリスクを持つ傾向が確認されました。
さらに、心血管疾患を持つ患者や、うつ病や他の精神疾患を抱える患者では、認知症と診断されるリスクがさらに高くなることも示されました。

これにより、ASDを持つ人々の健康管理において、身体的および精神的なリスク要因に対する包括的なアプローチが重要であることが浮き彫りになりました。

一方で、人種によるリスクの差も興味深い結果を示しました。
白人やアジア系のASDの人は比較的リスクが低かった一方、黒人やヒスパニック系の人では認知症リスクが高い傾向が見られました。
これは、社会経済的要因や医療サービスへのアクセスの違いが影響している可能性を示唆しています。

この研究は、ASDを持つ人々の認知症リスクが一般の人々よりも高いことを示すと同時に、医療政策や介護サービスの改善に向けた重要な指針を提供しています。
研究チームは、ASDを持つ人々が適切な予防措置やサポートを受けられるよう、早期診断と治療の重要性を強調しています。
シェア博士はこう述べています。

「ASDを持つ人々に特化した認知症予防プログラムや医療サービスの整備が急務です。
この研究がその第一歩となり、ASDの人とその家族に新たな希望をもたらすことを願っています」

研究者たちはまた、認知症発症の背景にある生物学的メカニズムや、社会的な要因についてさらに詳しく調査する必要があると指摘しています。

この研究は重要な知見を提供していますが、いくつかの限界点も存在します。
たとえば、研究は保険請求データに基づいており、実際の臨床診断との完全な一致を保証するものではありません。
過去の研究によると、保険データと臨床診断の一致率は約90%とされていますが、それでも誤差が生じる可能性があります。
また、調査対象者が公的保険に登録された人々に限定されているため、すべてのASDの人を代表しているわけではありません。

それでもなお、この研究はASDと認知症の関連性を探る上で重要な基盤を築きました。
今後の研究では、ASDの人の認知症リスクをさらに詳細に分析し、予防や介入のための新しいアプローチを模索することが求められます。

今回の研究は、ASDを持つ人々に対する社会的および医療的支援の重要性を浮き彫りにしました。
研究チームは、今後の課題として、教育や社会参加の機会を増やすこと、また、医療へのアクセスを改善することが認知症リスクを減らす鍵になると強調しています。
さらに、生物学的な観点から、ASDと認知症の共通するメカニズムを探る研究も期待されています。

シェア博士の研究は、ASDを持つ人々とその家族にとって重要な一歩であり、未来への希望を示すものです。
今後、さらに多くの研究が行われ、ASDの人の生活の質を向上させるための新たなケアモデルが確立されることが期待されます。

(出典:JAMA Network Open)(画像:たーとるうぃず)

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(チャーリー)


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