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自閉症の特性の強さが学びにおいて大きな強みとなる。研究

time 2025/01/04

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

自閉症の特性の強さが学びにおいて大きな強みとなる。研究
  • 自閉症特性を持つ人々の探索行動は、どのように学習に影響しますか?
  • 自閉症特性が強い人は、具体的にどのような学習スタイルを持っていますか?
  • 教育現場で自閉症特性を持つ人々をどのように支援すればよいですか?

オランダのラドバウド大学ダンダーズ研究所とイギリスのケンブリッジ大学認知・脳科学ユニットが、自閉症特性を持つ人々の「好奇心に基づく探索行動」が学びにおいて大きな強みとなる可能性を示しました。

この研究はフランチェスコ・ポリを中心とする研究チームによって行われ、オックスフォード大学やプリンストン大学なども協力しています。

この発見は、教育や支援の分野において重要な示唆を与えるもので、自閉症特性の理解とその活用がどのように新たな学習方法を切り拓くかを示唆しています。

この研究の目的は、自閉症特性を持つ人々がどのように新しい情報を学び取るのか、またその学習スタイルがどのように異なるのかを解明することです。
研究チームは、大学生70名を対象にオンラインで行われた「動物キャラクター探索ゲーム」を通じて、好奇心や学習スタイルを分析しました。

ゲームでは、画面に表示される4匹のキャラクターから1匹を選び、そのキャラクターが隠れる場所を予測します。
キャラクターの隠れるパターンは学習可能で、正確に予測できるようになる仕組みが組み込まれています。
参加者は自由にキャラクターを切り替えられるため、どのタイミングで「探索をやめるか」、次に「何を探索するか」という意思決定が重要でした。

研究チームは、予測エラー(実際の結果と予測の差)や学習進捗(予測の精度がどれだけ向上したか)を分析しました。
これにより、参加者が探索行動を決める際の根拠やパターンが明らかになりました。

結果として、「同じことを繰り返すことへのこだわり(Insistence on Sameness)」という自閉症特性が探索行動に大きく影響することが判明しました。

この自閉症特性が強い参加者は、キャラクターを粘り強く探求し続ける傾向があり、学習成果が向上することが確認されました。
特性が弱い参加者は、学習の進捗が停滞すると早い段階でキャラクターを切り替える傾向がありました。

具体的には、自閉症特性が強い人はタスクの初期段階では予測エラーや学習進捗にあまり依存せず、探求を続けることで最終的に高い成果を上げることができました。
一方、特性が弱い人は、初期段階では学習進捗を重視して効率的に探索を切り替えますが、複雑なパターンでは学習が停滞することがありました。

また、キャラクターを切り替える際の選択基準にも違いが見られました。

自閉症特性が弱い人は、予測エラーが少ないキャラクターを選び、ミスを最小限に抑える傾向がありました。
一方で、自閉症特性が強い人は、学習進捗が見込めるキャラクターを選ぶことで、より多くを学ぼうとする姿勢が顕著でした。
このような探索行動の違いは、それぞれの価値観や動機の違いを反映していると考えられます。

この研究は、自閉症特性が持つ「粘り強さ」が学習成果に大きく寄与することを明確に示しました。
とくに、「変化を嫌う」性質を持つ人々は、タスクに粘り強く取り組み続け、複雑なパターンや不確実性の高い状況でも優れた学習成果を達成しました。
これは、短期的な効率性よりも長期的な成果を重視する姿勢が学習を促進することを示唆しています。

一方で、特性が弱い人は、初期段階で効率よく学習を進めるものの、複雑な状況では学習が停滞しやすいことが示されました。
これにより、単純なタスクでは優れたパフォーマンスを発揮するものの、困難なタスクでは粘り強さが不足し、結果として学びが浅くなる傾向があることが分かりました。

この研究は、教育現場や支援の場で個々の学び方を尊重する必要性を強調しています。
フランチェスコ・ポリはこう述べています。

「自閉症特性を持つ人々は、粘り強く学ぶことで深い理解を得る能力に優れています。
彼らが安心して学べる環境を整えることが、教育の質を向上させる鍵となるでしょう」

具体的には、自閉症特性を持つ人々が自分のペースで学習できるよう、タスクの選択肢や進め方に柔軟性を持たせることが求められます。
また、彼らの自然な興味や粘り強さを活かせるようなプログラム設計が重要です。

この研究は、自閉症特性を否定的に捉えるのではなく、その特性を活かす方法を模索する新たな視点を提供しています。
教育者や政策立案者にとって、この研究結果は、より良い学習環境を提供するための指針となるでしょう。

この研究は、自閉症特性を持つ人々の学び方を理解するための第一歩ですが、さらなる研究が必要です。
たとえば、異なる年齢層や文化的背景を持つ人々への応用や、実際の教育現場での効果的な支援方法の開発が期待されています。
学習は人それぞれ異なるものであり、その多様性を認め、最大限に活用することで、より包括的で効果的な教育が実現するでしょう。

(出典:PLOS Computational Biology)(画像:たーとるうぃず)

素晴らしい研究です。

「自閉症特性を持つ人々は、粘り強く学ぶことで深い理解を得る能力に優れています。
彼らが安心して学べる環境を整えることが、教育の質を向上させる鍵となるでしょう」

広く知られてほしいと思います。

自閉症の子どもたちの日常学習をサポートする9つの方法

(チャーリー)


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