- 自閉症やADHDを持つ人が就職活動で直面する主な課題は何ですか?
- 労働市場における神経多様性を尊重するためにはどのような支援が必要ですか?
- ボランティアや再利用プロジェクトが就労の機会を生む理由は何ですか?
キャメロン・クラーク(26歳)は大学を卒業後、仕事を探す日々が続きました。
応募して、面接を受けて、落ちる。
この繰り返しでした。
彼が就職活動に失敗し続けた期間は1年以上にも及びました。
そして、このような状況にいるのは彼だけではありません。
最近の調査によると、イギリスには約68万人の就労年齢の自閉症の診断を受けた人がいますが、そのうち就業しているのはわずか30%に過ぎないといいます。
この調査報告をまとめたロバート・バックランドは「自閉症の人々が労働市場で活躍できていないことは、彼らのスキルやエネルギーを活かせていないということであり、それは私たち全体にとって損失だ」と述べています。
そんな中、イギリス北ヨークシャーにあるある慈善団体が、こうした状況を変える取り組みをしています。
その団体「ヨーク・コミュニティ・ファニチャー・ストア」は、「ITリユースプロジェクト」を運営しています。
このプロジェクトでは古い携帯電話やコンピューターを再利用するために修理し、長期間失業している人や困難な状況にある人々にボランティアや就労の機会を提供しています。
キャメロンもこのプロジェクトでのボランティア経験を活かし、大手保険会社のITサービスデスクの仕事を得ることができました。
「僕は、人よりもコンピューターのほうが理解しやすいんです」
とキャメロンは言います。
そして、「こうした人々にチャンスを与える支援がもっと必要だ」と訴えています。
キャメロンは、ITリユースプロジェクトに感謝の気持ちを込めて、これからもボランティアを続けていくと語っています。
「今の自分があるのはこのプロジェクトのおかげで、感謝しきれないくらいです」
同プロジェクトで働くタイラー・ポッターも、感謝の気持ちを抱く1人です。
彼は5年間の失業期間を経て、このプロジェクトで仕事を得て、現在は作業場のスーパーバイザーとして働いています。
「このプロジェクトは僕の人生を完全に変えました」とタイラーは言います。
「朝起きて元気が湧いてくる感覚を初めて味わいました。
何かやることがあって、自分のスキルを活かせる場があるって、本当にありがたいことです」
また、ADHDと自閉症を持つダニエル・リーも1年半前からこのプロジェクトでボランティアをしています。
「ここではありのままの自分でいられるんです。
共通の話題を持つ仲間と話すこともできるし、静かに座ってパソコンを眺めてどこが壊れているかを見つけることもできます。
誰かが捨てようと思ったパソコンが、誰かの生活を大きく変えることだってある。
その気持ちは言葉では言い表せません」
「コミュニティ・ファニチャー・ストア」の代表であるケイティ・リッジディル=スミスはこう語ります。
「とくに神経多様性を持つ人々にとって、仕事を見つけるのは本当に大変で不安なことです。
もっと多くの支援が必要です。
政府レベルでの取り組みが必要なのはもちろんですが、このようなプロジェクトが安全で温かい環境を提供し、チャンスを生み出すために非常に重要です」
イギリスの雇用年金省(DWP)の広報担当者も、すべての人が平等に働く機会を得るべきだと述べ、職場で神経多様性を持つ人々を支援する方法を模索しているとしています。
(出典・画像:英BBC)
「何かやることがあって、自分のスキルを活かせる場」
誰にとっても、こうした場が世界中にますます広がることを期待しています。
(チャーリー)