発達障害のニュースと障害者のハンドメイド

自閉症の子と母が直面した家庭内暴力と支援の壁。オーストラリア

time 2024/12/22

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

自閉症の子と母が直面した家庭内暴力と支援の壁。オーストラリア
  • 自分や子どもが虐待の危険にさらされている場合、どこに助けを求めればよいですか?
  • 障害を抱える子どもを持つ親が直面する特有の問題について、どのように理解を得られますか?
  • 支援システムが不十分な中で、どのようにして安全な環境を整えることができるのでしょうか?

13年間、ティーは束縛的で支配的な関係に苦しんできました。
しかし、彼女がその関係から抜け出す勇気を持てたのは、虐待が息子に与えた影響を目の当たりにしたからでした。

ティーの息子であるサムは、自閉症で言葉を話すことができず、知的障害を抱えています。
彼らの生活は長年、支配的な夫の行動によって翻弄されてきました。
夫はティーに浮気の疑いをかけ、外部との接触を制限し、自分の思い通りにならないと激しい怒りを爆発させました。
ティーはこう振り返ります。

「コミュニティの人たちと関わりを持ち始めると、彼はすぐに引っ越しを強要しました。
息子のためのサービスを受けたり、病院に行くことさえ妨げられることもありました」

こうした状況は息子のサムにとっても大きな負担でした。
特定の状況がサムを強く動揺させることがあり、現在でも大声を聞くと身体的な反応が出てしまいます。

ティーが逃げる決意をしたとき、助けを求める先のシステムが障害を持つ子どもを抱える家庭に対する理解が乏しいことが明らかになりました。

例えば、警察が「20分で家を出てください」と指示してきたとき、サムのような特別な支援が必要な子どもにとって、それがどれほど困難なことかを理解していませんでした。
また、サムが自閉症の特性として見せる手を振る動作(ステミング行動)や歩き回る行動を、警察官は誤解し、物理的に彼を押すという出来事もありました。

さらに、避難先として提案された一時的な宿泊施設は、現在の住居から2時間以上離れた場所にあり、サムの治療や支援ネットワークが途絶えるリスクが高すぎるため利用できませんでした。

「その地域には息子に適した学校や支援サービスはありませんでした」

その後の14か月間、ティーとサムはシェルターを転々としましたが、夫に居場所を見つけられ、命を脅かされることもありました。
この不安定な生活は、サムの発達に悪影響を及ぼしました。

「言語療法や理学療法を始めると少し進展が見えるのですが、また引っ越しを余儀なくされ、すべてが振り出しに戻るのです」

サムの父親は最終的にストーキング行為で刑務所に入れられ、ティーとサムは安全と自由を手に入れました。
現在、ティーは支援システムの不備を振り返りながらこう語ります。

「私たちを助けようとしてくれた方々には感謝していますが、障害を持つ人々を支援する体制はまだまだ整っていません」

障害者に対する家庭内暴力や虐待は、親密なパートナー間だけに限りません。
加害者は親、兄弟姉妹、支援者、または介護者であることもあります。
青年障害者支援サービスのミジャ・グウィンは、とくにオーストラリアの国家障害者保険制度(NDIS)のプランが悪用される例を挙げています。

未成年者の場合、親や介護者がNDISプランの代理人を務めることが一般的ですが、それが加害者である場合、支援が提供されなくなったり、新しい住所が特定されたりするリスクがあります。
また、虐待を隠すために、医療診断を妨げるなどの形で子どもが外部と接触する機会を奪うこともあります。

NDISを運営する国家障害保険庁(NDIA)は声明の中で、「たちの仕事は、緊急時にすぐに駆けつけることではなく、長期的な支援を通じて障害者の生活がより安全で安定したものになるよう手助けすることです」と述べています。
しかし、現行の制度では支援の統合が不足しており、虐待を防ぐにはまだ課題が多いことが指摘されています。

豪フリンダース大学のサリー・ロビンソン教授の研究によれば、家庭内暴力に関与する家族の3分の1は障害のある子を抱えています。
しかし、対応する職員の多くがその特有のニーズに適切に対処できていないのが現状です。

「子ども、障害、トラウマに特化した支援が揃わないと、簡単に支援の網からこぼれ落ちてしまいます」

支援を受けるための手続きが複雑であり、親が自分のトラウマを抱えながらシステム間を行き来する現状では、根本的な解決が難しいのです。

現在、ティーとサムは10年以上にわたり、安全で安定した生活を送っています。
サムは音楽を通じて感情を表現し、地域の人々とつながりを持つ活動を楽しんでいます。

「暴力から解放されたことで、息子に最適なサービスを受けさせることができるようになりました」

サムは今では無料のドラムサークルを主催し、音楽を通じて社会との強いつながりを感じています。
ティーは、家庭内暴力に関する部門内に障害者支援に特化したユニットを設立することや、専任のコーディネーターを配置することを提案しています。

「障害を持つ人々は暴力のトラウマに苦しんでいます。
特別な支援が必要です。それを無視してはいけません」

(出典:豪abc

【「暴力を振るわれている」「今すぐパートナーから逃げたいけどどうしたらいいの?」「自分だけでなく子どもたちのことも心配」など、どんなご相談もお気軽にご連絡ください。】

内閣府 DV相談プラス

そんなことがあったら、すぐに助けを求めてください。緊急の場合には警察に。

あなたと子の安全を第一に。

自閉症の人へのパートナーからの暴力や虐待。阻止するために

(チャーリー)


たーとるうぃずを「いいね!」をする。フォローする。

その他の最新の記事はこちらから
福祉作業所で障害のある方々がひとつひとつ、心をこめて作り上げた良質なハンドメイド・手作りの品物をご紹介します。発達障害の関連ニュースや発達障害の子どもの4コマ漫画も。
気に入ったものはそのままamazonで簡単にご購入頂けます。

商品を作られた障害のある方がたーとるうぃずやAmazonに商品が掲載されたことで喜ばれている、売れたことを聞いて涙を流されていたと施設の方からご連絡を頂きました。

ご購入された方からは本当に気に入っているとご連絡を頂きました。ニュースや4コマ漫画を見て元気が出たとご連絡を頂きました。たーとるうぃずがますます多くの方に喜ばれるしくみになることを願っています。


NPO法人Next-Creation様からコメント

「たーとるうぃず様で販売して頂いてからは全国各地より注文が入るようになりました。障がい者手帳カバーは販売累計1000個を超える人気商品となりました。製品が売れることでご利用者の工賃 UP にもつながっています。ご利用者のみんなもとても喜んでおります」

テキストのコピーはできません。