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自閉症やADHDをめぐる言葉の変化と「ニューロスパイシー」

time 2024/11/23

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

自閉症やADHDをめぐる言葉の変化と「ニューロスパイシー」
  • 新しい言葉「ニューロスパイシー」はどのように受け入れられ、または拒否されるのか?
  • ニューロダイバーシティ運動の中で、具体的な障害やニーズに対する理解はどのように深められているのか?
  • どのように個人や家族の表現を尊重し、肯定的な環境を提供することができるのか?

SNSの影響で、言葉のトレンドは急速に変化しています。
ゆっくりと進化するのではなく、瞬く間に私たちの画面に現れます。
このような変化は、自閉症のような診断や「ニューロダイバーシティ」といった概念についての話し方にも影響を与えます。

しかし、新しい言葉を使う前に、その言葉がどのように生まれ、人々にどんな意味を持つのかを知ることが大切です。

では、新しい言葉「ニューロスパイシー」はどこから来たのでしょうか?
そして、なぜある人たちはこれを好み、他の人たちは拒否するのでしょう?

「ニューロダイバーシティ(神経多様性)」という言葉は、1990年代半ば、オンラインで自閉症の人々のためのコミュニティの中で生まれました。
この言葉は、人類全体に見られる神経学的な多様性を指します。
社会が「神経的に典型的(ニューロティピカル)」とみなすものとは異なる脳や思考を含む概念です。

オーストラリアの社会学者ジュディ・シンガーが1998年の学位論文で学術的に初めてこの言葉を使い、同年、主流のメディアにも広まりました。

現在では、「ニューロダイバージェント(神経的に多様な人)」や「ニューロティピカル(神経的に典型的な人)」といった言葉が、学術的にもニューロダイバーシティ運動の中でも広く研究され、定義されています。
しかし、こうした言葉も時とともに意味が変わることがあります。

ニューロダイバーシティ運動は、自閉症の権利運動から始まりました。
多くの人にとって、「ニューロダイバージェント」という言葉は自閉症と結びついていますが、この概念は次第に広がり、知的障害、精神疾患、ADHD(注意欠陥多動性障害)、ディスレクシア(読み書き障害)、脳損傷などの状態を持つ人々も含むようになりました。

ただし、「ニューロダイバージェント」という診断名は存在せず、診断されるのはその人が「ニューロダイバージェント」とされる根拠となる具体的な状態のみです。

この運動は障害者の権利を守るための運動であり、ニューロダイバージェントな人々に対して平等な権利を求めています。
自閉症やADHDといった状態を「治すべきもの」としてではなく、受け入れるべきものと考えるべきだと主張しています。そ
して、包摂的な社会では、倫理的なケアやサポートを全ての人に提供するべきだと訴えています。

ニューロダイバーシティ運動に対しては、自閉症の中でも特に支援が必要な人々の複雑なニーズに十分応えられていないという批判もあります。

たとえば、言葉を話さない、知的障害を持つ、重度の不安を抱えているといった自閉症の人々は、日々多くのサポートを必要とします。
このような人々を代弁するのは、主に親や支援を行う臨床医たちです。

これらの支持者たちは、ニューロダイバーシティ運動による受容や平等を目指す活動だけでは十分ではないと考えています。
とくに自閉症を「医療的な問題」と捉え、治療が必要だと主張する人々もいます。
しかし、どちらの立場も、高度な支援を必要とする自閉症の人々へのケアや支援の重要性を訴えています。

「ニューロダイバース」「ニューロインクルーシブ」「ニューロアファーミング」「ニューロスパイシー」など、ニューロダイバーシティに関連する新しい言葉が生まれています。
これらの言葉は1990年代のオリジナルのグループや医療専門家から生まれたものではなく、ニューロダイバージェントな人々の大規模なオンラインコミュニティから登場しました。

「ニューロスパイシー」という言葉は、複数の神経多様性を持つ個人や、ニューロダイバージェントなメンバーが多い家族のような集団を指す方法として使われています。
一部の人にとって、この言葉を使うことで診断名を明かす必要がなくなります。
また、医療用語の「軽度の自閉症」のような表現に対抗するクリエイティブな方法と感じる人もいます。

ブロガーのランディ・オウズリーは、次のように書いています。
「 ニューロスパイシーは、私たちのユニークな神経学的特性を特徴づける豊かさ、刺激、深い奥行きを表しています。それは、私たちのアイデンティティの鮮やかで時に強烈な側面を祝うものです」

「ニューロスパイシー」のような新しい言葉の使用は、ニューロダイバージェントなコミュニティの内外で物議を醸しています。

親の立場からは、ニューロダイバーシティに関連する言葉が、自閉症の人々がかかえる深刻な困難を無視していると感じる場合があります。
たとえば、作家のホイットニー・エレンビーは、息子のザックについて次のように述べています。

「彼のアイデンティティを「ニューロダイバース」という曖昧な言葉でぼやかしてしまうと、ザックがこれまで経験し、乗り越えてきたすべての歴史を消し去ってしまいます」

また、ニューロダイバージェントな人々の中にも、「ニューロスパイシー」という言葉に強い反応を示す人がいます。
ポッドキャスターのダニエル・サリバンは、「ニューロスパイシー」という言葉が単にかわいらしくて風変わりな表現なのか、それとも「障害」という言葉を避けるためのものなのか疑問を呈しています。

一部では、「ニューロスパイシー」や「ニューロスパークリー」といった言葉を捨て、障害について明確に話すべきだという意見もあります。

新しい言葉を使う前に、その歴史や言葉の持つ力を考えることが重要です。

これからは、個人や家族が自分たちのことや診断についてどのように表現しているのかを尋ねることができます。

「ニューロスパイシー」「自閉症」「障害者」「ニューロダイバージェント」「自閉症やADHDがある」「私の障害は私を定義しない」など、さまざまな答えが返ってくるでしょう。

人々の好みを尋ねることで、すべての人に肯定的な環境を提供し、この会話をさらに深めていく機会を得られるのです。

(出典:豪THE  CONVERSATION)(画像:たーとるうぃず)

うちの子について言えば、重度自閉症で知的障害もあり24時間365日支援が必要なので、「違うだけ」ではなく「支援が必要」であることが伝わる言葉のほうが重要です。

発達障害当事者の私が思う「ニューロダイバーシティ」の問題点

(チャーリー)


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