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自閉症の子にインクルーシブ教育が就職や進学に良い影響。米研究

time 2024/11/14

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自閉症の子にインクルーシブ教育が就職や進学に良い影響。米研究
  • インクルーシブ教育は、知的・発達障害を持つ学生の就職や進学にどのように影響しますか?
  • どのような支援体制があれば、インクルーシブ教育はより効果的になるのでしょうか?
  • 研究結果に基づいて、今後の教育方針や取り組みはどのように改善されるべきでしょうか?

米バージニア・コモンウェルス大学のジョシュア・テイラーとその研究チームは、知的・発達障害(IDD)を持つ学生が一般の教育環境で学ぶことが、卒業後の進学や就職にどのような影響を及ぼすかについて系統的な研究を行い、インクルーシブ教育(包摂教育)が障害を持つ学生にとって卒業後の人生に有意な効果をもたらす可能性を示唆しました。

この研究は、知的・発達障害を持つ若者が社会でより自立した生活を築けるよう支援する方法の一環として、インクルーシブ教育の効果を詳しく調べたものです。

この研究では、インクルーシブ教育(包摂教育)と知的・発達障害(IDD)を持つ学生の卒業後の進路(就職や進学)の関連を明らかにするために、システマティック・レビュー(系統的文献調査)が行われました。

研究チームは、特に1997年から2018年に発表された研究論文を対象に、次の3つの検索方法で文献を収集しました。

  • データベース検索:教育、心理学、障害研究に関連する4つのデータベース(ERIC、EBSCO、PsycINFO、Web of Science)を使用し、「インクルージョン」や「インクルーシブ教育」「ポストセカンダリー」などの関連用語で検索しました。
  • 参考文献のレビュー:収集した論文の参考文献リストを確認し、追加の研究がないかを確認しました。
  • 技術支援センターのデータ:インクルーシブ教育に関する技術支援センターが保持する参考資料をレビューし、対象とする研究を洗い出しました。

収集した文献の中から、以下の条件を満たすものが調査対象に含まれました:

  1. エビデンスに基づく研究:量的および質的な実証研究であること。
  2. 中学・高校生を対象:特に卒業後の進路に関連する中等教育段階の研究。
  3. 米国内の研究:サービス提供が米国内で行われたもの。
  4. ポストセカンダリーの成果を調査:卒業後の雇用や進学状況に関する成果を調査していること。
  5. 一般教育カリキュラムへのアクセス:知的・発達障害を持つ学生が通常学級や一般教育のカリキュラムにどの程度アクセスしていたかを含むもの。

この条件に合致したのは9つの研究で、これらの論文を詳細にレビューしました。
この9つの研究のうち、8つは何らかの形でインクルーシブ教育がポストセカンダリーの成果に対してプラスの影響を与えていることを示していました。

具体的には、次のような成果が見られました。

  • 雇用面でのプラスの影響:インクルーシブ教育を受けた学生は、卒業後に一般企業での雇用(競争的就労)に就きやすい傾向がありました。例えば、ある研究では、通常学級で学んだ経験がある学生は、10時間以上の勤務で賃金を得る仕事に就く可能性が高いと報告されています。
  • 進学の機会が増える:通常学級に参加した知的障害や自閉症スペクトラム障害(ASD)の学生は、卒業後の高等教育機関(大学や専門学校など)への進学の可能性が上昇していることが示されています。特に、自閉症のある学生については、通常の学校で教育を受けた場合に進学の確率が400%以上増加するという結果が得られています。
  • 自己決定と社会統合:質的な研究では、インクルーシブ教育が学生の社会的な統合や自己決定の機会を増やすのに役立つことも示唆されています。たとえば、通常学級での経験が多かった学生は、卒業後にコミュニティとの関わりが強まり、自己主張や自分の意思を尊重する能力が向上したという結果が報告されています。

ただし、これらの研究の多くは観察研究や相関研究であり、インクルーシブ教育そのものがポストセカンダリーの成果に直接的な因果関係を持つことを証明するための厳密な実験的デザインは用いられていません。
そのため、研究チームは、家庭環境や学校のリソース、教師の訓練など他の要因が影響している可能性があると指摘しています。

テイラーの研究は、インクルーシブ教育が障害を持つ若者にとって、卒業後の進路にポジティブな影響を与える可能性を示していますが、その効果をさらに確実にするための研究が必要です。
教育現場においては、通常学級での支援体制の充実や教育内容の質の向上が重要であり、特別支援教育と一般教育の教員が連携して障害を持つ学生のために高い教育目標を設定することが推奨されています。

インクルーシブ教育の推進は、単に教育の場での成果にとどまらず、障害を持つ学生が社会の一員として自立し、活躍するための基盤を築くことにもつながります。
この研究が示唆するように、インクルーシブ教育は障害を持つ学生の進学・就労において大きな可能性を秘めており、彼らが社会で活躍する機会を増やすために重要なステップといえるでしょう。

(出典:ResearchGate)(画像:たーとるうぃず)

「ただし、これらの研究の多くは観察研究や相関研究であり、インクルーシブ教育そのものがポストセカンダリーの成果に直接的な因果関係を持つことを証明するための厳密な実験的デザインは用いられていません。
そのため、研究チームは、家庭環境や学校のリソース、教師の訓練など他の要因が影響している可能性があると指摘しています。」

きちんと指摘されているとおり、インクルーシブ教育をすれば、単純にうまくいくというわけではないでしょう。

うちの子について言えば、特別支援学校のおかげで、幸せに成長することができました。

インクルーシブ教育がつらい親子も多い現実

(チャーリー)


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