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自閉症の人は会話をするときに、声の高さより目線を重視。研究

time 2024/11/13

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自閉症の人は会話をするときに、声の高さより目線を重視。研究
  • 自閉スペクトラム症の人が、他者の意図を理解するためにどのような方法を活用できるのか?
  • 非言語的な情報をどのように解釈すれば、コミュニケーションを改善できるのか?
  • ASDの人が日常生活で困難を感じる場面には、どのような具体的な支援が必要なのか?

独ケルン大学の精神医学科と音声学研究所の研究チームが、自閉スペクトラム症(ASD)の成人が他者の目線の長さや声の高さ(ピッチ)を手がかりに、他者が何を重要視しているかを理解できることを明らかにしました。
この研究は、ケルン大学病院およびジュリッヒ研究センターとの協力で実施され、「Frontiers in Communication」誌に掲載されています。

ASDは、社会的なコミュニケーションと相互作用の困難さを特徴とする発達障害で、ASDの人は他者の心の状態を理解する「心の理論」において、特に非言語的な情報をもとにした理解に課題があるとされています。
しかし、言葉を使うコミュニケーションにおいては、知的障害がないASDの成人は非ASDの人々と同程度の理解力を示すことも多いとされます。

今回の研究では、目線と声のピッチという2つの非言語的な手がかりが、ASDの成人とASDでない成人それぞれにどのような影響を与えるかを分析しました。

研究は、仮想キャラクターが特定の物体を見つめる映像と、その物体に関する発話を含む音声を、ASDの参加者とASDでない参加者の両グループに視聴してもらう形で行われました。

キャラクターの目線は短い(600ミリ秒)か長い(1800ミリ秒)かで変化し、発話の声の高さも45ヘルツの差を設けた高いピッチと低いピッチで区別されました。

参加者はそれぞれの物体が仮想キャラクターにとってどのくらい「重要」であるかを評価し、評価後には認識タスクで見た物体を正しく認識できるかどうかもテストされました。

結果として、目線が長い場合やピッチが高い場合には、物体が「重要」であると判断する傾向が強まることが確認されました。

また、ASDの参加者は目線の持続時間により敏感で、目線が短い場合には物体の重要度を低く評価し、逆に目線が長くかつピッチが低い場合にはASDでない参加者よりも高く評価する傾向が見られました。

ASDでない参加者の評価は、全体的にピッチの高さによる影響がより大きかったのに対し、ASDの参加者は目線の持続時間を強く重視していることが示唆されます。

さらに、参加者は「ルッカーズ(Lookers)」「リスナーズ(Listeners)」「ニーザーズ(Neithers)」という3つの行動的な傾向に分けられました。
「ルッカーズ」は目線の長さに基づいて評価を行う傾向が強い人、「リスナーズ」はピッチの高さに基づいて評価を行う傾向が強い人、そして「ニーザーズ」は目線とピッチのいずれにもとくに影響されない人を指します。

ASDの参加者の多くは「ルッカーズ」に分類され、目線の持続時間に敏感であることが示唆されました。
逆に、ASDでない参加者の多くは「リスナーズ」に分類され、声のピッチを手がかりに評価を行う傾向が強いことが確認されました。

この結果は、ASDの人が非言語的な手がかりのうち視覚的な情報を重視する傾向にあることを示しており、視線に依存する理由としては、ピッチの微妙な変化を聞き取り、解釈することが難しいことが考えられます。
研究チームのマルティーネ・グライスはこう述べています。

「ASDの人が音声のイントネーションを使ったコミュニケーションにおいて、通常よりも少ない情報しか得られないことがあることは、これまでの研究でも示されてきました。
とくに、直感的な判断や感情表現が必要とされる場面での解釈が難しいようです」

このため、視覚的な手がかりである目線の動きやその持続時間により頼ることが、ASDの人が他者の意図を把握する助けになっている可能性があります。

また、今回の研究では物体の認識についても調査され、目線の長さやピッチの高さは認識に影響を与えないことが示されました。

この結果は、ASDの成人が他者の意図を理解する際に目線やイントネーションが有用である一方、認識能力には影響しないことを示唆しており、非言語的な情報処理が主に心の状態を読み取る場面で役立つ可能性を示しています。

この発見は、ASDの人が日常生活で非言語的な情報をどのように解釈し、他者とどのようにコミュニケーションを図るかに関する理解を深めるものとして注目されています。
また、今後の研究や支援の場において、ASDの人が視覚的または聴覚的な手がかりを最大限に活用できるような支援技術や訓練方法の開発が期待されています。

(出典:Frontiers)(画像:たーとるうぃず)

自閉症の方が、「視覚的な情報を重視する」ことは、よく言われています。

理解し考慮することで、より良いコミュニケーションができるはずです。

自閉症の人は他人の心を理解できないわけでない。二重共感問題

(チャーリー)


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