- 自閉症の診断数が増えているのはなぜですか?
- 大人としての自閉症の支援はどのように改善できますか?
- 自閉症の診断率に人種や性別の影響はどのように現れていますか?
アメリカでは過去20年間で自閉症と診断される子どもの数が4倍に増加しました。
これは、認識の向上や診断技術の発展、定義の変化が影響していると考えられます。
また、最新の研究によれば、過去10年間で若い成人の自閉症診断率が急速に増加していることも明らかになりました。
アメリカ国内では、自閉症スペクトラム障害(ASD)の診断率が2011年の1,000人あたり2.3人から、2022年には6.3人に175%も増加しました。
とくに20代半ばから30代半ばの成人で急激に増えたことが、この研究で示されています。
今回の研究は、主に学校年齢の子どもを対象にした過去の調査に対し、大人の自閉症診断状況を調査することを目的に行われました。
この研究の筆頭著者であるルーク・グロスベナー(カイザー・パーマネンテ北カリフォルニア研究所のポスドク研究員)は、「自閉症の大人に焦点を当てた研究はこれまで不足していました」と語っています。
2022年には、5歳から8歳の子どもで最も高い診断率が記録され、1,000人あたり30.3人が診断されました。
次に多かったのは4歳以下の子どもで、1,000人あたり28.8人でした。
また、この研究では、成人の自閉症率は子どもに比べて低いものの、成人においても急速に増加していることが確認されました。
26歳から34歳の成人では、2011年から2022年の間に450%以上も増加していたのです。
成人の自閉症率が増加していることから、グロスベナーは「自閉症の人たちが成人後に利用できるサポート体制を改善する必要がある」と指摘しています。
子どもは学校で言語療法などの支援を受けることができますが、大人になるとその支援を受けられなくなることが多く、支援の必要性は大人になってもなくならないのです。
「これが自閉症における“支援の断崖”です」とグロスベナーは述べ、成人になっても必要なケアを受けられることが「極めて重要」であると強調しました。
この研究には関与していない専門家も、大人の自閉症率に関するデータは貴重であり、今後の調査にも役立つとしています。
自閉症科学財団の科学責任者であるアリシア・ハラデイ博士も、成人に関する推計値は「極めて重要」であり、長期的に自閉症の人たちの経過を追う必要性を強調しました。
また、医療記録を活用することで、自閉症の詳細な状況を把握する価値も示されています。
ただし、今回の研究では、さらに年齢の高い成人の教育や就職状況などには触れておらず、ハラデイ博士はその点にも注目した研究を望むと述べています。
また、JAMAネットワークの研究では、人種や性別による自閉症率の違いも報告されています。
アメリカインディアンやアラスカ先住民の子どもと大人で最も高い診断率が記録され、黒人、アジア人、ヒスパニック系、アメリカインディアンおよびアラスカ先住民の子どもで、自閉症率が白人の子どもに比べて大幅に増加していることがわかりました。
依然として男の子が女の子よりも自閉症と診断される可能性が高いですが、診断率の増加速度は女の子の方が高いことも報告されています。
ハラデイ博士によれば、これは脳の発達の違いが影響している可能性があり、女の子は早期から社会的スキルが発達するため、自閉症の特徴を隠しやすいのではないかと考えられています。
(出典:米USA TODAY)(画像:たーとるうぃず)
いつも当たり前のように増加する数をみると、単なる診断数よりも、本当に支援が必要な人の把握の重要性を考えます。
(チャーリー)