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ADHDや自閉症など発達障害で共通する「実行機能」の問題

time 2024/10/23

この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

ADHDや自閉症など発達障害で共通する「実行機能」の問題
  • 発達障害における実行機能の遅れをどのように理解し、改善すればよいのか?
  • すべての発達障害に共通する支援の必要性はどのように実現できるのか?
  • 異なる発達障害を持つ子どもたちに対して、どのように一貫した支援を提供すればよいのか?

発達障害(ADHDや自閉症など)は、約10人に1人の子どもに影響を与え、学習、行動、発達に影響を及ぼします。

発達障害のある人々が経験する困難の中心には「実行機能の遅れ」があります。
これは、注意を向ける、注意を切り替える、衝動を抑える、計画を立てる、整理する、問題を解決するなどのスキルに関わるものです。

これらのスキルは、学習や長期的な発達にとって重要であり、将来の職業、社会生活、学業、メンタルヘルスにまで影響を与えることが知られています。
実行機能のスキルが向上し、それをサポートする仕組みが整っている子どもたちは、長期的に良い結果を得やすいとされています。

過去数十年にわたる研究では、ADHDの基盤にあるのは注意力と衝動制御の難しさであり、自閉症の基盤には注意の切り替えや柔軟な思考の難しさがあるとされています。

その結果、これらのスキルに焦点を当てた支援や介入が、発達障害の種類に応じて提供されるシステムが作られています。
まず診断が行われ、それに基づいて支援が提供される仕組みです。

しかし、私たちの最新の研究(Nature Human Behaviour誌に発表)によると、実行機能の問題は、すべての発達障害に共通していることがわかりました。
これを理解することで、特定の診断を待たずに支援を受けられる可能性が広がります。

私たちは、45年にわたる180の研究を調査し、2つ以上の発達障害を比較して実行機能スキルの違いを見てきました。
ADHD、トゥレット症候群、コミュニケーション障害、知的障害など、診断マニュアルで定義されているすべての発達障害を対象としました。

驚くべきことに、多くの発達障害は、実行機能スキルに非常に似た遅れを示していることが分かりました。

たとえば、ADHDの子どもたちは注意力や衝動制御に問題を抱えていますが、自閉症やコミュニケーション障害、学習障害のある子どもたちも同様の困難を抱えていました。

発達障害ごとの実行機能の遅れには、ほとんど違いがありませんでした。
つまり、実行機能の遅れは、すべての発達障害の子どもたちに共通する問題として捉えるのが適切だということです。
すべての子どもたちが、同じような支援を受けることで、実行機能スキルを向上させる可能性があります。

長年、研究はそれぞれの障害ごとに分けて行われてきましたが、これが教育、医療、障害者支援の現場でも個別対応を促してきました。

私たちのデータでは、1980年以降、研究対象となる障害の種類に変化が見られました。
以前は、トゥレット症候群などのチック障害に関する研究が多かったのに対し、過去10年間では自閉症に焦点が当てられるようになっています。

これは、研究や支援がその時々の資金や社会の関心に依存していることを意味し、特定の障害が注目されなくなると、良い研究や支援を受けられなくなる場合があるのです。

この結果、特定の診断を受けた子どものみが特定の支援を受けられるという偏った支援システムが生まれています。
また、地方や農村地域では診断サービスにアクセスすることが難しく、支援が届かないケースもあります。

診断に基づいた研究の慣行が続くことで、自閉症には評価サービスやガイドライン、治療法が用意されていますが、ADHD、トゥレット症候群、コミュニケーション障害、知的障害の子どもたちには同じような支援が提供されていません。
これらの障害の子どもたちにも多くの共通するニーズがあるにもかかわらずです。

家族はしばしば、支援を受けるのに苦労しています。
評価や支援のプロセスは混乱しやすく、待ち時間が長く、多くの障壁があると感じています。

私たちの以前の研究では、ケアを受けるために多くのニーズを抱えてサービスに来た保護者が、帰る際には多くのニーズが解決されていないままだったという結果が出ています。

最近のオーストラリアの子どものメンタルヘルス、自閉症、ADHDに関するガイドラインでは、より統合された支援が求められていますが、多くのサービスはその準備ができていません。
このようなシステムの変革を実現するには時間がかかるでしょう。

統合された研究が進むことで、すべての子どもに必要な教育、医療、障害者支援がより一貫した形で提供されるようになるでしょう。

例えば、多くのリスク要因(遺伝的要因や環境的要因)がすべての発達障害に共通していることが研究で示されています。
これには、障害間で共通する遺伝子や、薬物の使用、ストレス、免疫反応など、胎内での発達に影響を与える環境要因が含まれます。

また、一つの発達障害と診断された子どもは、他の発達障害も併せて診断される可能性が高いこともわかっています。

しかし、まだ分かっていないこともあります。

例えば、ADHDに効果があるとされる一部の刺激薬が、他の発達障害の子どもたちにどのように役立つかについては、まだ十分に研究されていません。

自閉症の子どもたちのための社会的支援については多くの研究がある一方で、ADHDの子どもたちの社会的ニーズをどのように支援すれば良いかについては、まだ多くの研究が不足しています。

家族にとって重要なのは、子どもが一つの発達障害の基準を満たしている場合、他の発達障害の基準も満たしている可能性が高いことを認識することです。
つまり、他の障害に関連する多くのニーズも持っている可能性が高いということです。

診断に限らず、子どもの広範なニーズについて医師などに相談する価値があります。
これには、発達、メンタルヘルス、身体的な健康に関するニーズが含まれます。

また、多くの共通する療育方法が、すべての発達障害の子どもたちを支援する可能性があることを考慮することも重要です。

これは政府にとっても重要な課題です。自閉症、知的障害、ADHDを抱える人々への支援を見直す動きが進行中です。

すべての発達障害の人々が、家庭や学校、遊びや仕事の場で必要な支援を受けられるように、より統合されたシステムや支援策、戦略を構築する時期が来ています。

アダム・グアステラ
豪シドニー大学、マイケル・クラウチ子ども・青少年メンタルヘルス教授、臨床心理学者

ケルシー・ボルトン
豪シドニー大学、自閉症トランスレーショナルリサーチクリニック、博士研究員

(出典:THE CONVERSATION)(画像:たーとるうぃず)

自閉症(Autism)とADHDの両方をかかえることはよくあり、「AuDHD」という言葉もあるくらいです。

そもそもそれらを分けることが違うのではないかと見直す考えに至るのは、当然なことのように思います。

自閉症、ADHD、発達障害の「分類」により生まれる問題点

(チャーリー)


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