- 自閉症の子どもにとってペットを飼うことはどのようなメリットがあるのか?
- ペットとの関わりが自閉症の子どもの発達に与える影響は何か?
- どのようなペットが自閉症の子どもに最も適しているのか?
自閉症の子どもにペットは役立つのでしょうか?
米カンザス大学医学部の研究者たちが、この疑問に答えるために、動物を使った療法が自閉症の子どもたちに与える効果を調査しました。
この研究には、6歳から11歳の軽度、中度、重度の自閉症と診断された子どもたちが参加しました。
この研究の共同著者であり、カンザス大学で作業療法教育を担当するケイトリン・リスク博士はこう言います。
「自閉症スペクトラム障害を持つ子どもたちにとって、ペットを飼うことがどのような影響を与えるのかを数値で示したかった」
また、子どもたちが自宅でどのようにペットと関わっているか、ペットを長期間飼うことがどのような影響を与えるのかを調べたいと考えたそうです。
この研究結果は「Society & Animals」という学術誌に発表されました。
これまでの研究では、動物が訓練された状況や、感覚的な課題を持つ子どもたちに動物がどのように役立つかに注目してきました。
しかし、リスク博士は、家庭でペットを飼うことによる具体的なメリットがあるかどうかを知りたかったのです。
この研究では、米アリゾナ大学獣医学部のマギー・オヘア博士が開発したツールを使って、子どもたちとペットの関わり方を数値化しました。
このツールでは、感情表現、コミュニケーション、社会的行動、問題行動を測定し、人と動物の相互作用を点数化します。
「このツールが自閉症の子どもたちに使われたのは初めてです」
と話しています。
しかし、このツールは神経発達の違いがある子どもたち向けに作られたものではなく、社会的な行動に高い評価が与えられるため、自閉症の子どもたちに特有の行動、例えば手を振る動作(フラッピング)は、過剰刺激としてマイナスに評価されてしまいます。
そのため、子どもたちの行動を再解釈し、評価する必要があったと説明しています。
さらに、新型コロナウィルス感染拡大のために、研究の計画を変更しなければならなくなりました。
当初は直接観察する予定でしたが、親がスマートフォンで子どもたちがペットとどのように関わっているかを撮影し、その映像を10秒ごとに区切って分析しました。
「普段の生活の中で、何も特別な刺激を与えずに、子どもたちがどのようにペットと接しているのかを見たかったのです」
また、親たちは、ペットを飼うことに関して、子どもにとって何が重要かについての考えを共有しました。
「ペットの種類や性格、大きさは家族にとって非常に重要な要素です。
子どもにとって良い関係が築けるかどうかを重視しているからです」
全体的には、ペットの世話にかかる費用や手間がマイナスに評価されましたが、親たちはペットを飼うことで子どもが安心し、落ち着くと強調していました。
ペットを飼う目的の一つは、子どもが責任感や共感を学ぶことです。
「きょうだいを通して共感を教えることもできますが、動物は『毛を引っ張らないで』と言えないので、動物を通じて教える方が違った意味を持ちます」
研究の結果、最も重度の自閉症を持つ子どもたちは、ペットとの相互作用のスコアが最も低く、逆に中度の子どもたちは、軽度の子どもたちよりも高いスコアを記録しました。
これはさらなる研究の必要性を示しています。
また、年齢が高くなるほど、触れ合いやジェスチャー、愛情表現のスコアが高くなる傾向があり、成長するにつれて動物との関係がより良くなる可能性があることが示唆されています。
研究者たちは、今後さらに多くの子どもを対象に調査を拡大し、HIVを持つ人々など、他の特定の集団でペットがどのように役立つかも調べていく予定です。
「ペットを飼うことで、薬の服用を促したり、活動量を増やしたり、うつの軽減に役立つかもしれません」
(出典:米カンザス大学医学部)(画像:たーとるうぃず)
役に立たないわけがないと思っています。
ただ、
「最も重度の自閉症を持つ子どもたちは、ペットとの相互作用のスコアが最も低く」
は、うちの子で考えれば、そのとおりだとも思います。
(チャーリー)