- 自閉スペクトラム症の人が顔を見るとき、どのような視覚的特徴がありますか?
- どのようにして顔認識スキルを向上させることができるのでしょうか?
- 社会的な交流における顔の見方の違いは、発達にどのように影響しますか?
カナダ・ブリティッシュコロンピア大学(UBC)医学部の研究チームが主導した新しい研究によると、自閉スペクトラム症(ASD)の人々は、周囲の顔を他の人とは異なる方法で見る傾向があることがわかりました。
ASDの人は、顔を見るときに他の人よりも遠くから、また横から見ることが多く、日常生活で家族や友人などの「見慣れた顔」と接する機会が少ないことが明らかになりました。
この研究結果は学術誌『カレント・バイオロジー』に発表されており、ASDの人々が顔の認識や処理に課題を感じる理由を説明し、そうしたスキルを向上させるための方法を見つける手がかりになる可能性があります。
この研究は、ASDの成人が顔をどのように見ているのかを科学的に測定した初めてのもので、参加者が装着したカメラからの360時間以上の映像を分析しました。
「顔の認識や処理のスキルは、社会的な交流や人間関係の発展にとって重要です」
そう話すのは、UBC眼科学・視覚科学部の准教授であり、脳の健康センターの研究者でもあるイペック・オルク博士です。
「ASDの人が顔をどのように見ているのかを解明することで、このスキルを向上させるための新たな手がかりが得られるかもしれません」
顔の認識や処理能力は、時間をかけて徐々に発達し、見慣れた顔に頻繁に接することが重要な役割を果たしています。
これまでの研究で、ASDの人が他の人と比べて顔認識のスキルが同じレベルまで発達しないことが示されていましたが、その理由ははっきりしていませんでした。
今回の研究では、オルク博士たちが映像を分析した結果、ASDの成人は他の成人に比べて顔に接する機会が30%少ないことが分かりました。
これは主に家族や友人といった「見慣れた顔」に接する機会が少ないことが原因でした。
両グループが公共の場で見かけるような「見知らぬ顔」の数はほぼ同じでした。
さらに、ASDの人は顔を見るとき、他の人よりも遠くから見る傾向があることもわかりました。
たとえば、ASDの人が見慣れた顔を見る距離は平均で約230センチで、他の成人が見る平均距離の116センチよりも遠いです。
この距離の違いは重要です。
なぜなら、大きな顔の方が認識しやすく、近い距離で顔を見ることが顔認識スキルの発達に重要だと考えられているからです。
「ASDの人は、他の人と同じような社会的な交流とは異なる方法で顔を見ているかもしれません」
そう語るのは、今回の研究の筆頭著者であり、UBC神経科学大学院プログラムを卒業したばかりのトッド・カメンセク博士です。
「これが、ASDの人が顔を認識するのが難しい理由を説明するかもしれません」
研究では、ASDの人が見慣れた顔を見るとき、正面ではなく横から見ることが多いことも発見されました。
全体として、この研究は、ASDの人が顔をどのように見ているか(距離や角度)が、顔認識スキルの発達に影響を与える可能性があることを示しています。
そのため、オルク博士たちは、ASDの人が顔認識スキルを向上させるための「顔認識トレーニングプログラム」の効果に注目しています。
ランダム化比較試験では、こうしたトレーニングプログラムが、顔全体をより効率的に認識するスキル、感情を読み取るスキル、顔認識の記憶、社会的スキルを向上させる効果があることが示されています。
オルク博士はこう述べています。
「これらの研究は、顔認識トレーニングプログラムが、顔の処理能力を効率的に改善し、社会的な困難を軽減する可能性があることを示しています」
(出典:カナダ・ブリティッシュコロンビア大学)(画像:たーとるうぃず)
たしかに、うちの子もそうです。
今は正面からも私の顔を見てくれますが、小さな頃から私だけでなく人の顔をみるときは顔を横に向けて、横目で見ることが多くあります。
私が顔を近づけて、こっちを見てというと、がんばって無理して私の方を向いて見ている感じです。
だからこそ、目を合わせるのも難しいのでしょう。
無理はさせないようにしようとますます思います。
(チャーリー)