- 自閉症は障害として捉えるべきか、個性として捉えるべきか?
- 自閉症の原因は何であり、どのように解明されるのか?
- 自閉症の大人に対する適切な支援は何か?
自閉スペクトラム症(ASD)には多くの議論があります。
ASDは非常に幅広い特徴や能力を含むため、診断の意味が人によって異なります。
また、自閉症の原因や治療法に関する明確な答えがまだ見つかっていないため、自閉症コミュニティ内でも意見が大きく分かれることがあります。
大人にどのようなサポートが必要か、どのような教育が最適かなど、多くの疑問が存在しています。
自閉症に関する5つの主要な論点について説明します。
その中には「自閉症とは何か」という定義も含まれています。
1.障害か、個性か?
自閉症の診断基準は時代とともに大きく変わってきました。そのため、誰が自閉症と診断されるべきか、過去にそうであったかを明確に定義するのは難しいのです。
20世紀初頭には、自閉症は現実とのほとんどの接触がない、まれで重度の統合失調症の一種と考えられていました。
1980年になって初めて、自閉症は統合失調症とは無関係の独立した障害として認識され、精神病ではなく発達障害とされました。
1994年にアスペルガー症候群が「精神障害の診断と統計マニュアル(DSM-IV)」に追加されました。アスペルガー症候群は、知能指数(IQ)が高く、言語能力が優れている一方で、社会的スキルに困難があり、特定の興味や反復行動が特徴とされる診断名でした。
DSM-IVでは、アスペルガー症候群、自閉症障害、特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)、レット症候群、児童期崩壊性障害の5つの診断が認められていましたが、2013年に発表されたDSM-5では、これら5つの障害はすべて「自閉スペクトラム症(ASD)」という一つの診断に統合されました。
そのため、現在のASDは非常に広い範囲の人々を含んでおり、非常に困難を抱える人から、素晴らしい才能を持つ人までいます。
この基準の変化により、親、自閉症当事者、専門家の間で自閉症の意味についての意見が分かれることが多いです。
ある人々は、自閉症を「神経の多様性」として祝福すべき正常な脳のバリエーションと見なし、アインシュタインやモーツァルトのような人物も今日では自閉症と診断された可能性があると主張します。
一方で、自閉症を治療すべき障害として捉え、治療や改善を目指すべきだと考える人々もいます。
2.自閉症の原因
近年、自閉症の診断数が急増していますが、これが診断の増加によるものなのか、環境要因によるものなのかは明確ではありません。
この増加に伴い、自閉症に関する研究も進んでいます。
科学者たちは、遺伝的要因と環境要因の両方が関与している可能性が高いと考えています。
また、一部の研究では、自閉症の人々の脳に違いが見られることが示されています。
1940年代、精神科医のレオ・カナーは「冷蔵庫マザー」が自閉症の原因であると提唱しましたが、この説は証拠がないため、否定されています。
ASDの明確な原因が分かっていないため、様々な「陰謀論」が生まれましたが、これらには科学的な根拠がありません。
たとえば、ワクチンが自閉症の原因だという説や、飛行機の航跡、抗ノミ薬、携帯電話が原因だとする説などがありますが、これらの説はすべて否定されています。
それにもかかわらず、一部の人々の間では今も信じられています。
3.自閉症の治療法
自閉症は「治す」ものではありませんが、適切な療法によって課題を管理し、機能を改善することができます。
多くの療法が存在し、その効果や適切性、安全性について意見が分かれています。
1990年代、ワクチンが自閉症の原因だとする誤った信念から、体内の重金属を取り除く「キレーション療法」が登場しました。
しかし、これらは鉛中毒の治療に使われるものであり、自閉症治療には不適切で、家庭で実施することは危険を伴います。
他にも、高圧酸素療法や幹細胞治療など、リスクのある治療法が提唱されています。
また、一部では漂白剤を使用した浣腸を勧める人々もいます。
これらの極端なアプローチに加え、応用行動分析(ABA)が発達療法(フロアタイムやプレイセラピー)よりも適切かどうかについても議論があります。
応用行動分析は広く研究されていますが、一部の自閉症当事者や親は、この療法が最悪の場合、残酷であり、最良でも不適切であると感じています。
もっとも、現在では両者の手法がかなり似通ってきている面もあります。
食事療法に関しても大きな議論があります。
いくつかの研究は、自閉症の子どもが消化器系の問題を抱えやすく、それが痛みや不快感を引き起こす可能性があることを示していますが、特定の食事療法を採用することは賛否が分かれます。
4.教育と自閉症
米国で障害を持つ子どもに公教育を保証する「障害者教育法(IDEA)」は、特別支援教育と関連サービスを提供します。
しかし、学力はあるが行動面で問題を抱える自閉症の子どもを、一般の教育環境に含めるべきかどうかについて、親や教育者の間で意見が分かれることがあります。
この問題は時に、仲裁や訴訟にまで発展することもあります。
また、自閉症の子どもに何を優先して教えるべきかについても議論があります。
学力がある場合、学問に重点を置くべきなのか、それとも社会的・コミュニケーションスキルの向上に力を入れるべきなのかが問われます。
一部の親や学校は、自閉症の子どもたちのみの教育環境が理想的だと考えています。
このような環境は感覚の過敏さを軽減するために設計されており、自閉症の専門家が自閉症に特化したプログラムを提供します。
一方で、こうした環境では、自閉症の子どもたちが地域社会に参加し、定型発達の子どもたちと関わる機会を失うという批判もあります。
5.大人への支援
自閉症の大人は、学歴があってもフルタイムの仕事、家庭管理、日常生活で大きな困難に直面することがあります。
とくにサポートが多く必要な人は、経済的または個人的な支援なしで完全に独立して生活することが難しい場合が多いです。
ASDは幅広い能力を持つ人々を含むため、どの自閉症の大人が一般社会で生活すべきか、どの人がグループホームなどで生活すべきか、さらにはその費用を誰が負担すべきかなど、はっきりとした線引きが難しいのです。
また、大学卒業者が日常生活の要求に対処するのが難しいと主張することは、自閉症コミュニティの外では理解されにくいこともありますが、これは事実であることも多いのです。
これらの問題は、個々の状況や米国の州ごとに異なります。
ある州では、自閉症の大人に対して多くの資源を提供し、さまざまな住宅オプションや支援に資金を提供していますが、他の州ではほとんど何も提供していない場合もあります。
成人支援のための資金をめぐる政治的対立により、支援の質や範囲に地域ごとの不公平が生じています。
(出典:米verywell health)(画像:たーとるうぃず)
うちの子は知的障害もあり、24時間365日支援が必要な、「重度自閉症」です。
各分野でご活躍されているような自閉症の方と同じく「自閉症」でくくるには無理があります。
分けたほうが良いと思います。
医療は正しい機関の正しい医療を頼ってください。エセ診断、エセ医療に関わらないでください。
(チャーリー)