- 自閉症を持つ人が、加害者に感情的に操られるリスクをどう回避すれば良いのか？
- 支援を求める際に直面する障壁をどのように乗り越えることができるのか？
- 加害者が障がいを利用する実態を理解し、周囲の人々がどのようにサポートできるのか？
ケイティは自閉症で、人の言葉を文字通りに受け取ってしまうことがあります。
彼女は、この特性を加害者が利用したと話しています。
ジェンダー平等を支援する団体のサバイバー支援者であるケイティは、複雑性PTSD（心的外傷後ストレス障害）と慢性的な痛みにも苦しんでいます。
「私は嘘を見抜く能力がないんです」
そう、彼女は言います。
「彼は、私の実行機能の障害を利用して、感情的に混乱させました。
その後、私はそのことで強い恥ずかしさを感じました」
彼女が最も「無力」だと感じるときには、しばしば身体的な暴力が続くことがあったといいます。
「彼は私を感情的に操作した後、暴力を振るうようになりました」
障がいを持つ女性は、障がいを持たない女性に比べて、40％も家庭内暴力やDVの被害に遭いやすいと、オーストラリア障がい者協会の会長、マレイク・ジョンカーズは言います。
彼女たちは、暴力的な関係から抜け出すまでに時間がかかることが多く、専門的な支援を受ける機会も少ないのが現状です。
「エイブルイズム（障がい者に対する差別）的な要因には、障がい者に対する否定的なステレオタイプや、彼らの自立や意思決定を制限する社会的な規範が含まれます」
そう、豪ニューサウスウェールズ州家庭内暴力支援団体の副CEO、エリース・フィリップスは説明します。
「障がいを持つ女性に対しては、性別による差別とエイブルイズムが交差することで、暴力にさらされるリスクがさらに高まります」
また、「ハロー効果」と呼ばれる現象もあり、加害者がまるで「天使」のように見られ、暴力の兆候が見過ごされることもあります。
ジョンカーズは、障がい者が「負担」と見なされることがあり、その点を加害者が利用することがあると指摘します。
「周りの人々は、パートナーのことを『すごいね、彼女をよく世話しているね』と言うことがあります」
ジョンカーズ自身も、過去の関係でそのようなコメントを受けたことがあると話しています。
「パートナーと一緒に買い物に行くと、私が仕事をしてお金を稼ぎ、食事の計画を立て、カートに食料品を入れるのに、レジで『彼女の世話をしてあげて偉いね』と彼は言われるんです」
加害者が障がいを武器にする方法は、被害者の障がいの種類によってさまざまです。
豪ビクトリア大学の犯罪学講師であるヴァネッサ・レティコは、聴覚障がいを持つ女性の被害経験に関する研究を行っています。
彼女は、家庭内暴力の加害者がどのように聴覚障がいを武器にするかについて、手や指、腕などを狙った身体的な暴力が含まれ、オーストラリア手話（AUSLAN）や技術を使ってコミュニケーションを取ることができなくなると説明します。
「加害者は、人工内耳のマグネットや補聴器、スマートフォンやタブレットなど、被害者が使うコミュニケーションツールを壊したり隠したりすることがあります」
また、加害者が病院や緊急サービスの場面で被害者の代わりに話し、被害者を沈黙させることもあります。
「加害者は言い訳を作り、警察が加害者に被害者の通訳を依頼することもある」
フィリップスは、障がいを持つ人々はすでに孤立している場合が多く、加害者がその支援システムをさらに崩壊させてしまうと述べます。
「とくに、社会的に孤立している障がい者にとって、相手の心を操作して、相手が自分の記憶や感覚、考え方に自信が持てなくなるように仕向けることや感情的な虐待の影響は大きいです。
社会的な孤立により、被害者はそのような行動を普通のことだと感じてしまうことがあります」
また、発達障害や知的障害を持つ人にとって、加害者が被害者に責任を押し付け、自分が問題だと思い込ませることが簡単になると彼女は言います。
このような経験は、エンジェンダー・イコーリティのサバイバー支援者であるジュリーも共感できるものです。
彼女は、自閉症を持っていることで、元パートナーの虐待に対して「直感を信じる」ことが難しかったと語ります。
「何かが間違っているという感覚はあったのですが、それが何なのかはっきりとわかりませんでした。
自分の直感を信じることができなかったんです」
また、ジュリーにとって支援を求めることも難しかったといいます。
「移民であること、自閉症とADHDを持っていることで、どのようにシステムを利用すればいいのかが非常に難しかったです」
フィリップスは、障がいを持つ人々は虐待を報告したり、暴力から逃れるための支援を求める際に、さらに高い障壁に直面することがあると言います。
「もし、障害が原因で特定の支援ネットワークに依存していて、その支援を加害者がコントロールしている場合、虐待を報告したり、苦情を申し立てたりすることが不可能になります。
また、信じてもらえないという恐れもあります」
ジョンカーズは、一部の障がい者にとって、唯一の支援者が虐待を行う加害者である場合もあると指摘します。
「私たちの日常生活で何が必要なのか、周囲の人々は理解していません。
一部の障がい者は自立して生活していますが、他の人々は支援を必要としており、関係を断つことができない場合もあります。
私が悪い状況から抜け出そうとしていたとき、周りの人は、私が倒れたら立ち上がれないとか、食べ物を手に入れられないとか、運転できないとか、そういうことを理解していなかったんです」
レティコは、コミュニケーションのための機器や技術に依存している人にとって、加害者がそのアクセスを制限したり監視したりすることで、支援を求める手段が奪われることもあると言います。
彼女は、家庭内暴力や家族内暴力から人々を守るために、私たち一人ひとりができることがあると訴えています。
「何か異変を感じたら声をかけてください。
加害者から離れた安全な場所で、勇気を持って難しい質問をしてみてください」
ケイティもジュリーも、暴力的な関係から逃れることができ、今では他の人々に対して、障がいが支援を求める難しさを増していることを理解してもらうための活動に情熱を注いでいます。
「私と同じような状況にいる女性たちには、自分の話を通して『あ、これが私に起こっていることだ』と気づいてほしいです」
そう、ジュリーは言います。
「トラウマについて理解し、あなたの障がいを理解してくれる人を見つけてください」
（出典：豪abc）（画像：たーとるうぃず）
言葉を話すことができなくて、伝えることが難しい人もいます。
注意して、気にかけていただきたいと願います。
（チャーリー）
