- 知的障害を伴う自閉症の遺伝特性はどのように異なるのでしょうか?
- 環境要因は、自閉症や知的障害にどの程度影響を与えるのでしょうか?
- 異なる形態の自閉症を理解することが治療や診断にどのように役立つのでしょうか?
知的障害を伴う自閉症は、自閉症単独よりも遺伝しにくいという新たな研究結果が発表されました。
自閉症の人の約3分の1は、知能指数(IQ)が70以下の知的障害(ID)を持っています。
これまでの研究では、IQが低い自閉症の人は、高いIQを持つ自閉症の人よりも、突発的な遺伝子変異(新規変異)を持つ可能性が高いことが示されています。
これは、知的障害を伴う自閉症と、単独の自閉症では、その遺伝的基盤が異なることを示唆しています。
米ドレクセル大学の疫学および生物統計学の准教授であるブライアン・リー博士によれば、今回の新しい研究は、この理論を別の観点から支持するものです。
リー博士のチームは、大規模な人口データセットを用いて、知的障害を伴う自閉症とそうでない自閉症の発生率を調査しました。
この研究は、異なる形態の自閉症が存在するかどうか、そしてそれらの原因がどのように異なるのかを理解するための広範な取り組みの一環です。
「この研究からわかることは、すべての自閉症が同じではないという考えに近づいているということです」
そう、リー博士は述べています。
研究者たちは、スウェーデンのストックホルム青年コホートというデータベースを利用して、1984年から2009年にスウェーデンで生まれた567,436人の診断記録を分析しました。
その中で、8,354人が自閉症単独の診断を受けており、2,566人が知的障害を伴う自閉症と診断されていました。
また、参加者の親、兄弟姉妹、叔父、叔母、いとこが自閉症の診断を受けているかどうかを確認するために、国家登録データも調査しました。
しかし、研究者たちは親戚が知的障害を持っているかどうかのデータは含めていません。
これは、知的障害と自閉症の診断パターンが時期によって異なる可能性があり、結果を混乱させる可能性があるためです。
研究によれば、自閉症単独の人の親戚は、知的障害を伴う自閉症の人の親戚よりも自閉症である可能性が高いことが示されています。
また、自閉症の親戚がいることは、知的障害の有無にかかわらず自閉症である可能性を高め、特にその親戚が近い関係であるほどその可能性が高くなります。
たとえば、自閉症の母親を持つ人は、そうでない人に比べて自閉症単独になる可能性が約20倍、知的障害を伴う自閉症になる可能性が11倍高いことがわかりました。
この研究結果は、「Autism Research」誌に発表されました。
全体として、自閉症単独の発症確率の65%は遺伝によるものであり、知的障害を伴う自閉症の場合は33%が遺伝によるものであることがわかりました。
リー博士は、環境要因が知的障害を持つ人々においてより大きな影響を与えている可能性があると述べています。
この研究デザインは「非常に希少なデータセットを革新的に活用したもの」であり、「非常に信頼性の高い大規模なサンプルを使った研究」だと、オランダのアムステルダム大学医療センターのティンカ・J.C.・ポルダーマン准教授(本研究には参加していない)は評価しています。
さらに、この研究が知的障害を持つ人々を含めていることは重要です。
知的障害を持つ人々は、多くの大規模研究で「軽視されがち」であると、オランダのフリー大学アムステルダム校の生物心理学の教授であるドレット・ブームスマ氏(本研究には参加していない)は述べています。
「この論文が実際にこのグループに注意を向けているのは非常にポジティブな要素の一つです」
また、この研究結果は、自閉症を持たない人々においても、重度の知的障害は軽度の知的障害よりも遺伝しにくいという従来の研究を支持するものでもあります。
最終的には、異なる形態の自閉症の原因をより深く理解することで、診断手続きや治療の選択肢が改善される可能性があると彼女は述べています。
今後の研究では、知的障害の有無による出生率の違いや、知的障害を持つ子供を持つ家庭が全体として子供の数が少ないかどうかを考慮し、これらが遺伝性の見かけの割合にどのように影響するかを検討する必要があります。
(出典:米THE TRANSMITTER)(画像:たーとるうぃず)
「知的障害を伴う自閉症と、単独の自閉症では、その遺伝的基盤が異なる」
「IQが低い自閉症の人は、高いIQを持つ自閉症の人よりも、突発的な遺伝子変異(新規変異)を持つ可能性が高いことが示されています」
「知的障害を伴う自閉症は、自閉症単独よりも遺伝しにくい」
うちの子は重度自閉症で知的障害もあります。一方で、家族親戚にそうした人はいません。
たしかに、この研究結果はそうなのかもしれませんね。
(チャーリー)