- 自閉症を持つ子供が自分の興味を追求することは、どのように社会とのつながりを深めるのか?
- 親は自閉症の子供の情熱をどのように理解し、サポートすれば良いのか?
- ドラァグクイーンショーのような表現活動が、どのように自閉症の人々に自己肯定感を与えるのか?
プライス・ミューラーが情熱を傾けているのは、カラフルな衣装と華麗なダンスのドラァグクイーンショーです。
彼の母であるフィオナにとって、プライスがこれに夢中になることは驚くに値しません。
「息子が小さい頃、私のハイヒールやきらきらしたもの、光るものが入っている場所を見つけ出しては、それらを身につけていました。
ある日、伸縮性のあるきらびやかな長い青いドレスを着て現れたのを覚えています」
プライスは現在21歳で、3歳の時に自閉症スペクトラム障害と診断されました。
姉のミラベラも自閉症です。
この3人家族はオーストラリアのニューサウスウェールズ州に住んでいます。
フィオナはこう言います。
「子供たちが自閉症と診断された20年前には、今のように症状への理解はありませんでした」
プライスが成長していく中で、ほとんど言葉を話さないために学校で孤立していたことを思い出すと、今でもフィオナの目には涙が浮かびます。
「ある日、学校の小さな男の子が誕生日の招待状を配っていました。
プライスが列に並んだとき、その男の子は『お前は僕のパーティーに来るな、お前は招待されていない、お前は僕たちとは違う』と言ったのです。
それを思い出すと、今でもつらいです。
息子はうまく言葉にできないかもしれませんが、とても強く息子もそう思っているはずです」
ドラァグクイーンショーがプライスにとって転機となりました。
ミューラー家は10年以上も人気テレビ番組「ルポールのドラァグレース」を一緒に観てきました。
プライスの21歳の誕生日には、ドラァグクイーンショーをテーマにしたパーティーを開催しました。
フィオナは、これがプライスにスイッチを入れ、コミュニケーションを取る手助けになったと述べます。
「息子は以前は私と本当に関わろうとしなかった。
今日まで彼とじっくり話をしたことはありません。
でも、私は今はこう言えます。
『あなたのお気に入りのパフォーマーは誰?』」
この活動への愛情がプライスを引っ張り出しました。
「息子は初めて何かに参加したがり、踊りたがったのです。
そして、人と話す自信も与えました。
これまで、そんなことはありませんでした」
情熱を支えることの利点について、オーストラリア自閉症スペクトラムによると、自閉症を持つ人の約75から90パーセントが「特別な興味」または「こだわり」を持っているとされています。
フィオナは自身の話を共有することで、自閉症を持つ子供たちの興味を受け入れることの利点をより多くの親が理解してくれることを望んでいます。
臨床心理学者のレイチェル・グローブ博士は豪シドニー大学の研究員で、自閉症の特性について広範な研究を行っています。
グローブ博士は、自閉症の人々の情熱を支えることが彼らの幸福にとって非常に重要であると言います。
「自閉症の人々はしばしば社会で固定観念に囚われ、多くの偏見や差別に直面しています。
自閉症の人々が本当に好きなことに没頭することは、他の人々とつながる方法だと思います」
グローブ博士は、自閉症の子供を持つ親は子供とのつながり方を見つける必要があるかもしれないと述べます。
「人々がどのようにコミュニケーションを取り、互いに関わるべきかについて、社会には多くの固定観念があります。
ときにはそれが自閉症の人々が関わりたい方法に適用されないことがあります。
自閉症の人々は、彼らを考慮に入れて設計されていない社会で生きているんです」
英ニューカッスル大学の犯罪学者ジャスティン・エリス博士は、メディアにおけるLGBTQI+の表現についての専門知識を持っています。
過去15年間でドラァグクイーンショーはアングラなものでなくなり、人々が自己同一性を異なる方法で解釈する機会を提供するものになっていると述べています。
「それは、自閉症であれ他の診断であれ、何かの枠を超える機会です。
ルポールや番組の一部で人々が自分の育った環境や疎外された経験について話しているのを見ると、共有された困難を通じて、自分も一員のように感じます」
フィオナもそれに同意します。
ドラァグクイーンショーの世界が息子のプライスに、自分のコミュニティの感覚を与えたと述べています。
「私はずっと、息子の世界に入る方法を見つけようとしてきました。
ドラァグクイーンショーが、その方法となりました」
(出典・画像:豪abc)
大好きなことが見つかって、それを応援する。
本当に素晴らしいと思います。
大好きなことが、その人の人生を助けます。
(チャーリー)