- 子どもの読み書きに不安を感じた場合、どのように適切なサポートを求めるべきか?
- 親の直感を信じる際、どのように専門家とのコミュニケーションを取るべきか?
- 異なる言語を話す子どもに対する読み書きの支援はどのように工夫すればよいか?
カナダ・ウェスタン大学のメアリー・J・ライト子ども・青年発達クリニックで、私は将来の学校心理士を育成するチームで働いています。
私たちの仕事では、子どもの学習に関して心配している親にほぼ毎日のように出会います。
15年ほど前に私が研修を始めた頃は、こうした心配にどう対応すればよいか自信がありませんでした。
親が過剰に心配しているだけで、十分な知識がないのではないかと思うこともありました。
しかし、自分の研究や実務経験を通じて、親が子どもの読み書きについて抱く心配は、実際に意味のある学習のニーズを示していることが多いと学びました。
たとえば、私と同僚が行った研究では、地域の親たちが小学2年生の子どもの読み書きについて心配している場合、その子どもの約半数が標準化された単語読みのテストで年齢相応の成績を大きく下回っていました。また、さらに多くの子どもが言語に問題を抱えていることもわかりました。
私の臨床経験でも、多くの親が学習障害の疑いで評価を求めてくると、最終的に学習障害や言語障害、ADHD、知的障害などの診断が下されることが多いです。
もしお子さんの読み書きについて心配がある、あるいは読み書きをサポートしたいと考えているなら、以下の提案を参考にしてください。
親の心配は考慮する価値がありますが、それが必ずしも親が子どもの発達基準に関して詳しい知識を持っていることを意味するわけではありません。
読み書きに関しては、教師でさえ成績の低い読者のスキルレベルを正確に把握するのが難しいことがあります。
教師や親も、読み書きの問題に気づかなかったり、誤解したりすることがあります。
そこで、教育者や学校心理士(学校現場で働く心理の専門家)が生徒の読み書きレベルを測るために使用する精度の高い初期診断ツールが役立ちます。
これらのツールは、短時間で効果的に読書に苦労している生徒を特定できるよう、慎重にテストされている必要があります。
学校心理士は、同じ年齢の子どもたちと比較して、子どもの読み書きスキルを正確に評価することができます。
正式なテストを受けなくても、子どもが学年相応のテキストをどれだけ正確に読めるかを考えることで、ある程度の発達状況を把握することが可能です。
一般的には、小学一年生の終わりまでには、子どもは学年相応のテキストを95%の正確さで読めるべきとされています。
たとえば、50語の学年相応の本を読ませてみて、2~4つの間違いがあれば、そのテキストが難しいかもしれません。
5つ以上の間違いがある場合は、重大な困難がある可能性が高いです。
単語を認識したり音読することに困難を感じている読者には、集中的で個別化されたフォニックス(文字と音の対応を明示的に教える方法)を含む読み書きプログラムが効果的です。
フォニックスの指導は退屈である必要はなく、指導時間を占めるものでもありません。
フォニックススキルやよく使われる単語を教える際には、ゲームを取り入れると効果的です。
研究によれば、個々の子どもに合わせたオリジナルゲーム(たとえば「アリくんの視覚語ハント」など)や、興味を引くコンテキストを持つゲーム(たとえば「オリンピック読みチャレンジ!」など)が子どもたちを引きつける可能性があります。
フォニックスの指導は、実際の読書練習と結びつける必要があります。
単なるドリルやワークシート、コンピューターゲームだけでは不十分です。
また、一般的な家庭教師や、視覚療法や聴覚療法のような科学的根拠の乏しい療法には注意が必要です。
家で子どもと一緒に読みたいと思っている親には、ストレスを避けることが重要です。
読み書きに苦労している子どもたちは、早い段階で自分の能力に自信を失うことがあります。
私の経験では、子どもたちが苦労しているとき、読書はストレスの原因となりがちです。
そのため、もっと簡単で読みやすい本を選んでください。
これが実は、難しい本に挑戦させるよりも、子どもの読解力を高めるのに効果的です。
また、お気に入りの本を何度も読むことも良い方法です。
繰り返し読むことには、読解力向上のための一定の根拠があります。
子どもがある単語を読むのに苦労している場合は、「最後の部分を隠してみて」といった形でヒントを与えると良いでしょう。
もしその単語が難しくて読めない場合は、恐れずにその単語を教えてあげましょう。
1年生の後半以降の子どもたちは、自分のレベルに合ったテキストで1ページにわずかしか間違えないはずです。
子どもたちが単語を正確に読むだけでなく、内容を理解することも非常に重要です。
この理解力を高めるためには、読み終わった後に質問をするだけでなく、読む前に背景知識を築くことが効果的です。
たとえば、実際に手を動かす活動や、そのトピックについて既に知っていることを話し合うことが役立ちます。
そのため、本を読むことを日常の他の活動(自然散策、料理、関係性についての話し合いなど)と結びつけることを考えてみてください。
また、テキストがどのように構成されているかについて話すことも、子どもたちが読んでいる内容を理解する助けになるかもしれません。
たとえば、ノンフィクションの本を読むときは、情報がどのように提供されているかを話し合ったり、目次を一緒に確認したりしましょう。
物語を読むときは、登場人物、設定、問題、解決策といった要素を振り返ってみましょう。
英語が母語でない子どもを持つ親は、英語を母語とする子どもを持つ親よりも読み書きについて心配することが多いかもしれません。
しかし、多くの多言語を話す子どもたちは、早い段階で英語だけを話す子どもたちと同じように正確に音読することができます。
したがって、もし多言語を話す子どもたちの親や教師が、子どもが単語を認識したり音読したりするのに苦労していると感じた場合、それは早急に対処する必要があります。
また、母語で言語の問題を抱えている子どもは、学習上の課題があるかどうかを評価されるべきです。
保護者や教師、その他の専門家は、学習の難しさが他の問題と同時に起こることが多いことを覚えておく必要があります。
たとえば、注意を払うこと、日常のタスクを完了すること、ルールに従うこと、他人とうまくやっていくこと、感情をコントロールすることなどにおいても困難を抱えている場合は、親身に話を聞いてくれる医師に相談し、慎重に状況を確認してもらいましょう。
子どもの読み書きに関して心配している親に「様子を見ましょう」と言うことは、1年生の終わりまでに現れる読み書きの困難がその後も一貫して持続するという証拠に反しています。
また、早期の介入(幼稚園や1年生の時点での介入)が、後からの介入よりも読み書きの問題を予防し、改善するのに効果的であるという研究結果からも正しくないでしょう。
したがって、もし子どもの読み書きに心配があるなら、自分の直感を信じて、親の心配を真剣に受け止めてくれる専門家を見つけましょう。
研究と臨床経験があなたを支えてくれます。
ケイトリン・ブライアント博士
カナダ・ウエスタン大学メアリー・J・ライト児童青少年発達クリニック副所長
(出典:米THE CONVERSATION)(画像:たーとるうぃず)
英語と日本語では異なるところもあるかと思いますが、基本的には参考になるアドバイスだと思います。
心配であれば、放っておかずに正しい医療機関に相談してください。
ディスカリキュリア(算数障害)は、ぱっと見ていくつ?にも困難
(チャーリー)