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ADHDの当事者でもある親が語る診断遅延と社会の課題。英国

time 2024/08/25

この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

ADHDの当事者でもある親が語る診断遅延と社会の課題。英国
  • ADHDや発達障害の診断を受けるための待機リストが長い現状にどう対処すれば良いのか?
  • 子どもにADHDや自閉症の可能性があると感じた際、どのように教員や医療機関に相談すればよいか?
  • 家族として、ADHDを持つ自分や子どもを理解し、適切な支援を受けるためには何を心がければ良いのか?

注意欠陥・多動性障害(ADHD)は今、英国のあちこちで話題になっています。
最近の調査によると、英国ではADHDや自閉症の子どもを持つ親への障害手当が、パンデミックの前から40%も増加していることがわかりました。
診断を受けるための待機リストは年単位で長くなっています。

やっとの思いで診断の遅れを乗り越えても、薬が手に入らないことがあります。
深刻な薬不足と配給制限が原因です。何年もかけてやっと診断にたどり着いたと思ったら、結局元の状態に戻ってしまうこともあります。私自身がその一人です。

私は最初、ADHD(当時はADDと呼ばれていました)について、2000年代初頭にアメリカのアニメから知りました。
そこでは、過剰診断や薬漬けの子どもたちが描かれ、まるでディストピアのような世界でした。
たとえば、サウスパークの町全体が、間違ってADDと診断され、薬でゾンビのようになってしまうエピソードがありました。
今振り返ると恥ずかしいですが、当時の私にとっては、それがADHDの一般的なイメージでした。

本当のADHDがどんなものか、全くわかっていなかったので、自分がADHDかもしれないなんて考えもしませんでした。

それが変わったのは、パンデミック前の20代後半の頃です。
きっかけは、私が今や何でも学ぶ場所であるネットでした。
そこでADHDに関するコメントスレッドを見つけ、「実行機能障害」や「過集中」という言葉が飛び交っていました。
読み進めるうちに、まるで推理小説の最後の15分のような感覚がありました。
自分の性格のバラバラだった部分が、一つのまとまったものとして説明されているように感じたのです。自分の人生を新しい視点で見つめ直すことができました。

足がじっとしていられないことや、衝動的な行動について考えました。
学校生活についても思い返しました。


無限のように続く罰、悪ふざけ、放置されたジム室でトーストを売ろうとするように感じていたこと。
自分の性格を理解する鍵を見つけたような気持ちでした。
すぐに診断を受け、治療や薬について探りたくなりました。

しかし、何もしませんでした。
なぜかって?ADHDだからです。

ADHDかもしれない人に、年単位で待たなければならない診断プロセスを始めるよう頼むのは、皮肉な罰のようなものです。
だから、先延ばしにした結果、私は今、英国で史上最も長いADHD診断待ちに直面しています。

診断の増加について、流行に乗ったような誤診だとか、怠けるための言い訳だと言う人がいますが、そう言っている人たちは、ADHDを持つ人々がどれだけの偏見や判断を受けるか知らないのだと思います。

私は過去1年の間に、2人の上司に慎重にこのことを話しましたが、2人とも笑いました。
悪意があったわけではなく、単に冗談だと思ったのでしょう。
それでも真剣だと伝えると、2人ともほぼ同じ言葉でこう言いました。
「君にADHDなんてないよ。集中すればいいだけさ。」

ADHDへの理解が広がってきたことは大きな要因です。
受け入れが進むにつれ、その勢いは増していきます。
受け入れが偏見を上回るとき、大きな変化が起こるのです。

また、ロックダウンの間、人々はより深く自分を見つめ直す時間がありました。
親たちは、これまで以上に子どもの学習や行動に注意を払う機会があったでしょう。
自分の子どもが他の子と違う、あるいは困難を抱えているかもしれないと感じていた親たちも、その影響に気づくことができたのです。

私が初めて自分がADHDかもしれないと思ったのは、息子が成長し始めたときでした。
息子は多動的で、自分の興味のあることにだけ強く集中し、興味のないことには全く反応しません。

つまり、息子の行動は私が息子の年齢の時と全く同じです。

息子が保育園に入る数ヶ月前、私たちは先生と面談しました。
何か気をつけてほしいことはありますかと聞かれたので、発達障害である可能性があるとやんわり伝えました。
ADHDかもしれず、集中が難しいことがあると。

しかし、先生は懐疑的で、むしろ否定的でした。
まだ診断を求めるには早すぎると言われ(それは事実です)、男の子はみんなエネルギーが有り余っているものだと言われました。

息子の初めての週が終わったとき、先生は私たちに少し話があると言いました。
私たちに「ADHDの可能性を考えたことがありますか?」と尋ね、医師に相談するよう勧めました。
学校としても、息子のために追加のスタッフが必要かもしれず、そのための資金を診断によって得る可能性があるとも言われました。

実は私も、保育園で追加のサポートが必要だったことを思い出しました。
母が毎日、私を制御するために保育園に来ていたのです。

最初はショックでした。

息子が私と同じような学校生活を送る姿が頭に浮かびました。
しかし、先生は彼の感覚的なニーズについても話してくれました。
息子をどう理解し、どう対応するかという話でした。
私が子供の頃、そんな言葉はありませんでした。

私はテストが得意だったので、問題児として目立つことはありませんでした。
才能があるとされるプログラムに入っていましたが、時間を読めず、靴ひもを結べず、話を止めることができませんでした。
自分に何か問題があると感じ、なぜうまく振る舞えないのか、自問自答していました。

息子にはそんな思いをしてほしくありません。
それは、子どもはしつけられるべきではないという意味ではなく、もしADHDと診断された場合、息子が自分の行動を管理し調整するための道具を手に入れられるようにしたいのです。
私が30歳手前でネットにたどり着くまで、自力で寄せ集めてきた道具ではなく。

これまでに診断とサポートを受けていれば、計り知れないほどの恩恵を受けられたであろう発達障害の子どもたちが、どれほどたくさんいたか想像してみてください。
それが代わりに「悪い子」として片付けられてしまっていたことを。
それが人に与える影響、そして社会に与える影響を考えてください。
それに対処するためにできることは、何でもやるべきです。

(出典:英INDEPENDENT)(画像:たーとるうぃず)

「発達障害の子どもたちが、どれほどたくさんいたか想像してみてください。
それが代わりに「悪い子」として片付けられてしまっていたことを」

見過ごされてきた人たちが、適切に支援を受けられるようになることは間違いなく良いことです。

しかし一方で、急に大幅に増加した場合に支援は追いつかなくなってしまいます。

本当にその人に支援は必要なのか。

その判断は必要です。

自閉症の自己診断。多くは不正確で必要な支援の妨げにもなる

(チャーリー)


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