- 自閉症のきょうだいを持つ家庭では、きょうだい関係の温かさは感じられないのか?
- 母親と子どもでは、きょうだい関係の捉え方にどのような違いがあるのか?
- 自閉症のきょうだいを持つ家庭での親密さの低さは、どのような支援策で改善できるのか?
自閉症の子を持つ家庭でのきょうだい(兄弟姉妹)関係の特徴が明らかになりました。
最近の研究で、自閉症の子を持つ家庭のきょうだい関係が、一般的な家庭と同様の温かさと親密さを持つ一方で、母親と子どもが捉えるその関係には違いがあることが分かりました。
この研究は、イスラエルのテルアビブ大学とヘブライ大学を中心とした研究チームによって実施されました。
自閉症のきょうだいを持つ29組の家庭と、一般的なきょうだい関係を持つ46組の家庭を比較調査しました。
その結果、自閉症の子のきょうだい関係には、温かさや葛藤の要素が見られることが確認されました。
しかし、母親の視点では、一般的な家庭に比べて温かさや親密さが低く、葛藤も少ないと感じられていることが分かりました。
研究によると、自閉症の子のきょうだい関係では、親密さが低いことが特徴的です。
親密さとは、きょうだいがお互いに感情や秘密を共有したり、深い信頼関係を築いたりすることを指します。
しかし、自閉症の子のきょうだい関係では、これらの要素が一般的なきょうだいに比べて弱い傾向にあります。
これは、自閉症の子が感情や意思を表現することが難しかったり、きょうだいが自閉症の特性を理解するのに苦労したりすることが要因と考えられます。
また、葛藤の少なさも特徴的です。
一般的には、きょうだい間の葛藤は成長過程で自然に発生するものですが、自閉症の子を持つきょうだいの場合、葛藤が少ないことが報告されています。
これには、きょうだいが自閉症の子と衝突を避けるために意図的に距離を置いている可能性があります。
例えば、「弟のことを理解するのが難しいから、あまり深く関わらないようにしている」といった理由が考えられます。
このように、親密さの低さと葛藤の少なさが連動していることが示唆されています。
この研究では、母親と子どもがきょうだい関係をどのように捉えているかについても大きな違いが見られました。
子どもたちは、現在のきょうだい関係に焦点を当てており、日々の出来事や感情を基に「今」を生きています。
そのため、きょうだい関係についても、現在の遊びや一緒に過ごす時間に基づいて評価する傾向があります。
彼らにとっては、自閉症の子との関係も「普通のきょうだい関係」と捉えられることが多いのです。
一方、母親たちは、より広い視点からきょうだい関係を見ています。
母親たちは、きょうだい関係が時間とともにどのように変化しているか、また、家庭全体のダイナミクスにどのように影響しているかを考慮しています。
このため、母親の視点では、きょうだい関係において温かさや親密さが不足していることや、子どもたちの関わりが少ないことがより強く感じられることがあります。
また、自閉症の子に対する特別な配慮やサポートの必要性が、母親にとってはきょうだい関係の課題として浮かび上がることが多いです。
この違いは、母親と子どもがきょうだい関係を評価する際に、異なる基準や視点を持っていることを示しています。
研究者たちは、この違いを踏まえた上で、今後の研究や支援策を検討する必要があると指摘しています。
この研究結果は、自閉症の子を持つ家庭におけるきょうだい関係の理解を深め、適切な支援や介入が必要であることを示唆しています。
今後、きょうだいの関係を強化するための具体的な支援策が求められるでしょう。
この研究は、きょうだいの関係が発達や心理的な機能に与える影響を探るために実施されました。
自閉症の子とそのきょうだいの関係は、家族全体のダイナミクスに大きな影響を与えるため、今後もさらなる研究が期待されます。
(出典:スイスSPRINGER LINK)(画像:たーとるうぃず)
うちの子のきょうだいが、小さな頃に「一緒に話すこともできなくてつまんない」と言っていたことを思い出しました。
うちの子はきょうだいのことを、小さな頃から、よく笑顔でじっと見ていて、好きなんだろうなと私は感じています。
「今を生きる」きょうだいには、それに気づくのは難しいのかもしれませんね。
(チャーリー)