- 自閉症の人は本当に共感力が欠けているのですか?
- 自閉症の人の感情を理解しにくい理由は何ですか?
- 自閉症の人々の感情を理解するためにはどうしたら良いですか?
自閉症の人は共感力が欠けているという考えは、単なる短絡的なものであり、実際には非自閉症の人も他人の立場に立つことが難しい場合があることが研究によって示唆されています。
「Autism」誌に掲載された論文は、自閉症の人が他人の感情を理解するのが難しいという一般的なステレオタイプを覆しています。
研究では自閉症でない人に、自閉症の人と自閉症でない人が感情的な出来事を語るビデオクリップを見せました。
その結果、自閉症でない人は自閉症の人の感情を追うのが著しく難しいことがわかりました。
また、自閉症の人のクリップを見たときには、自閉症でない人のクリップに比べて、自閉症でない人はより激しく身体の中で感情を感じることも明らかになりました。
自閉症の人が怒りや恐怖について話した場合、この感情はさらに大きくなりました。
この発見は、自閉症の人との社会的・治療的な関係に強い影響を与えると、英ブルネル大学ロンドン校の認知神経科学センターに所属する自閉症研究者のレイチェル・チェアンは述べています。
「自閉症の人は共感力がないという印象が一般的ですが、この結果はそれに反する驚くべきものです」
この研究は、自閉症の人が共感力に欠けているのではなく、むしろ世界の見方が異なっており、自閉症でない人も自閉症の人の感情を理解するのに苦労しているという初めての実験的証拠を示しています。
この理論は「二重共感問題」と呼ばれ、2010年代初頭にダミアン・ミルトン博士によって提唱されましたが、これまで科学的に証明されていませんでした。
チェアンはこう述べています。
「これは自閉症の人々の見られ方に影響を与えます。
もし彼らが何かに喜びを感じていても、それが認識されなければ、周りの人々はその喜びを共有しません。
そして、もし彼らが何かに悲しんでいても、それが認識されなければ、周りの人々からの支援や慰めを受けられないでしょう」
今回の研究では認知心理学者が、研究に参加した81人に対し、自閉症の特性を測定してから、感情(喜び、悲しみ、怒り、恐怖)を語るビデオクリップの人々の感情を評価させました。
別のタスクでは、ビデオの中の人々の感情を特定し、その強度を測り、体のどの部分に感じるかを示すよう求めました。
参加者は、ビデオに登場する人々の診断については知らされていませんでした。
自閉症の人は非自閉症の人よりも自殺のリスクが高いです。
2020年のデータによれば、自閉症の成人の11%から66%が生涯のうちに自殺を考え、最大35%が計画または実行に移すとされています。
「これは、誰も彼らを理解せず、共感せず、彼らの感情を感じ取っていないことが一因となっているのではないか」
そう、チェアンは述べています。
研究グループのリーダーであるイグナツィオ・プッツォ博士はこう述べています。
「この研究は広範な影響を持ちます。
介護者、教育関係者、セラピスト、医師、病院スタッフなどが、これらの違いを認識し、自閉症の人の感情を理解し、気づくことに重点を置くことが重要です。
これにより、彼らの困難を和らげ、福祉を向上させることができます」
(出典:英ブルネル大学 米Medical Xpress)(画像:たーとるうぃず)
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共感力に欠けている、他人の感情を理解するのが難しい。
自閉症の人がそうなのではなく、自閉症でない人がそうだから、そんな誤解ができたのです。
それは誤解であることが広く認識されますように。
(チャーリー)