- 自閉症の子どもは本を読む時、どこに注意を向けるのでしょうか?
- 自閉症の子どもが社会的手がかりにあまり注意を払わないのはなぜですか?
- 自閉症の子どもに対する効果的な読書支援方法は何ですか?
最近の研究によると、自閉症スペクトラム障害(ASD)を持つ子どもは、本を読んでいるときの注意パターンが、定型発達の子どもとは異なることがわかりました。
研究者たちは、自閉症の子どもたちが読み手の顔や本といった社会的に関連のある手がかりにはあまり注意を払わず、非社会的な背景の物体により多くの注意を向ける傾向があることを発見しました。
これらの発見は、自閉症の子どもたちの社会的学習や関与を理解する上で重要であり、支援的な介入方法の開発に役立つ可能性があります。
この新しい研究は、the Journal of Child Psychology and Psychiatryに掲載されました。
社会的注意力、つまり顔や目の接触といった社会的手がかりに集中する能力は、社会的、認知的、言語的な発達にとって重要です。
これまでの研究では、自閉症の子どもたちは社会的刺激に対する注意が減少していることが多く、これが発達や学習に影響を与えることが示されています。
早期介入の重要性を考慮して、今回の新しい研究では、自閉症の子どもと定型発達の子どもがいっしょに本をよんでいるときに、どのように注意を配分するかを調査することを目的としました。
「私たちは、子どもたちがこれらの社会的シナリオに対してどのように反応するかを理解するために、たくさんの社会的学習行動を含む観察課題を開発しようとしました」
そう、研究の著者であり、豪シドニー大学「脳と心のセンター」の自閉症と発達研究クリニックの責任者でもある臨床心理学者のアダム・グアステラは述べています。
「社会的読書活動は、ほぼ普遍的な課題であり、保護者や教師が子どもたちの学習と発達のために行います。
この活動には、指差し、ジェスチャー、共同注意の機会、感情表現、そして多くの教育的瞬間が含まれます。
私自身も、子どもたちにテレビを通じて毎日読み聞かせを行う教育番組を見たことを覚えています。
保護者との社会的読書活動は、長期的な語彙や学業の発達、そして保護者と子どもの絆といった多くの良い結果に結びついています。
このようなシナリオで子どもたちがどのように関与し、学ぶかは、彼ら自身の発達や学習の支援に必要なものについて多くのことを教えてくれます」
この研究には、3歳から12歳の子ども90人が参加し、そのうち56人が自閉症と診断され、34人が神経発達が典型的な子どもでした。
参加者は、シドニー大学の自閉症と発達研究クリニックなど、さまざまな場所から募集されました。
研究者たちは、年齢と性別が一致するようにグループを調整し、有効な比較ができるようにしました。
参加者は、大人が絵本を読んでいる4つのビデオのうち1つを視聴しました。
視聴環境は、自然な共有読書環境を模倣するように設計されており、背景にはおもちゃや家庭用品が配置されていました。
各ビデオには、挿絵を指差したり、コメントをしたり、質問をしたりすることで子どもを引き込むための8つの共同注意の試みが含まれていました。
子どもたちの視線の動きは、高解像度の視線追跡システムを使用して追跡されました。
これにより、研究者は子どもたちがどの領域にどれだけの時間を費やしているかを測定できました。
測定対象は、読み手の顔、本、共同注意のターゲット、背景の物体でした。
研究者たちは、自閉症の子どもたちが神経発達が典型的な子どもたちと比べて、読み手の顔や本自体といった社会的に重要な領域に注目する時間が大幅に少ないことを発見しました。
その代わりに、非社会的な背景の物体により多くの注意を向けていました。
この注視のシフトは、自閉症の子どもたちが共有読書の社会的に豊かな側面に関与するのが難しい可能性があることを示唆しており、それが彼らの社会的、認知的、言語的発達に影響を与える可能性があります。
共同注意のエピソード中—読み手が挿絵を指差し、コメントをしたり質問をしたりして子どもを引き込もうとする場面—でも、自閉症の子どもたちはこの課題の社会的側面に対する注意が減少していることが再び示されました。
彼らは読み手の顔や関心を引くためのターゲットとなる挿絵を見る可能性が低く、その代わりに背景の物体により多くの注意を向け続けました。
「子どもたちと一緒に本を読み、教える時間は、本や読書について教えるだけでなく、会話に参加する方法、質問する方法、想像力を働かせて楽しい議論に参加する方法など、豊かな社会的学習の機会でもあります。
これは、人生のさまざまな場面で重要となるスキルを育成する絶好の機会です。
私たちの研究は、ある子どもたちが課題に取り組むのに苦労しやすく、注意が散漫になりやすいことや、物語に入り込むのが難しいことを示しています。
私たちの研究は、これらの課題が神経発達の遅れの指標である可能性を示していますが、今後の研究では、このようなシナリオから最大限に学べるように子どもたちを支援する方法を探求していく予定です」
この研究はまた、自閉症の人たちの中ででこれらの注意パターンがさまざまな発達指標とどのように関連しているかも調査しました。
その結果、受容言語能力が高く、非言語IQが高い子どもたちは、共有読書課題の社会的に重要な側面により注目する傾向があることがわかりました。
一方、自閉症に関連する症状のレベルが高い子どもは、非社会的な背景物に対する注意がより高いことが示されました。
これらの相関関係は、認知および言語スキルの向上が、自閉症の子どもたちが共有活動中に社会的刺激に対する関与を高める助けになる可能性を示唆しています。
タスク中に社会的に関連する手がかりに多くの時間を費やした子どもたちは、自由遊びの際にも同様に関与する傾向がありました。
この発見は、共有読書のような構造化されたタスクで観察された社会的注意のパターンが、より自然な、非構造化の社会的相互作用における子どもたちの行動を予測する可能性を示しています。
「これらの読書ビデオを見ている子どもたちの視線パターンが、認知、学習、発達を追跡する臨床評価ツールにどれほどよく対応しているかに驚きました。
また、本に集中している視線が実際の遊びにおける視線にも対応していることにも驚きました。
このタスクは発達を理解するための良い方法だと思っていました。
データを見る限り、とても有望です」
この発見は、自閉症の子どもたちが社会的関与において直面する課題を強調し、個別に調整された介入の必要性を浮き彫りにします。
これらの注意パターンを理解することで、教育者や保護者は、自閉症の子どもたちの社会的学習をよりよく支援するための戦略を開発することができます。
「私は、日常生活に関連する発達の敏感な測定を確実に行いたいと考えています。
このタスクは非常に関連性が高いと思いますし、さまざまな集団でテストすれば、異なるニーズを持つ子どもたちの発達にどれほど適応するかを見ることができます。
最も重要なことは、子どもたちがより多く関与するのを助ける支援を開発し、その支援が日常生活において違いを生むかどうかを確認することです。
子どもたちが社会的学習において進歩しているかどうかを理解するための良い社会的測定が臨床試験には本当に不足しています。
このようなタスクは、子どもたちがより効果的に学んでいるかどうかを示すのに非常に良いものになると思います」
(出典:米Psypost)(画像:たーとるうぃず)
うちの子について言えば、小さかった頃、大きくなった今でも、どちらも当てはまります。
早期療育につながる、発見方法になるといいですね。
(チャーリー)