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自閉症の「社会モデル」転換。ABA(応用行動分析学)の論争

time 2024/03/16

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自閉症の「社会モデル」転換。ABA(応用行動分析学)の論争
  • 障害者のニーズを満たす方法において、「医療モデル」と「社会モデル」はいかに異なるのか?
  • 自閉症に対するアプローチとして、ABAの論争があるが、その利点と欠点は何か?
  • 自閉症の治療やサポートにおいて、本人の権利と尊重がどれほど重要か?

米国では50年前、障害者の民事権を認識する最初の法律が議会を通過しました。
教育、交通、公共建築物や施設へのアクセスにおける差別を禁じた1973年のリハビリテーション法は、法的保護の礎を築きました。

1975年に成立した現在の「障害者教育法」として知られる法律は、どれほど深刻なニーズを持つ子どもであっても、「無料で適切な」公教育を受ける権利を保障しました。

1990年に成立したアメリカ障害者法は、障害者が仕事、住宅、その他尊厳のある生活の基盤となるものへ最大限アクセスする権利を法律で定めました。
これは、彼らが車椅子用のランプ、手話通訳者、または彼らのニーズについての議論が行われる場に文字通り参加するのを助けるためのその他の支援を受ける権利があることを意味しました。

一度受け入れられると、障害者は障害問題についての考え方をどのように枠組みするべきかについての思考の転換を推し進めました。
過去には、障害者のニーズを満たす方法について決定をしていた障害者でない人たちは、しばしば「医療モデル」として説明される方法を採用していました。
その目標は、身体的、神経学的、知的な欠如をどのように補うかを決定することでした。

現在、多くの障害者は、代わりに社会的障壁、無知、偏見、社会的排除を含む社会への参加障壁を特定する、「社会モデル」と呼ぶものを好みます。
その目標は、環境をより包括的で快適なものにすることです。

この態度の変化が最も明らかなのは、自閉症です。

かつては、悪い育児に責任があるとされた自閉症は、今では科学的に、医学的または心理的な何かが欠けている結果ではなく、異なって配線された体と脳を持つ、状態であると理解されています。
多くの自閉症の人は言います。
自閉症を治すことは不可能であり、望ましくもないと。

自閉症の人は、自閉症ではない人にはない能力を持っています。
そして彼らは、自分たちのニーズをどのように満たすべきかについて声を上げています。
自閉症者自己擁護ネットワークのモットーが示すように、「私たちについてのことは、私たちなしには『なし』」です。

そうした自閉症に対する変化にともない、ABA(応用行動分析)について論争があります。

ABAは長年、「自閉症介入のゴールドスタンダード」として説明されてきました。
自閉症などでない研究者、親、サービス提供者によって開発され、数十億ドル(数千億円)規模の産業に育てられたABAは、現在、子どもが自閉症と診断された際に推奨される主要な療法です。

1980年代に創られたABAは、罰を含む方法(平手打ち、電気ショック、食事の制限など)を用いて、自閉症を持つ子どもたちができるだけ神経典型的な行動をとるよう条件付けることを目指しました。

当時、多くの親はその目標を望ましいものと見ていました。

年月を経て、ABAから身体的な罰はなくなりました。
その療法のおかげで、多くの家族の子どもが奇跡的な進歩を遂げたと評価されています。

しかし、多くの自閉症の成人は、おもちゃ、おやつ、注意を与えないことや、目を合わせることを強いるような、最近の方法がより、精神健康に有害であると思っています。
なかには、ABAによると思われるPTSDの著しい増加に注目し、自らが自閉症の研究者となった人もいます。
そして、自立した行動の能力を損なうほどの、従順な行動への偏重、に至るまでのABAの「害」を記録しました。

大学と米国防総省(数千の自閉症を持つ軍人の家族に治療を提供する)など学際的なチームの研究では、ABAに関するエビデンスはとぼしく質も悪いとの結果が出ています。
これは、ABAが親に提供される唯一の療法となり、他のより効果的な治療が排除されてしまう現状からすれば、憂慮すべき事態です。

2020年の米ドレクセル大学での講演で、ジュリア・バスコム(最近まで自閉症者自己擁護ネットワークのエグゼクティブディレクター)は、障害の見方を変えることは最も一般的な療法やサービスと衝突する、ことについて話しました。

「『医療モデル』では、自閉症は私の感覚が乱れていることを意味します。

音が私を傷つける場合、解決策は私の脳がその音をどのように処理しているかを修正するか、それに慣れる方法を教えるか、少なくとも私の不快感を隠す方法を教えることです。
問題は私の体にあります。

『社会モデル』では、聴覚過負荷への解決策は私にヘッドホンを与えることです。

社会モデルはまた、複雑さを認識することを可能にします。
つまり、痛みを伴う感受性が、音楽との関わりを独特に超越的なものにするかもしれません。
羊毛が耐え難いほどかゆいことが、指の間の水を世界で最も心地よいものにするかもしれません。

それらすべてが解決策を必要とするわけではありません。
自閉症には従来提供されてきたものよりも、より繊細なアプローチが必要かもしれません」

また、とくに幼い子どもたちの場合には、本人の同意なしに、人のアイデンティティの基本的な側面を変えようとされることがあるでしょう。
それは、その人の権利を侵害しているという懸念もあります。

米ピッツバーグ大学看護学部で生命倫理を教える助教授のダニエル・ウィルケンフェルドは、自分の子どもが自閉症と診断されています。
ウィルケンフェルドは、社会的に受け入れられる方法で行動するよう若者を訓練しようとするABAの目標は非倫理的であると2020年にケネディ生命倫理学ジャーナルに論文を発表しました。
ウィルケンフェルドと共著者のアリソン・マッカーシーはこう書いています。

「自閉症を持つ子どもたちとその親の権利は定期的に侵害されています。
具体的には、ABAを使用することは正義と無害の原則に違反します。
子どもたちの自主性と(積極的に押し付けられる場合には)親の自主性を侵害します」

最も基本的な問題は、ABA療法が子どもたちに有益でないにもかかわらず推進されていることだと彼らは言います。

「ABAの利用が、生命倫理の標準的原則に違反しているというのが本当であれば、医療と社会一般に重大な影響を及ぼすことになります」

多くのABAへの批判家と同じく、ウィルケンフェルドはABAがいわゆる「転換療法」と並行して開発されたことに注意を向けています。
転換療法とは、同性愛者やトランスジェンダーの人たちを「治療」するために用いられた、ABAと同じ研究室で同じ研究者によって開発されたものです。

しかし、研究者たちはすぐに、LGBTQの人々に「オペラント条件付け」を使用することを止めましたが、自閉症の子どもたちにはそうなっていません。
ウィルケンフェルドはこう言います。

「社会の大部分は、ゲイであることは問題ではないと認識しています。
しかし、自閉症であることは、ほとんどの場合、完全に有効な役立つアイデンティティであると認識されているわけではありません」

自閉症の特性をより「普通」なものに置き換えようとする試みのあまり語られない側面の一つに、神経多様性のある人たちの社交や遊びについて、彼らが好む方法を消し去ろうとする危険性があります。

「スティミング」それは、自己慰撫のための揺れ動くこと、手を振ること、そして過刺激を処理するために一部の自閉症の人々が使用する発声は喜びの表現でもあり得ます。
しかし、ABAはこれらの行為を奨励しません。

子どもの頃にABAの経験がある米ノースカロライナ大学アッシュビル校の心理学生、クロエ・エヴァレットは地域のTedxトークでこう言いました。

「『喜びを表すには、輪を描くように走り回ることが適切な方法です。
笑ったり、笑顔を見せたりしたら、罰します』

逆にそう言われたら、あなたはそれを受け入れられますか?」

(出典:米YOUTH TODAY)(画像:たーとるうぃず)

本人が生きやすくなるために、変えようとする。

私は、そうしたことの全否定はしません。

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また私自身も例えば、うちの子の他害や自傷につながりそうな行為は止めさせよう、変えようとやってきました。

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しかし、

変えようとすることで、むしろ、本人が苦しみ生きづらくなる。

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違うこと=悪いこと、ではまったくありません。

発達障害の人のスティミング。抑えるべき場合と尊重するべき場合

(チャーリー)


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