- ADHDを持つ成人もカモフラージュ行動をとるのか?
- カモフラージュ行動が自閉症やADHDの診断にどのような影響を与えるのか?
- ADHDと自閉症の成人のカモフラージュ行動の違いは何か?
「Autism Research」誌のオンライン版に掲載された研究によると、注意欠陥・多動性障害(ADHD)を持つ成人もカモフラージュ行動を示します。
なお、自閉症の人に比べるとその程度は低いものでした。
カモフラージュ行動は、自閉症の診断が遅れる重要な理由であり、精神健康上の困難につながると考えられています。
この点に注目し、オランダ・アムステルダムの自閉症外来クリニックのWikke J. van der Puttenらの研究チームは、ADHDの成人がカモフラージュ行動をとることができるかどうかを調査しました。
30歳から90歳の成人が、オランダ語版の「自閉症特性カモフラージュ質問票」、「ADHD自己報告書」、「自閉症スペクトラム指標」に回答し、ADHD、自閉症を持つ成人、および比較グループ(各グループに105人)でのカモフラージュの違いが検討されました。
さらに、自閉症および/またはADHDの診断を持つ477人の成人において、自閉症とADHDの特性がカモフラージュのレベルにどう関係するか調べられました。
その結果、一般の人たちと比べると、ADHD(注意欠陥・多動性障害)を持つ成人は、自分の特性を隠すためのカモフラージュ行動をより多くとっていることが分かりました。
とくに、自分を周囲に合わせる(同化)ような行動が顕著でした。
しかし、自閉症を持つ人たちと比較すると、ADHDを持つ人たちは、自分の特性を隠す行動全体や、他人と同じように振る舞う(同化)、能力不足を補う(補償)といった具体的な行動を取る頻度は低かったことが明らかになりました。
また、自閉症の特徴がある人は、ADHDの特徴がある人よりもカモフラージュ行動をとる傾向が強いことがわかり、自閉症の特徴はこのような行動を予測する重要な要素であることが示されました。
しかし、ADHDの特徴にはそのような影響はありませんでした。
「ADHDの人たちがどのようにカモフラージュを行うか、これが自閉症を持つ成人のカモフラージュとどのように異なるか、そしてカモフラージュがADHDを持つ人々の精神健康の困難や診断の遅れにどの程度影響を与える可能性があるかを完全に理解するために、より深い研究が必要です」
そう、研究チームは述べています。
(出典:米Health Day)(画像:たーとるうぃず)
すぐに想像につくことが、研究でも確かめられたという感じです。
程度は違えど、誰しも行っているように思うので。
ただし、心身を壊してしまうほどの程度に行っている、行わざるを得ない、ことがあるのを認識しなければなりません。
(チャーリー)