
- 自閉症の人が持つスキルは、突然喪失することがあるのか?
- スキルの喪失に悩んだり、喜んだりすることはあるのか?
- スキルを失った後、再び取り戻すことができるのか?
自閉症の人はスキルを喪失することがあります。
たびたび私は、それに悩まされました。
子どもが上手くやっていると喜んだのに、突然それがなくなってしまうのです。
とても厳しく、残酷です。
私は、自閉症の息子のナットが歌うのをやめたときに、これを体験しました。
息子が歌い始めたときのことは忘れていません。
地下鉄で私の膝の上に座り、全力で歌を叫んでいた姿が目に浮かびます。
息子が歌わなくなってしまったときには、もう一度、あのときに感じた誇りと恥ずかしさの混ざった感情を抱きたいと思ったものでした。
なくなってしまったと思っても、予期せぬ瞬間に爆発的に現れることがあります。
私は経験しました。
再び取り戻す希望をもっていいのです。
ナットが10代の頃、特別支援学校に音楽の先生が着任すると、私は期待をしました。
それまで、ナットの特別支援学校では、ほとんどの時間は生活スキルの構築や実用的な知識に焦点を当てたものとなっていて、音楽はおまけのようなものだったからです。
その年に、特別支援学校で音楽会が開催されました。
そこで、ナットはピクサー/ディズニーの映画「カーズ」の「ライフ・イズ・ア・ハイウェイ」を歌って、私たちを驚かせました。
私はその歌を知りませんでしたが、それ以来、大好きになりました。
しかし、ナットの歌はその後、すぐにまた消えてしまいました。
その頃は息子について、他に多く心配があり、歌を取り戻すことにエネルギーを注ぐ余裕はありませんでした。
自閉症の息子の成人期が近づき、学校卒業後の人生がどうなるか分かりませんでした。
当時、当然に私の不安は次のようなものでした。
「私がいなくなった後、息子の面倒は誰が見てくれるのだろうか?
息子は私のいないところで生活できるのだろうか?
毎日、息子は何をして過ごすのだろう?」
確かに、息子はどうなるのでしょう。
しかし、人は恐怖だけで生きるわけにはいきません。
ナットが20代になって、ナットの友人の家での小さなコンサートに招待されました。
その快適でカラフルなリビングルームに座りながら、発達障害のある友人たちがキーボード、バイオリン、ギターで演奏するのをナットと見ました。
最後には、ナットも立ち上がって、仲間たちと一緒にお辞儀をしました。
何となく、息子はそこにいることが自分にとって正しいと感じたのでしょう。
その後すぐに、グループの指導者はナットを仲間に迎え入れ、ボンゴを始めさせました。
残念ながら、ナットはドラマーのリズムに合わせて叩くことができず、再び音楽を諦めかけたこともありました。
しかし、ある夜のリハーサルで、あの「ライフ・イズ・ア・ハイウェイ」が演奏されたとき、ナットはマイクに向かって歩いていき、歌い始めました。
おどろきました。
再び、ナットが歌ったのです。
そこにいた全員が、私と同じくらいおどろきました。
ナットがマイクに手を伸ばし、グループの中心的なリードシンガーになっているのを見て、ほんとうにうれしくなりました。
そのグループでの音楽活動はその後5年続き、それから、もっと大きなグループでナットは活動するようになりました。
ナットはリードシンガーとして活動を続けています。
そして、長年の友人と一緒に歌うようにもなりました。
彼らの声は常に正確に調和しているわけではありませんが、その奇妙で美しい調和は元の曲を超越しています。
今年の冬のコンサートでは、ナットと友人で「ライフ・イズ・ア・ハイウェイ」を歌いました。
うれしくて、私は叫びたくなりました。
家に帰る道中、私はずっと涙を流しました。
笑顔だけでは私の幸せを表現するには足りなかったからです。
これからも、ナットと私の人生のハイウェイはどうなるかはわかりません。
何度も、地獄の経験もしてきたので。
しかし、諦めなければ、天国のような経験もまたできるんです。
(出典:米Psychology Today)(画像:たーとるうぃず)
うちの子はまったく話すことができません。
しかし、2歳の頃までは、片言は口に出すことがありました。
なかなか話すこともできず、発達について、私も心配になっていた頃です。
私が仕事から帰ってきて、玄関を開け、「ただいま」。
すると、うちの子が「おかえり」と、口に出して返してくれました。
「なんだ、大丈夫じゃないか。良かった!」そんな安心した気持ちと、うちの子の優しさにうれしい気持ちでいっぱいになりました。
しかし、どんどん言葉がなくなり、それが最初で最後の「おかえり」となりました。
もう、ずいぶん昔のことになりましたが、またいつか、あんな気持ちになれたらいいなと思っています。
自閉症の子が幼児期に言葉を失っても、話せなくなるとは限らない
(チャーリー)