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重度自閉症の人の突然の攻撃的な行動を予測できるデバイス

time 2024/01/20

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

重度自閉症の人の突然の攻撃的な行動を予測できるデバイス
  • 攻撃的な行動を予測できる手段はあるのか?
  • 予測的介入が実現すれば、介護者や患者にどのような影響を与えるか?
  • 重度自閉症の危機を予測・回避することができれば、家族や社会にどんなメリットがあるか?

「突然の危機」

重度自閉症を持つ人たちの介護者たちは、頻繁に突然の攻撃的で暴力的な行動に直面しています。

しかし、このような行動が予測できたらどうでしょう。
救急車の呼び出しやけが、不安定な状況がどれだけ避けられるでしょうか。

米ノースイースタン大学のマシュー・グッドウィン教授は最近、JAMA Network Openに掲載された研究で、深刻な自閉症を持つ若者の攻撃的行動を、バイオセンサーデータと機械学習を使用して3分前に80パーセントの精度で予測できることを示しました。

バイオセンサーで、攻撃的行動を示唆する可能性のある生理的な変化を検出できます。
グッドウィン教授はこう言います。

「3分あれば、対応するのに充分な時間です」

介護者が事前に事件が発生することを知っていれば、彼らは行動を中断し、子どもに目を向け、環境を安全なものに整え、エスカレートする前に介入することができます。

アメリカ疾病予防管理センターによると、8歳までの子どもの36人に1人が現在自閉症と診断されています。
世界中には7800万人の自閉症を持つ人たちがいます。

このうち27パーセントは重度自閉症と推定されています。
IQが50以下で、ほとんどまたは全く話すことができず、自分自身や他人、物に対する攻撃的な行動をしばしば行うため、24時間のケアが必要です。

しかし、この攻撃性は予測が非常に難しく、介護者はしばしば「突然起こる」と報告しています。

重度自閉症を持つ人たちのほとんどは感情を表現することができず、感情を表に出さないため、問題が発生していることに気づいた時には、すでに危機が発生していて、できるのは安全の確保だけです。
これらの突発的な発作の予測不可能性は、介護者や患者、他の人たちを危険にさらします。

実際、グッドウィン教授は、深刻な自閉症を持つ子どもたちの専門的なケアスタッフは、より多くのけがを経験し、より多くの保険請求を行い、より高い燃え尽き症候群に陥ることを指摘しています。

これらの攻撃的な事件が発生すると、介護者は救急車の呼び出し、救急室への訪問、精神科施設での入院治療に頼ることになります。
グッドウィン教授は、これらのケアが社会に高い社会的および財政的コストをもたらすと指摘しています。

また、これらの理由から、重度自閉症の子どもと介護者はしばしば自宅で孤立することになります。

グッドウィン教授は、「前兆」は目で見てわからないものの、重度自閉症の子どもの体は攻撃的な行動の前に準備をするといいます。

「もし子どもが殴ったり、蹴ったり、環境を壊すことを始めるならば、体はその増加した身体的要求をサポートするために生理的な変化を行う必要があります」

問題は、これらの準備をどのように特定するかでした。
その一つの答えがバイオセンサーでした。

グッドウィン教授は、MITメディアラボ在籍中に、今日のFitbitsやApple Watchesの前身となるものに取り組み、心拍数や皮膚伝導活動(しばしば「感情的発汗」と呼ばれる)、皮膚表面温度、動きの量などの「周辺自律信号」を測定するために十分進歩したバイオセンサー技術を待っていました。
しかし、実際に利用できるようになるためには、これらのバイオセンサーがワイヤレスで、市販されており、研究専用ではなく、どんな環境でも着用できる必要がありました。

そして現在、それが可能となりました。

シモンズ財団、ナンシー・ルーリー・マークス家族財団、および米国防総省からの資金提供を受けて、グッドウィン教授は腕時計のようなバイオセンサーを4つの入院精神病院で重度自閉症の若者に提供しました。
また、患者、他者、または物への危害を伴う攻撃の頻度と期間を報告するためのカスタムモバイルアプリもスタッフに提供しました。

合計で、グッドウィン教授は70人の若者からデータを受け取り、6665件の攻撃的行動を含む497時間のバイオセンサーと行動データを得ることができました。

「ここから、本当の研究が始まりました」

グッドウィン教授の研究チームは機械学習と人工知能を使用してデータを分析し、「最近の過去のデータをどれだけ使って行動の予測をするか、どれくらい先の未来を予測するか、どの程度の精度で予測できるか」を確認しました。

以前、研究チームが20人の自閉症の青少年がいる入院施設で行った研究では、他者への攻撃行動の発生を1分前に70パーセントの精度で予測できました。

今回の研究では、より多くのデータを用いて、他者への攻撃、自傷行為、感情の崩壊を3分前に80パーセントの精度で予測できるようになりました。

グッドウィン教授は次に、「個人の攻撃的行動の機能」を判断する訓練を受けた臨床スタッフの監督の下で、外来患者を対象に研究開発を進めています。

バイオセンサーのデータと組み合わせることで、臨床医が家庭で実施可能なオーダーメイドの介入計画を立て、家族が救急外来や病院の専門家に頼るのを減らすことができるようになることを期待しています。

また、バイオセンサーのデータをリアルタイムで分析し、暴力事件が起こりそうになる前に、介護者にテキストメッセージで警告を発することができるようなクラウド・コンピューティングによるシステムの開発にも取り組んでいます。

(出典・画像:米ノースイースタン大学

うちの子も重度自閉症ですが、幸い大暴れするようなことはありません(小暴れはあります)が、突然、態度や行動が変わることはよくあります。

「他者への攻撃、自傷行為、感情の崩壊を3分前に80パーセントの精度で予測」

他害や自傷がある場合には、「事前に予測できる」ことは、ご本人、介護者ともに大きな助けになります。

いち早く、利用できる製品になることを期待しています。

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(チャーリー)


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