- ADHD治療薬を服用すると、熱への感受性が増すことがありますか?
- 自閉症やADHDの人々が夏の気温に対する耐性を持つためにできる対策は何ですか?
- ADHD治療薬の副作用として、熱中症になるリスクがあるのですか?
23歳のリンリー・カーシャーゲンにとって、ADHD(注意欠陥・多動性障害)治療のためデキストロアンフェタミンが処方されたことは、大きな前進でした。
しかし、それが彼女の熱への感受性にどのように影響を与えたかは思いがけないものでした。
彼女は昨年、ADHDと自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断されました。
多くの人々と同じように、これら2つの状態に対する一般的な認識が自分の神経多様性を認識させました。
これは、他の神経多様な人々と働く作業療法士の彼女にとっても同じでした。
しかし、豪ブリスベンの自宅で、故障したエアコンの中35度の日々を過ごす中で、彼女は熱に対する耐性と感受性が特に問題となってきました。
「私たちは、ほとんどの神経典型的な人々よりも早く感覚的な圧倒を感じやすく、感覚情報を処理するのに苦労します。
ですから、熱はじわじわと忍び寄り、突然暑すぎると感じ、その後はかなりイライラしやすくなります」
オーストラリアでは、成人のADHD診断とその管理のための薬の処方が増えています。
そして、ADHD薬に共通する副作用の一つが熱感受性の増加です。
診断と処方が増えるにつれ、長く暑く乾燥した夏が高リスクとなるオーストラリア人も増えています。
22歳のタラも、TikTokで情報が共有されたり、他の神経多様な人々との交流を経て、最近自身が神経多様であることに気づいた多くのオーストラリア人の一人です。
「私たちはお互いに引かれ合います。
彼らの行動が私と非常に似ていることに気づき、
『あれ、これって普通?私だけじゃないの?』
そう思うようになりました」
彼女は医者に診てもらいデキストロアンフェタミンを処方されましたが、家族旅行中のテーマパークで、突然の熱中症の発作で中断されたとき、その副作用を痛感しました。
ホテルに戻りエアコンの効いた部屋に座っていても、吐き気や脱水症状が数時間も続きました。
「なぜこんなに吐き気がするの?
エアコンが一日中ついてるのになぜまだ汗をかいてるの?
水が欲しいけど、飲むには気分が悪すぎる」
オーストラリア製薬協会ビクトリア州マネージャーのジャロッド・マクマーによると、ADHD、うつ病、その他の精神医学的状態を治療するための薬剤はすべて、熱感受性を共通の副作用として持ちます。
これらの薬剤が、脳の一部におけるドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンの活動を増加させると述べています。
「これらの神経伝達物質は脳の至る所にあり、さまざまな機能を果たしています。
その機能には、体温調節や熱の作用を調節する脳の領域も含まれます。
これらの物質の増減があると、自分がどれだけ暑さを感じているかを検出する能力に影響を与えることがあります」
これはまた、脳が脱水状態を検出できなくなる可能性もあるということです。
しかし、マクマーは、このタイプの薬を服用しているだけで、熱中症になる可能性が高まるわけではないと強調しています。
「問題は、あなたが高温にさらされているかどうかです」
と言います。
長時間直射日光の下にいる、または暑い車の中で昼寝をするのは、そのような状況の良い例です。
アドバイスは、熱中症を避けるために通常行うような措置を講じることです。
たとえば、日陰を求める、たくさんの水を飲むなどです。
豪ニューサウスウェールズ大学薬学部のジェシカ・ペース博士によると、この種の薬に共通するもう一つの熱関連副作用は熱不耐性です。
「ADHD治療薬や抗精神病薬は視床下部、すなわち冷却に不可欠な脳の領域に作用することで体温を上昇させます。
甲状腺機能低下症を治療するために使用されるレボチロキシンという薬も、代謝を高めることで体温を上昇させます。
また、他の薬剤は血管を収縮させて皮膚への血流を減少させ、この方法で熱が逃げるのを防ぎます。
これは、体が熱の中で体温をうまく調節できないことを意味します」
これらの薬には、β遮断薬、高血圧薬、狭心症薬、鼻詰まり薬、そしていくつかの片頭痛薬が含まれます。
ペース博士は、これらの処方薬を使用するすべての人が反応を示すわけではないと言います。
「反応が起きる場合、それは一度限りのことかもしれないし、薬を服用するたびに起きるかもしれません。
これらの副作用は比較的まれです。
影響を受ける人の正確な割合は薬によって異なりますが、通常は使用者の1パーセント未満です」
ペース博士は、隣人や友人と定期的な健康チェックを行うことも有用だと述べています。
とくに高齢者や他の脆弱な人々を含めることが重要です。
2021年に『ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー』に掲載された研究では、有害影響は通常、娯楽使用から生じると指摘しています。
しかし、ペース博士によると、処方薬と熱に関する研究はまだほとんど行われていません。
「さまざまな研究が示すところによると、特定の種類の薬を服用している人々は緊急治療を必要とする可能性が高く、特定の薬と極端な熱イベント中の死亡率の増加との間には関連性があるとされています。
コカインなどの一部の薬剤については、汗と皮膚の血流反応に影響を与え、熱への認識を低下させるという強い証拠があります。
しかし、多くの処方薬については、情報があまりありません。
医師も、ここで議論されている薬を服用している人々が熱病で病院に運ばれるケースをより多く見ています。
しかし、全体として、特定の処方薬と熱病への具体的な寄与との直接的な関連を確立し、複数の薬を服用している人々のリスクがさらに高いかどうかを理解するためには、さらなる研究が必要です」
夏の間中、気温が上昇し続けるにつれて、注意すべき他の薬の副作用もあります。
ニキビ治療薬、不整脈などの特定の心臓病治療薬、および一部の抗生物質は、日焼けのリスクを高めます。
これは日光感受性または光感受性として知られています。
マクマーによると、これは皮膚細胞が表面に近づくにつれて生成される方法に関連しています。
「通常、皮膚細胞は表面に達すると乾燥して平らになり、死んだ皮膚細胞が太陽からのバリアとして機能します。
これらの薬剤は、そのプロセスを遅らせる可能性があります。
その結果、皮膚細胞が表面に達する頃には、通常のように乾燥して死んでいないのです」
通常、これらの種類の薬を服用する人々は、通常焼けない人も日焼けし始め、焼ける速度が速くなり、重症度と回復時間が増加します。
ペース博士によると、薬が日焼けのリスクを高める主な理由は2つあります。
光毒性反応と光アレルギー反応です。
「光毒性反応は、薬が日光感受性を増加させる最も一般的な方法です。
これは、薬物分子が紫外線を吸収し、その後に皮膚に影響を与える場合です。
経口薬が血流に吸収された後、または外用薬が皮膚に塗布された後、数分から数時間の日光暴露のいつでも光毒性反応が起こる可能性があります。
通常、太陽にさらされた皮膚だけが反応します」
ベース博士は光アレルギー反応は、太陽にさらされた後に薬が構造的な変化を起こすときに起こると言いました。
「これらの構造的変化が起こると、私たちの体の小さなタンパク質が薬に結合することができます。
それにより、免疫システムが外来物質として認識し、それに対抗するための抗体が生成されてしまいます」
光毒性反応と光アレルギー反応の結果は、湿疹や赤い発疹に似ており、発生するまでに1日から3日かかることがあります。
「重要なことは、光毒性と光アレルギー反応の両方が、紫外線への露出による皮膚への損傷であり、後に皮膚がんを発症するリスクを高める可能性があることです」
皮膚がんのリスク増加は、研究が不足しています。
2つの研究で、これらの薬がメラノーマのリスクを増加させるかどうかについて意見が異なります。
2021年にアメリカで行われた『Cancer』誌に掲載された研究では、光感受性薬と皮膚がんとの関係があると考えることは、難しいと指摘しています。
一方、2018年に『Oncology/Hematology』に掲載された別の研究では、カルシウムチャネル遮断薬とβ遮断薬の使用に関連する皮膚がんリスクの増加について患者に警告するよう医師に推奨しています。
しかし、日焼け対策の一般的なステップを踏むことは、太陽の下でのより深刻なやけどを防ぐために重要です。
潜在的な副作用にもかかわらず、薬とセラピーを組み合わせた治療はADHDに対する最良の治療法とされています。
多くの人にとって、これらはより良い方向へと人生を変える証明となっています。
カーシャーゲンは、今ではより多くの水を飲むようにすることで、これが熱と戦うのに役立っていると感じています。
タラは最終的に熱中症から回復しました。
アドバイスを受けてからは、長時間太陽の下にいる日には薬を服用しないことを選択し、熱中症から自分を守るようにしています。
タラは、この種の薬を処方する際には、熱に関連する副作用を医師が最優先で認識することを望んでいます。
「私は最終的に、それがとくにオーストラリアの最も暑い都市における医師の責任だと思います。
とても一般的なことなので、より意識するべきです」
熱に関連する副作用を経験したカーシャーゲンとタラの二人は、薬によってより暑くなったり、陽の光に対する感受性を高めたとしても、薬を服用し続けるべきだと言います。
「症状については薬剤師や医師に相談してください。
アドバイスをもらい、話し合ってください。
日焼けやその他の副作用のリスクを心配しているからといって、薬を止めるのではなく、まず医師と相談してください。」
(出典:豪abc)(画像:たーとるうぃず)
南半球にあるオーストラリアは今は真夏。なのでこうした話題が出るのですね。
そういう副作用があること、私は知りませんでした。
服用されている方がいらしたら、周りのかたは知っておかなければなりません。
(チャーリー)