- 自閉症スペクトラム障害(ASD)の人は職場の不正やミスに対してどう行動するか?
- 自閉症スペクトラム障害(ASD)の人は「傍観者効果」にどの程度影響を受けるか?
- 自閉症スペクトラム障害(ASD)の人を雇うことのメリットは何か?
心理学の確立された理論によれば、多くの人たちは他の人がいる場合、悪い状況に対して率先して行動しようとする可能性が低くなるとされています。
これは「傍観者効果」と呼ばれるもので、職場でも見られるものです。
しかし、カナダヨーク大学の研究によれば、自閉症スペクトラム障害(ASD)のある人たちは、定型発達の人たちよりも、この社会的な伝染には影響を受けにくいという結果が示されました。
自閉症の人たちは、重大な不正行為や日常的なミスに対して沈黙する可能性が低くなっています。
これは、自閉症のポジティブな側面と、組織が発達障害の人を採用することでメリットを得られることを示唆します。
「われわれの研究によれば、何か問題があると判断した場合、その場にいる人数に関係なく、自閉症の従業員の方が行動する可能性が高くなっていました。
また、行動しないような状況においては、その理由として他者の影響を挙げる傾向が強くなっていました。
一方、定型発達の従業員はそれを認めようとしませんでした」
そう、筆頭著者であるローン・ハートマン(シューリッヒ・ビジネススクール講師)は言います。
ローンと彼の息子であるブラクストン・ハートマンは、この問題を研究するきっかけは学問的な経験だけでなく、個人的な経験からもありました。
共同して研究を行った息子のブラクストンも自閉症を持っています。
「この研究を行った動機の一つは、現在の自閉症に関する文献の多くが、自閉症を『欠けているもの』と捉えていることからです。
基本的に、自閉症の人の異なる点を否定的に捉えています。
私たちはこれを再構築しました。
これらの異なる点は、否定的なものだけでなく、実際には利点もあることを問いたかったのです。
自閉症の中で人々が欠点とみなす主要な分野の一つは社会的な相互作用です。
そこで、私たちは、自閉症の人たちが機能不全や倫理的でない状況に直面した場合に、他の人からの影響について調査したのです」
ローンは臨床心理学のバックグラウンドを持ち、彼の主要な研究分野は組織内での非倫理的な行動です。
以前の研究結果を交えて、こう言います。
「こうしたケースのすべてにおいて、周りにいても、何百、おそらく何千人もの人たち、悪事を見過ごしてきたはずです。
したがって、告発する意思のある人たちが周りにいることは、組織にとってとても重要なことです」
この研究は、カナダトロント大学との協力で”Autism Research”に掲載されました。
雇用されている、自閉症の33人と定型発達の34人がこの研究に参加し、非効率から不平等、品質の問題までを含む架空のシナリオについて意見を述べるよう求められました。
結果は仮説的であり、さらなる研究が必要です。
しかし、研究者たちはこの研究が重要な実用的な意義を持つと述べています。
自閉症の人たちの失業率が90パーセントに達する可能性があることを考慮すれば、とくに重要です。
高等教育を受けていても、70パーセントです。
今回の研究を行った自閉症のブラクストンはこう言います。
「私たちはこの研究結果には、2つの価値があると考えています。
1つは、組織がより倫理的で効率的になるのを支援できます。
もう1つは、私自身のような自閉症の人たちに対して、自閉症に対する社会的理解を変えるのを手助けし、収入を得られる助けとなります」
企業内にとどまらず、社会にとって、メリットある必要な人たちです。
空気は吸うものであって、読まなくていいんです。
嫌な空気はとくに。
気持ちのいい空気が入るよう、行動してオープンにして換気しましょう。
(チャーリー)