- 自閉症をもつ教師が自分を隠す必要があるのはなぜ?
- マスキングが自閉症の教師に与える影響は何か?
- 教育現場での自閉症の教師の存在が、教育にどのような価値をもたらしているのか?
アイルランドの教育現場で働く自閉症の教師たちは、同僚に自分たちの自閉症を公表せず、キャリア全体を通じて「マスキング」することを選択していました。
そのような状況が、今回始めてとなる研究で明らかにされました。
アイルランドダブリンシティ大学(DCU)の自閉症の教師研究者であるクレア・オニールによる新しい研究での、自閉症の教師へのインタビューの結果によるものです。
研究に参加した教師たちは、学校では周囲の人たちに自分の本当の姿を隠していると報告しています。
そして、これはとても疲れるものだといいます。
この「マスキング」は、自閉症の人たちが社会的な規範や仲間により適応するために、自閉症に関連する特徴を隠すことをいいます。
これは、自閉症の人の健康とメンタルヘルスに有害な影響を与える可能性があるものです。
ある教師は、自分が教師として受け入れられているのは「本当の自分とは違う劣化バージョンの自分」だけだと常に感じていたと語っています。
「それは私を縛るものです。
自分への刺激を抑えること、おしゃべりすることに対する退屈感を抑えること、自分の科目について話す欲望を抑えること、他の教師を遮って『それをやるって言ったじゃないですか、今やってもいいですか』と言いたい欲望を抑えることです。
これらすべてのことが、本当に難しいときもあります。
学校では自分は別のバージョンなんです」
別の教師は、次のように語っています。
「いつも、うまく演じられているかを常に意識していました。
しかし、後になってから、言ったことを後悔し、馬鹿なことを言ったと感じます。
毎日が拷問です」
自閉症の教師たちは、アイルランドでは十分に研究されていない人たちであり、これまでの研究でその経験が探求されたことはありませんでした。
今回の研究で行われたインタビューでは、同僚との関係がしばしば微妙で難しいと示していたものの、自閉症の教師たちの異なる思考スタイルが彼らの仕事の鍵であると認識し、彼らの興味やタスクに深く集中する能力が教育における強みであると報告されていました。
自閉症の教師たちはまた、生徒と深く強い関係を築くことができると述べ、これは彼らの特筆すべき強みであると感じていました。
今回の研究を行ったクレア・オニールは、教育界内の少数派コミュニティの経験を共有する重要性があると述べています。
「研究の結果から、自閉症の教師たちは教育の仕事に対して、満足していることもわかりました。
それは、自閉症の教師たちが、生徒に対する繊細なことについて、高く理解できる能力に関連していました。
一方で、教育の場で一緒にはたらく定型発達の教師たちの理解や態度が、自閉症の教師の所属感と自信に大きな影響を与えていることが示唆されました」
この研究は、アイルランドの教育制度全体において自閉症に関する知識を広め、神経多様性のある人たちに友好的な環境を促進する必要性があると勧告しています。
(出典:アイルランドIrish Examiner)(画像:Pixabay)
生徒たちだけでなく、当然、先生たちの中にもいらっしゃるでしょう。
「違う見方をする」「生徒たちについてよりわかる」
間違いなく、そういう先生たちも必要です。
自閉症やADHD、発達障害の人の「マスキング」について理解を
(チャーリー)