- 自閉症の人の精神保健ニーズを適切に理解した上でのアプローチが、自傷行為や自殺のリスクを軽減できるのか?
- 自閉症の人が精神疾患をもつ可能性が高いとされているが、そのリスクを軽減する具体的な措置は何か?
- 自閉症に対する広範なアプローチを変え、受け入れと尊重を促進することで、自閉症の人の精神的健康が向上する可能性はあるのか?
最近の研究によれば、自閉症の人たちは自傷行為や自殺のリスクが非常に高いとされています。
JAMA Network Openに掲載された、今回の新しい研究によれば、自閉症の女性は自閉症でない女性と比べて自傷行為のリスクが83パーセント高く、男性の場合では、自閉症でない男性と比べて47パーセント高くなっていました。
自閉症の診断は自傷行為や自殺のリスクを著しく増加させるようです。
しかし、高まったリスクは自閉症、それ自体によるものではありません。
研究の共著者である加トロント大学中毒メンタルヘルスセンターのメンチャン・レイ教授は、自閉症の人たちは精神疾患をもつ可能性が高いと述べています。
つまり、自閉症の人それぞれに合わせた精神保健への介入や治療へのアクセス向上をはかることで、自傷行為のリスクを著しく減少できる可能性があります。
自閉症の人たちの精神保健ニーズにもっと、注意を払う必要があるのです。
この研究はカナダのオンタリオ州の医療データを用いました。
1988年から2018年の間に州内で行われたすべての自閉症の診断を特定しました。
自閉症の人と自閉症でない人の合計38万人を対象に、10歳からの自傷行為による入院や自殺の発生率を比較しました。
「自閉症の人たちは精神的に不健康であると考えられることがよくあります。
私たちの中で、あまりにも多いことは事実です。
しかし、それは避けられるはずなのです」
そう、Autistic Doctors Internationalの創設者であり、700人以上の自閉症の医師を代表する麻酔科医のメリ・ドハティは言います。
「この研究は、『予防』の必要性を正しく強調しています」
自閉症の人に対して、行動の修正に焦点を当てるのではなく、受け入れを促進するよう、自閉症に対する広範なアプローチを変えるようにすることが重要だといいます。
「自閉症をどのように捉えるか、そこから考え始める必要があります。
私たちは自分たちが壊れていて欠陥があると信じられるように育てられてきました。
そして私たちは、より自閉症らしくないようにしようとさまざまな方法にさらされた結果、自尊心が低くなり、精神的な健康が悪化してしまうのです。
それは、不思議なことではまったくありません」
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押し付けて変えようとするのは、もう終わりにしてください。
受け入れて尊重することのほうが、人類全体にとっていいはずです。
(チャーリー)