- 1. 自閉症の子どもがまわりの人ともっと良く関わるためには、どのような支援が必要ですか?
- 2. 自閉症の子どもが参加するデイキャンプや学校での活動に対して、どのような方法でインクルージョンが促進されるのか?
- 3. 自閉症の子どもが他の子どもたちと良好な関係を築くために、まわりの子どもたちや大人が理解すべきポイントは何ですか?
カナダのアルバータ大学の研究によれば、デイキャンプなどのレクリエーションなど、専門的なトレーニングを必要としない短くて簡単な支援が、自閉症の子どもたちへの理解と関与を促進するのに役立つ可能性があります。
今回の研究を行った、リハビリテーション医学部の准教授であり女性と子どもの健康研究所のメンバーでもあるホジェッツはこう言います。
「結局のところ、私たちは皆、つながりを望んでいるということなのです」
これまでのほとんどの研究では、インクルージョンは追跡するのが難しいパラメータであり、またその考え方もさまざまであるため、評価されることがありませんでした。
「今回、私たちの研究では、帰属意識、つまり、属しているという感覚について評価しました」
研究チームは、療育介入に関して異なるアプローチをとりました。
既存の療育介入の多くは、仲間の中でよりよく「適応」できるように、自閉症の子どもたちの行動を変える方法にほぼのみ焦点を当てています。
しかし、今回の研究での支援介入では、自閉症でない、まわりの子どもたちの自閉症に対する認識と理解「不足」も重要なことだと考えました。
「私たちは学校やキャンプなど、どこでも、自閉症の子どもたちに注目してしまい、まわりの子どもたちをあまり意識していません。
まわりの子どもたちも、能力を高めてステップアップできることを見逃しているのです」
今回の研究では、特別な訓練や資格は必要ない、自閉症の子どもの親と一部の子どもたち自身と協力して作成した短い台本に基づいた療育介入を行いました。
「子どもたちが生活するあらゆる場所に、高度な訓練を受けた研究者、医療従事者、教育者がいるわけではありません。
しかし、子どもたちには、どこへ行っても、まわりと関わり含まれる権利があります」
今回の研究での、療育介入で用いた簡単な台本には次のこと含まれていました。
・自閉症という言葉
・自閉症の子どもの行動やコミュニケーション方法の違い
・自閉症の子どもが得意なこと、好きなこと
これによって、まわりの子どもたちが自分と似ているところなどを認識できるようになり、自閉症の子と関わりやすくなりました。
たとえば、ある自閉症の子が、遊びたいときに友だちのスペースに過度に侵入する傾向がある場合には、自閉症の子の観点から近づきすぎる傾向が何を意味するのか、そして誰もが快適に関わっている感じる対応方法が、台本には書かれています。
療育介入の成功を評価するために、研究チームは子どもたちのやりとりをビデオ撮影し、そのやりとりを分刻みで観察し、子どもがいつ関わって参加したか、いつそうでないかを分析しました。
その結果、その療育介入を行った子どもたちのなかでは、自閉症の子は、まわりの子どもたちと関わる機会が多くなっていることが示されました。
大きく良い効果を確認できました。
「観察された変化の大きさは、臨床的に意味があるものでした」
今回の研究は、15人の子どもたちが参加した、1週間のキャンプが舞台となりました。
次の段階では、学校全体で行うことを予定しています。
「これは重要なことです。
サマーキャンプでは得られなかった、真の友情とインクルージョンを実際に築く機会となります」
今回の研究での療育介入の「台本」は、別の研究者により別の環境でも利用され、良い評価を得ることができました。
「『行動や社会参加はこうするべき』という私たちの先入観に合わせて、子どもたちを『正常化』する必要はないと私たちは考えています。
子どもたちはありのままでいていい、その違いや強みを生かすのです。
そうすることによって、みんなが大きな成果を得ることができると思います」
効果も確認でき、うれしく思います。
その考え方、まったく私も賛同です。
(チャーリー)