- アーミッシュの子どもたちの健康状態には、どんな違いがあるのか?
- アーミッシュの子どもたちは本当にワクチンを全く打っていないのか?
- アーミッシュの子どもたちにもガンや糖尿病、自閉症にかかるケースは存在するのか?
フェイスブックでシェアされた記事で、絶対に嘘である主張がされていました。
「ガン、糖尿病、自閉症と診断されたアーミッシュの子どもはゼロ」
その記事によれば、
「包括的な調査の結果、アーミッシュの子どもたちは、アメリカの多くの他の人たちがかかえている慢性疾患の診断をされたことがない」
といいます。
また、アーミッシュの子どもたちは
「100パーセント、ワクチン接種を受けていない」
と伝えています。
なお、このフェイスブックの投稿は、運営するMeta社により、偽ニュースや誤報のフラグが既に立てられいます。
アーミッシュの医療専門家によれば、実際には、アーミッシュの子どもたちもガン、糖尿病、自閉症と診断されています。
アーミッシュの子どもたちに自閉症が見られるという研究結果もあります。
また、アーミッシュの子どもたちがガンにかかったというニュースもこれまでに確認できました。
アーミッシュは北米に住むキリスト教徒です。
主に、17世紀後半にヤコブ・アマンの信者の間で生まれたオールド・オーダー・アーミッシュ・メノナイト教会が由来です。
約37万人のアーミッシュの大人と子どもが米国の32州で暮らしています。
アメリカのアーミッシュの約3分の2がオハイオ州、ペンシルベニア州、インディアナ州に住んでいます。
アーミッシュは現代的な便利さや技術革新を拒否することで知られています。
たとえば、車、コンピューター、テレビを利用しません。
米メリーランド大学の遺伝疫学者ブラクストン・ミッチェルは、25年以上にわたって、米国最大のアーミッシュ居住地であるペンシルベニア州ランカスターのアーミッシュの人たちを調査してきました。
ミッチェルによれば、ジフテリア、ロタウイルス、ポリオ、破傷風、百日咳などの小児用ワクチンは、アーミッシュの間では新型コロナワクチンよりも利用されています。
なお、アーミッシュと他の集団とで、小児ワクチン接種率を比較した研究はこれまでに目にしたことはないといいます。
たしかに、アーミッシュも家庭によっては、小児ワクチン接種率が低いという証拠はあります。
2020年4月にオハイオ州北東部のアーミッシュを対象に行われた調査では、回答者約400人のうち59パーセントが子どもにワクチンを接種していませんでした。
この誤った、フェイスブックでシェアされた記事の情報は、反新型コロナワクチン接種活動家のスティーブ・カーシュが6月6日のペンシルベニア州上院の医療の自由パネルで行った主張に関係したものです。
カーシュはアーミッシュの人々はほとんどワクチン接種を受けていないと述べ、こう言いました。
「自閉症の子どものなかで、ワクチンを接種していない子どもはいません。
ワクチンを接種しないアーミッシュにはこういった慢性疾患はありません」
アーミッシュの調査を長年に渡り行ってきたミッチェルは、この主張は正しくないと指摘します。
「たしかにそうした子どもは少ないですが、ガンと糖尿病の子どももアーミッシュの中にいます。
また、自閉症の子どももいます」
ミッチェルは、アーミッシュとアーミッシュでない「子ども」たちについて、慢性疾患の有病率に関して比較した研究は、これまでに目にしたことはないといいます。
ミッチェルは、共著者として行った2020年の研究で、アーミッシュの「成人」については、糖尿病、高血圧、高コレステロールは、アーミッシュでない成人よりも低いという結果を発表しています。
そして実際、ランカスターのアーミッシュの集団の中には自閉症と診断されている人もいました。
アーミッシュの子どもたちがアーミッシュでない子どもたちよりも自閉症が少ないと示した研究もこれまでに確認できません。
専門家やこれまでの研究や報道が、ガン、糖尿病、自閉症と診断されたアーミッシュの子どもが「ゼロ」ではないことを示しています。
「ガン、糖尿病、自閉症と診断されたアーミッシュの子どもはゼロ」というのはまったくの嘘です。
(出典:米POLITI FACT)(画像:Pixabay)
少し神秘的に思われる存在をつかって、事実とは異なることを流布するのは常套手段です。
そのように利用された方たちも、いろいろ誤解を招き、迷惑されるはずです。
悩んだり、困ったりしたときには、信頼できる医療機関が提供する正しい医療情報を頼りにしてください。
「自閉症の人の増加はワクチンが原因」これは誤り、事実ではない
(チャーリー)